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優しい声

来月からみんな大好きうまい棒が値上がりするらしく、職場で何味が好きかを議論したのですが、サラダ味かコンポタ味かで揉める中どうしてもタコ焼き味が好きだと言うことを言えませんでした。

こんにちは、タコ焼き味に謝りたいコッシーです。


さて、うちのデイサービスのパートさんで御年70歳を迎える女性スタッフのHさんという方がいます。

Hさんはこの道30年以上の大ベテランさんで、利用者さんの悩みにもよく乗ってあげており、スタッフだけじゃなく利用者からの信頼も厚い非常に頼れる存在です。

そんなHさんですが、声が非常に素敵なんです。聴いているととても心地よくなる本当に優しい声なんです。

失礼を承知を言わせてもらいますが、その声は若々しくとても御年70歳とは思えないほどです。


僕は週1でデイの送迎運転手をしていますが、Hさんと一緒に乗ることがあります。その時は心の中で密かにガッツポーズをしています。

後部座席から聴こえてくるHさんの優しい声がどんな曲よりも僕の気持ちを温めてくれるBGMになります。


「お変わりはありませんか?」

「朝食は食べられましたか?」

「まだ寒い日が続きますが温かくしてくださいね」


そう言って気遣うHさんの声に利用者は本当に嬉しそうに返事をされます。その暖かなやり取りを聴くと僕まで嬉しくなってきます。

ただHさん自身はその魅力に気づいてない様子です。僕はHさんの声が大好きなのでなんとか本人にその事を伝えたいと思っていますが、どうやって言えば良いのかが分かりません。


「声がお若いですね」だと失礼に当たるような気がします。

「声が素敵です」だと声だけが良いみたいに受け取られる可能性があります。

結局Hさんには伝えられないまま時が過ぎていきました。


そんなある日のこと、帰りの送迎がHさんと一緒になりました。

やった!Hさんの声が聴ける!と内心喜んでおりました。


Hさんが利用者にかける優しい声を聴きながら快適に運転をしていきます。1人また1人とご自宅へ送り届け最後の利用者を送り届けた後のことでした。

ああ、至福の時間が終わってしまうなぁ…と残念な気持ちで事務所へ車を走らせていると、Hさんが僕に声をかけてくれました。


「ここ最近いろいろ大変でしたでしょう。本当にお疲れ様でした。休める時はゆっくり休んでくださいね。」


いつもは利用者へ向けられている優しい声をまさか自分がかけてもらえるとは思ってもおらず、本当に嬉しくなりました。


「いつも私たちや利用者のために頑張ってくださりありがとうございます。みんな感謝していますよ。」


優しい声に畳みかけられて僕のテンションは爆上がりでした。

西日が車内の二人を明るく包み、日の暖かさとHさんの優しい声に身も心もポッカポカになった僕はHさんに「声が好きだ」という事を伝えようと思いました。

今なら自然に言える気がしますし、Hさんも受け入れてくれると思いました。


「そんな風に言ってもらえて嬉しいです。僕はHさんの声が好きです。とても心地が良くて本当に癒されます。僕は(声が)大好きですね。」


ずーっとHさんに伝えたかったことをついにHさんに伝えることができました。これからもHさんにはその優しい声で利用者とそして僕を癒やして欲しいなと思っていましたが、僕の思いを聞いたHさんは少し動揺した様子で、「あ、ありがとうございます…」と僕と目も合わさず言いました。

そしてそのあとHさんと言葉を交わすことなく無言のまま帰路に着きました。


その日からなんとなくHさんから避けられている気がします。

もしかするとHさんは僕から愛の告白を受けたと勘違いしてるかもしれません。

Hさんに声が好きだと言うことを伝えることができましたが、今度は勘違いしたHさんの誤解を解くというさらに難易度の高い課題が残りました。

「声だけが好きなんです!」なんて失礼過ぎますし、「声も素敵です」なんて言ったらさらにドツボにはまる気がして悩んでいる今日この頃です。#何の話


それではまた。

コッシー

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