知ってる?ママン No.26"空に昇る煙り"
前回はこちら↓
急いで産院にかけ込み先生に、みきさんの外出許可をもらった。
そして病室にいき「赤ちゃんのプレゼントを買いに行こう。」と誘った。
産院のすぐそばにある商店街でベビードレスとタヌキのぬいぐるみを買った。「一人じゃ寂しいよね、タヌキさんと一緒にね。」とみきさん。
そして車の中で僕は伝えた。
「今までさ、本当の意味で父親になれていなかったんだと思う。お父さんやお母さんがすぐそばにいるから僕がやらなくても大丈夫と思っていた。本当にごめん。ずっと、一人で抱えさせていて本当にごめん。・・・昨日、一晩ずっと考えたんだけど夢を拓く人で拓人・たくとくんって名前どうかな?」
「いい名前だね」みきさんが笑いながらうなずいた。
それから翌日。火葬場に僕とみきさんの家族で向かった。みきさんは長男君とお留守番。
順番を待ちながら小さな棺をみんなで見つめていた。するとおもむろにお父さんが棺を開けだした・・・。
「お、お父さん、何をするんですか?」
「こんなかわいい子、抱っこしないで天国に返しちゃダメでしょ。」といって抱きかかえた。
そしてお父さんは僕の腕に赤ちゃんを抱かせた。小さな小さな命。
「たくとくん、いつかパパが成長したらまたこの家族に戻ってきてね。素敵なパパとママになるからね。待ってるよ。約束だからね。」と言いながら小さな体を抱きしめた。
そのあと、みんなが抱っこをしてくれた。
そして順番が来た。小さな棺が・・・扉の向こうに・・・。
扉が閉じ、スイッチが押されたその瞬間、僕の中で何かがはじけた。
周りの目なんか入ってこないくらい・・・世界が・・・僕の中でゆがんだ・・・。
僕は泣いていた・・・声をあげて・・・。
落ち着くために外に出た・・・煙突からは白い煙が上がっている・・・。
彼はお空に還ったんだ・・・。いつか彼に約束した通りの父親になれるようになるんだ。と心に誓った。
家でお留守番していたみきさんも、手伝いに来たおばさんち話した落ち着いたようだ・・・。
その晩、布団で長男君を寝かしつけながらみきさんが話しかけてきた。
「ごめんね、ちゃんと話聞かないで・・・一人で怒ってこんなことになっちゃって・・・。仕事が忙しそうだからって一人で頑張って空回りしているうちに心の中でいろんな思いが溜まっちゃって・・・。」
「僕の方こそ、本当にごめん。あの花を贈ったのは、たまたま友達にその子の話を聞いて罪悪感から解き放たれたい思いとかがあって・・・」
「さとしくん、そこね・・・この間も言いたかったんだけど・・・いきなり自分の事を勝手に振った相手からいきなり花届いたら・・・どんな気持ち?自分なら?」
「えっ?・・・確かに・・・なんだよ、コイツ・・・ってなるね・・・。」
「でしょ、めっちゃ嫌な感じでしょ?ある意味で恐怖のような・・・。」
「ほんとだよ・・・なんてことしたんだぁぁぁぁ(´;ω;`)」
「そういう、ちょっとした思い違い・・・これから摺合せしていこう。 いつもバタバタしていて伝えていなかった事。これから意識的に伝えていくね。」とみきさんが話した。
「7か月の命だったけど、彼は僕たちにたくさんのことを教えてくれた気がするよ。ようやく夫婦になれた気がする・・・。」
「本当だね・・・。」
そんな話をしながら・・・僕たちは眠りについた・・・。
次につづく・・・
続きは明日の22:00更新予定☺︎
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