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新リース基準について

初めまして。
KOSOパートナーズの桑原麻美です。
私からは新リース基準の概要についてご紹介したいと思います。

2023年5月に改正リース基準の公開草案、ドラフトのようなものですが、こちらが日本の企業会計基準委員会(ASBJ)から公表されました。

こちらを公開して様々な団体から意見を集めたのですが、2024年3月までに確定すれば2026年4月以降に適用予定でしたが、24年1月に延期が決定し、早くても2027年4月以降の事業年度からとなりました。
そのため確定版の新リース基準は不明ですが、IFRS第16号リースが大いに参考になりますので、IFRS第16号の内容も取り入れてご説明させて頂きます。

新リース会計基準とは

新たなリース会計基準では、原則として全ての取引がオンバランスされます。また、「リース」として分類される取引の概念が拡大し、リース会社から調達した物品だけでなく、不動産の賃借契約も「リース」の範囲に含まれることになり、管理対象の契約件数が増加し、財務諸表への影響も大きくなります。

従来の基準との主な相違点

まとめますと下記3点となります。

①リースの定義
 従来は「リース契約」が締結されている取引に限定されていましたが、リース契約が締結されていなくてもリース会計での会計処理が求められる可能性が御座います。

②原則すべてがオンバランス処理
借手のリースについて、オペレーティング・リースとファイナンス・リースの区別がなくなり、従来のオペレーティング・リースも原則として、貸借対照表に計上する必要が御座います。
 特に、不動産賃借については、従来オペレーティング・リースとして取り扱われ、賃借料を費用計上していたのを「リース期間」にわたってリース資産及びリース負債を貸借対照表に計上する必要が出てきます。

③リース期間≠契約期間
 自動継続などで契約期間が「延長」されたり「解約」されたりする可能性がある場合には、契約で取り決めた期間とは異なる期間にわたって、計算が求められるケースも出てきます。
 特に不動産賃借については、2年、3年の期間の契約が多いものの、実態として自動継続する事が多いため、長期間にわたるリース料を対象に計算が求められるケースが御座います。

リース会計基準適用までの過ごし方

IFRS第16号の事例を参考にしたタイムラインは下記の通りとなります。

「①現状把握・影響分析」→「②会計方針の決定」→「③業務の設計」→「④運用のトライアル」
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「①現状把握・影響分析」
 
まずは、基準の理解が必要となります。先行事例としてIFRS任意適用会社様の事例が参考となります。加えて、リース対象、契約期間の算定、金額基準などの主要な論点を整理し、以後のフェーズで検討する内容の洗い出しを行います。

 続いて、契約書の洗い出しとなりますが、特に実質リースに該当する契約の洗い出しがポイントとなります。動産・不動産をはじめとした契約書や契約情報がどのように管理されているかを調査し、一元管理されていない場合は管理方法の見直しの検討を行います。

 次に、影響額を試算していきますが、契約期間の見積方法の違い、割引率の違い等、現時点で想定される影響確認や今後の会計方針検討に利用する材料となる事も考慮して試算を行っていく必要が御座います。

「②会計方針の決定」
 
上記の「現状把握・影響分析」で算定した影響額を元に主要な論点の検討を行い、会計方針の決定を行っていきます。

 他部署や子会社といった関係部署と協議する必要があり、横断的なチーム組成が求められます。

「③業務の設計」 
 続いて、新リース基準の運用を意識した業務プロセスの整備を行います。特に現場から漏れなく契約情報が収集される仕組みを作ることが正確な数値算出において必要となってきます。契約の変更や終了など財務数値に適時に反映する必要があるためです。

 なお、リース資産がオンバランスされますと資産と負債が膨らみROAの低下にともに、KPIの見直しも場合によっては必要になってくるため留意が必要です。

「④運用のトライアル」
 ここまでの整備が終わりましたら、最初から本番というわけにはいきませんので、上記で整備したプロセスに基づきトライアルで運用をしていきます。

 トータルで、準備期間は平均2~3年となりますが、小売業や飲食業、倉庫業等全国に拠点がある会社様は、早めの準備が必要となります。

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 ここまで簡単に概要と適用までの流れについて解説させて頂きましたが、27年4月以降と言っても時間がないという事が分かって下さったと思います。
 現時点で、「現状把握・影響分析」の現状把握だけは先に進めていくとスムーズになるかと思います。

さいごに

 KOSOパートナーズではこのリースについてコンサルティングサービスを承っております。
 会計上の見積もりが多く、判断が多い内容ですので、導入支援やその後の運用についてもお手伝いをさせて頂けますので、ぜひお気軽にお問い合わせ頂ければと思います。

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