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いい湯だな

施設に飾ってあるコシ桜がいよいよ葉桜になってきており、その見事な緑に本当に枯れてしまうのかを疑問に思うところで、多分コシ桜は来年も見事な花を咲かせると信じています。#コシ桜と勝手に命名

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こんにちは、コッシーです。


さて、前回の記事で昨日は仕事がハードだったと書きましたが、今日はその詳細をお伝えしたいと思います。


昨日の朝のことです。8時ごろでしょうか、デイサービスの職員が慌てた様子で僕のところにやってきました。

「大変です!お風呂のお湯が出ません!!」

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うちのデイサービスの利用人数は1日平均30人で、そのほとんどの方が入浴をされています。入浴にお湯は絶対に必要ですのでお湯が出ないとなると話になりません。慌てて現場に向かいました。

うちのデイではガスでお湯を沸かしており、どうやらガス給湯器に不具合があるようでした。給湯器の液晶パネルに『エラー○○』と表示されています。

電源を再起動させても不具合は直りません。業者に連絡しましたが残念ながらその日は土曜日で会社はお休みでした。

でも心配要りません。こういう時のために担当者の携帯を聞いています。「会社が休みの日でも対応しますので遠慮なく連絡ください」と言われています。担当者の携帯に連絡を入れました。

数回の呼び出し音の後「はい、○○です。」と担当者は出てくれました。

「お休みのところ申し訳ないです。うちのデイの給湯器が壊れたみたいでお湯が沸かないんです。」と伝えたところで電話口の後ろの方から「次は品川。品川に停まります」と聞こえてきました。

「も、もしかして…東京ですか…?」「は、はい…すみません!!」

どうやら担当者の方は東京の本社で研修があるとのことで、さすがにその日にこちらに来ることは難しいとのことでした。こればかりは仕方ありません。ただ明くる日の日曜日に修理に来てくれるということになりました。

うちのデイサービスは日曜日はお休みです。ということはその日を乗り切ればなんとかなりそうです。


さて、ではどうするか。

うちのデイのお風呂は大浴場と車椅子で入るタイプの機械浴、そしてシャワー浴の3タイプあります。当たり前ですが全てのお風呂でお湯を使うためお湯が使えないとなるとアウトです。しかし給湯器が壊れているためお湯が沸きませんので水しか出ません。

うちのデイサービスは入居施設に併設されております。同一建物ではなく隣に建っているようなイメージです。先にデイサービスが建築されて、後に入居施設が建築されたため、水道やガスなどは全て別口となっています。つまりデイサービスの給湯器が壊れても入居施設は何の影響もなく普通にお湯は使えます。

これだ、と。

まるでガリレオの湯川先生のごとく僕の脳裏に計算式が浮かびました。#お湯だけにな

Xをデイのお湯、Yを入居施設のお湯だとして、X=0、Y=∞となり、YをXに代入すれば…X=∞となります!!つまり入居施設のお湯をデイサービスに運べばデイサービスでお風呂が可能になります。#天才かもしれん


コッシー「運ぼう!」

スタッフ「えっ?」

コッシー「入居施設からお湯を運んで大浴場にお湯を溜めよう。機械浴やシャワー浴の方は、申し訳ないけど入居施設のお湯を使って清拭に切り替えよう。家族には詫び状を作成するからそれで説明しよう」

スタッフ「いやでも、大浴場にお湯を溜めるって結構大変ですよ」

コッシー「それでもお風呂を楽しみにきている利用者もいるんだ!時間がない!急ごう!!」


それから入居施設のスタッフを総動員して施設にあるバケツを全て使い入居施設のお風呂からデイサービスのお風呂までお湯を運びました。

スタッフが言った通り大浴場はかなり大きく、ちょっとやそっとではお湯が溜まりせん。何度も何度もバケツにお湯を入れて運びました。腰に不安を抱える僕でしたがそんな事は言ってられません。とにかくお湯を運び続けました。

途中でお湯をこぼして服にかかったり、腕がプルプルしてきましたが関係ありません。とにかくデイの浴室と入居施設の浴室を何度も往復しました。

アイアンマンを自称する僕もさすがに疲れてきて、あとはみんなに任せちゃおうかな…僕、偉い人だしここまでやれば大丈夫だよな…とサボろうとした時に、入浴を待っている利用者の「ここのお風呂本当に気持ち良いんだよなぁ。楽しみだわぁ」という声を耳にしました。

しっかりしろコッシー!温かいお風呂に入りたい利用者がいるんだぞ!お前がお湯を運ばないで誰が運ぶんだ!お前のその両腕はバケツを持つためにあるんだぞ!!

そう心の中のリトルコッシーに叱咤され、最後の力を振り絞りました。

普段は午前中で入浴介助は全て完了しますが、その日は大浴場にお湯が溜まったのが11時前でした。そこから一般浴の方を順次お風呂に入れ始め、全ての利用者が入浴を終えたのが午後3時ごろでした。

僕は全ての利用者の入浴を見届けた後、ヘトヘトになりながらそこから昼食を摂りました。

「そんなに疲れていてご飯食べれる?少なめにしとく?」と厨房スタッフが気を使ってくれましたが、普通の量を普通に食べました。なんなら少し大盛にしてもらいました。#食いしん坊万歳

本当に大変でしたが、やり遂げた感があり心は清々しい気持ちでいっぱいでした。こういうトラブルをみんなで乗り切った時、団結力がより深まると思います。そういう意味では今回のトラブルは決してマイナスではないと思いました。デイサービスの絆はより固くなったと思います。

その後のデイは何事もなく無事終了し、利用者を全員ご自宅に送り届けました。今日は大変だったね、と一息ついているとあるスタッフが、

「でもバケツでお湯を運ぶんじゃなくて、そもそも入居施設のお風呂を使えば良かったのでは?」と言いました。

た、確かに…!


デイの利用者を入居施設へ誘導する方がバケツで何往復もするよりも遥かに楽だったのは明白でした。

「…ま、まあとりあえず何とかなったから良かったよね(汗)あははは…」

僕の他に誰一人笑うスタッフはおらず、スタッフからの白い目に身体がスゥっと冷たくなりました。

帰宅してその日入ったお風呂は冷え切った身体を温めてくれて本当にいい湯でした。


現場からは以上です。それではまた。

コッシー

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