【創作】Memories
紫陽花をベッドサイドに置いて、僕はすやすやと眠る母を見つめた。カーテンの隙間から漏れる陽射しが母の顔に差し込んだ。一瞬眩しそうに顔をしかめるが穏やかな表情で眠り続ける母の姿に溜息を一つ吐いた。
ここ最近の母の物忘れはどんどんと酷くなっていた。昨日のことはおろかついさっき食べたご飯のことも忘れることが多くなった。それでもまだ昔のことについては憶えていることが多かったが、だんだんと記憶違いや断片的に忘れてしまうことが増えてきた。
きっと僕と母との想い出の紫陽花のことも忘れてしまっ