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知ってる?ママン No.2"上京ものがたり"

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喪主以降、母の要求はレベルアップ。「せめて、あなたぐらいちゃんとしなさい。」と言われ続け生きてきた。

弱いから剣道。暗いから子ども劇団。と母はいろいろと詰め込んできた。

高校も大学も公立でいくように言われていたが大学入試で失敗。建築系に進むことは決まっていたため地元の自宅から通える私立大学に進学。

そして、就職。ここでも母は地元の企業を進めてきた。最大手のゼネコンを受けた。自信満々だった。


ところが・・・まさか・・・落ちた。あわてて、他の大手のゼネコンの入社試験を受けた。

・・・無事に内定をもらい、一安心。春になり配属先がきまり関東に行くことが決まった。

母はしばらくごねていたが大手の一流企業というパッケージが気にいったようで最後は納得してくれた。そして東京暮らしが始まる。

大学受験も就職もなんで失敗したのか今ならわかる・・・本当はぜんぜんやりたいことではなかったから・・・。


母のもとから離れての暮らしが始まった。

最初の一か月は社員研修。同期の仲間と打ち解けあい仲良くなった。そして配属先へ。

大きな競馬場のすぐそばにある場所でマンションを建てる現場だった。毎日があわただしく過ぎ、慣れないことだらけで必死だった。


だんだんと気持ちが追い詰められていた11月。

やたらと元気な職人の親方が入ってきた。担当はエクステリア、通称手すり屋さん。

主任の段取りミスで本来入るはずの業者に逃げられ急遽応援で来てくれた人のようだ。足場も解体された危険な状態でも引き受けてくれた熱い人。手際よくチームで仕上げていく。


昼休憩、いつものコンビニで済ませようとしていると、その親方がやってきて「監督さん、飯食いに行こう☆」と笑顔で誘ってきた。面食らっている僕をそのまま連れていき寿司屋さんへ。

好きなもの食べてという親方。僕はランチを頼もうとすると・・・

「えっ、それ本当に食べたいの?」

「えっ?お値段がお手頃なので・・・」

「本当は何が食べたいの?特上どう?」

「いや、食べてみたいですけど、そんなお金ないんで・・・」

「わかった(^▽^)/大将、特上ちらし2つでお願い☆」

いや、聞いてました??焦る僕。


そして特上ちらしがテーブルの上に現れた。回っていない寿司の上にさらに特上・・・一口食べると・・・今までの寿司とは全然違う。あまりのおいしさにペロッとたいらげた。それを見ていた親方は

「監督さん、いい食べっぷりだね(^▽^)/」とほめてくれた。食べることで褒められたことのなかった僕はびっくり。


そしてドキドキの会計・・・財布を眺めていると・・・

「払っておいたから(^▽^)/じゃあね」と親方は笑顔で去っていった。

それからというものの顔を見るたびに一緒にご飯を食べるようになっていった。父との記憶が少ない僕にとって親方とのランチタイムは幸せな時間となっていたのだ。

あっ、また出会えないまんま終わってしまう・・・。

次につづく・・・

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