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はぐくみ・うまれ・そだつ No.102"この子にとっての最善とは?"

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先生との話し合いの前に六女ちゃんに読み聞かせ。

お気に入りの絵本を読みながら、いつもならここで一緒に「ドッカーン」と手をあげて大喜びするところ。六女ちゃんは眠り続けている・・・。

再び、彼女にとっての最善を心の中で考えていた。

私やほかの家族にしたらどんな姿であっても一緒におうちで暮らすことが一番だと思われた。

けれど、食べることや踊ること歌うことが大好きな六女ちゃんはどう思うんだろう。

家に帰るとしたら気管切開をすることになる。そうしたら・・・。まず、この状態で自力で食べるようになることは現代の医療だと不可能と宣言されたことがリフレインしていた。

それでも、心臓は健常児レベルに復活してきていて、それをみるとまだ六女ちゃんはあきらめていないんだ、と感じる。

一度、部屋に戻りパパさんと合流し、面談室で先生との話し合いに向かった。

先生たちは現状の六女ちゃんの様子を話しだした。

「現在、思ったよりも安定していて、在宅を目標にするのであれば週末に在宅専門の看護師さんと話す機会を作りましょう。そのほうがイメージが付くと思うので」と話された。

そして「ほかに聞きたいことや伝えたいことはありますか?」と尋ねられた。

わたしはどうしても伝えたいことがあった。

「先生、この間話していただいたことをずっと考えていたのですが・・・六女ちゃんのこれからのことで人工呼吸器を止めてというのはやはり無しなのですが・・・これから容態が変わって人工透析や輸血、その他の薬の投与などを無しにすることは可能でしょうか?

栄養や生きるのに必要なものはお願いしたいのですがこれ以上、無理矢理に・・・というのは酷な気がして・・・。あの子自身の生命力を信じたいんです・・・。もう無理をさせたくないんです・・・。

あの子に力があるのなら在宅になることができるかもしれないし、限界であれば自然と迎えると思うんです。先生たちがここまで繋いでくれた命をあの子は最大限生きている気がするんです。」

「・・・なんで・・・僕にはそんなこと言えない。まだ、あきらめきれない。」とパパさんが呟いた。

「パパ、あの子は本当に頑張っているの。私たちに今も伝えてくれている。あの子が帰りたかったら何としても帰ってくる。だからあの子自身の力を信じよう。」

「・・・そこまで言われたら・・・。」

「パパ、週末にあの子の体拭きや足湯など一緒にやろう。あの子に出来ること最大限しよう。」

パパさんは泣きながらうなずいた・・・。

「お母さんの言われた通りだと思います。たぶん、これから急変などが起きた場合に薬を投与することは彼女にとって負担にしかならず、現状の六女ちゃんから見た目も変わっていってしまうと思われます。

では、これからそのような対応にさせていただきます。ただ、現状は安定しているので在宅に向けての準備もしつつ・・・。そのためにも兄弟面会の準備を早急にしますね。」

そう話し、先生たちは部屋を出ていった。

パパさんは、うつむいたままだった。立ち上がることもできず。

「パパさん、ごめんね。今までの人生、譲りっぱなしだったけど母親としてこれだけは譲れない・・・。」

「落ち着くまでここの部屋を使ってくださって大丈夫なので・・・。」看護師さんが心配そうに声をかけに来てくれた。

「・・・僕は、まだあきらめない。出来ること全部やる。薬がなくてもあの子の命が続く限りやることはある。」

「そうだね。一日、一日を大事に。普通の日常という奇跡を教えてくれた六女ちゃんのためにもね。出来ることをしよう。そして、たとえ体がなくなったとしてもあの子の伝えてくれたことを叶えていかないとね。」

パパさんは大きく深呼吸をした。

「さあ、涙を拭いて六女ちゃんに会いに行こう。大事なふれあいタイムだ。」

そう言って、面談室をあとにしたのだった。

次につづく・・・

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