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知ってる?ママン No.63"不思議な世界"

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そういえば、この頃・・・僕たち夫婦は不思議な世界に足を突っ込んでいた。もともと、不思議なものが見える聞こえるで困っていた幼少期の経験をもつみきさん。

大人になってからはコントロールができるようになっていたようだが、子どもたちを授かるにつれそのバランスが崩れてきていると感じているようだった。

子どもの中にもその力を引き継いだ子もいたりで・・・そのためにも学びにいきたいと思うようになっていたのだった。僕自身は高校生の頃に流行った「拳児」の影響で八極拳を学びに行ったくらい。

それでも導かれるまま、一緒に様々なところに学びに行った。そして不思議なことに僕の方がその世界にどっぷりとはまり込むようになった。

みきさんの方は波動医療の世界に関心を持ったらしい。シュタイナーとも繋がっていて楽しいと話している。あと、産前産後のケアーの資格も取りにいっていた。

二人ともチグハグなパズルのピースをポケットに詰めるがごとく、がむしゃらに進んでいった時代だったように感じる。

そんな風に過ごしていると次の子の妊娠が判明。

早速、前回の先生のところに連絡をすると先生自身が体調を崩されていてお産の取り扱いができないとの返事をもらった。

またまた・・・。今回はどうしたいのか?お腹の子よ・・・。と僕は思った。

そうこうしているうちに・・・僕の方は昇進が決まり管理職になる人は出向かないといけない合宿いきが決定・・・。ここまで避けて先延ばしにしてきたけど拒否できず・・・。身重の妻を置いての2週間・・・で帰れるか?の旅に。

検診は友人の勧めで聞いた産院へ。そこの先生はとても感じのいい方で僕はここならいいのでは?と思うくらい。けれどみきさんはなるべく医療介助のない形で産みたくて・・・。プライベート出産で家族のみで出産もありでは?と思い始めていて・・・資料をそろえて考えているようだ。

そしてあっという間に時は流れ、合宿に僕は出かけていくことに。

向こうに着くと早速・・・僕の名前は番号に変わった。

今、思うと「千と千尋の神隠し」のようだ。僕と言う存在がなくなる感覚・・・。

携帯電話も没収され外部との連絡はすべて遮断。何が正しいのかなんてわからなくなる。クリアーしないと帰れないサバイバルな感じ。

みきさんたちが荷物に入れてくれたお手紙を一日一通ずつ開き、それを心の支えに生きていた。名前を、自分を取り返す瞬間だった。みきさんはわかっていたのかもしれない。こういう状況になることを。

他のメンバーが日ごとに目の色を失っていく。もう番号でしか返事ができないくらいになっていて・・・そこに恐怖を感じる僕がいた。

チームで夜間ハイクを40キロというのを乗り越えるのが大変と聞いていた。足にフィットする靴や応急処置セット。なぜか梅干し・・・。でもそのどれもが役に立ち・・・感謝しかなかった。

そして僕の最大の関門・・・プレゼン。他のものはすべて一番乗りでクリアーしたにも関わらず・・・ここで引っ掛かり・・・最終日もクリアーできず延長決定。

みきさんと子どもたちがお迎えに来ているかげんもあり、理由を話して電話をさせてもらった。残念そうな声が受話器越しでもわかった・・・。

翌日、心を奮い立たせプレゼン試験。

無事に合格し、帰宅が決定した。人生の中でこんなに追い込まれることはそうそうないと思う・・・。

荷物をまとめ、家路に急ぐ。名を奪われた仲間たちに別れを告げて・・・早くこの場から去りたい一心だった。

駅で電車に飛び乗り、みきさんたちがいる実家に。

みんなが笑顔で迎えてくれた。

心からの安堵を僕は味わったのだった。

次につづく・・・

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