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迷う男
最近、夕食後に亀田の海苔ピーパックを食べるのが習慣になっております。デブまっしぐらかもしれません。
こんにちは、コッシーです。
さて、高齢者の入居施設では、病気やケガまたは検査などで入居者が入院されることが日常的にあります。
入院前と同じような状態で帰宅されれば何も問題はないのですが、状態が変化される方もおります。その時に施設での受けいれが可能がどうかの判断を迫られる時があります。そしてその判断を下すのがとても難しい場合があります。
うちの入居者でMさんという女性の方がいます。先月初めに居室で転倒され腰椎骨折で入院されました。
元々はご自身の足で歩いていましたが、だんだんと足腰が弱ってきており、以前から転倒を繰り返していました。
そのため杖での歩行を勧めておりましたが、いかんせんMさんは認知症も患っておりこちらの指示を覚えておくことが難しく、何度伝えてもついつい杖を持って歩くのを忘れてしまうことが多く、結局居室で転倒されてしまい入院しました。
病院で治療を終えたとしても今後もご自身で歩くのは不安が残ることから、病院でのリハビリのゴールを『歩行器で歩けるようにする』と設定され、頑張ってリハビリをされていました。
先日入院先の病院から連絡をもらい、順調に回復してきたため様子を見に来て欲しいと言われました。
病院で見たMさんは、歩行器を使って歩いていました。歩行には全く問題が無いように見え、ブレーキもご自身できちんと掛けることができていました。
その姿を見て「こちらに戻ってこれそうだな」と安心しましたが、担当看護師の話を聞いてすぐにその考えを改めました。
看護師の話ではMさんは看護師の指示がないと歩行器を使う事を忘れてしまう場合が多いとのことでした。さらに歩行器無しの歩行は以前よりもかなり不安定になっており、転倒リスクはさらに高まっていました。
確かに歩行器がない状態のMさんは足元がふらついており手すりを持ちながらじゃないとまともに歩けないようでした。
病院から戻り、僕は迷いました。
うちの施設は【介護付き】や【特定施設】と言われるような手厚い介護をする施設ではなく、どちらかというとご自身である程度出来る方向けの施設になります。居室内はこちらで監視をしているわけではないので、その中での転倒を防ぐことは容易ではありません。
Mさんの様子からすると前よりも転倒リスクは高いように感じました。
僕はご家族にその事を伝えました。するとご家族は、転倒リスクを承知の上でこのままうちの施設に置いて欲しいと言ってくれました。ご家族からこのように言われるの施設としてとても嬉しいことであり、ありがたい気持ちでいっぱいでした。
だからこそ非常に悩みました。Mさんにとって何が1番良いかのかを真剣に考えましたし、ケアマネやスタッフ達とも話し合いを重ねました。
めちゃくちゃ悩んで考えた結果、僕が出した答えは…『転居』でした。
うちの施設で受け入れようと思えば受け入れる事は可能だと思いますが、正直な気持ちを言うと、Mさんはいずれまた転倒すると思います。きっと時間の問題であり、もしかするとまた骨折してしまうかもしれません。うちの施設で受けいれることで、転倒する未来を迎えてしまう可能性が高いのが分かっているのに、家族が了承してるからと言って、分かりましたとは言えませんでした。
本当に申し訳ないですが、現在のうちの体制では四六時中Mさんを見張る事は出来ません。かといってMさん1人のために体制を変えることは出来ません。
結局Mさんはグループホームを探すということになり、うちの施設からの退去が決まりました。グループホームであれば、うちよりも手厚く介護をしてもらえると思うので安心できると思います。
もしかしたら今回の判断は間違っているのかもしれません。まだ起きてもいない未来を恐れるのではなく、対応していくのが良かったのかもしれません。一部のスタッフからも「家族が了承してるのに何で?」といったような疑問の声が出ています。
しかし転倒して痛い思いをするのはMさんです。居室で転倒して顔を歪めて泣いているMさんの姿を思い出すと僕にはどうしても【受け入れる】という決断が出来ませんでした。
Mさんともう会えないと思うと非常に胸が痛みますが、迷いながらも決断をしていかなければいけません。それが責任者だと思うわけです。
でも…まだ悩んでたりします(笑)
こういう決断が自信をもって出来るようにもっと経験を積みたい、そう思います。
現場からは以上です。それではまた。
コッシー
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