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「民衆が敵」橘高さんへの恨み言~人権の前にそこに愛はあるんか?~

なんか副題がヤバいですが、もう由良さんが可哀想すぎて眠れないのでとりあえず書きなぐることにしました。
ネタバレしかありません。ご覧になってからお読みください。筆者は橘高さん中の人の限界オタクです。

まずは、全体について。
社会派と聞いて取っつきにくいのかな?と思っていたら全然でした。分かりやすくも考えさせられる。窒息しそうな情報の渦である現代。あらすじは公開されているのを読んで頂くとして、作品としては題材は苦手かもと思ったけどそんなことはなかった。演出が好きでした。PCから見える顔とか、目を隠すことで表現される匿名性とか、照明や文字で表される不安や、場面転換の早足なんかも。とても素直に入ってきた。

あと書きたい事と言えば徹頭徹尾、橘高くんの事ばっかりになるんですけどね。
父、公務員。調査する人。
娘、公務員、教員。イジメ問題とデモ参加で炎上しちゃった人。
娘の彼氏。フリーライター。憲法改悪反対デモの中心に参入した人。調査対象。
もう、これだけで娘さん可哀想じゃないです?
最初はわからないんです。父側も彼氏側の詳細も。
でも段々明らかになっていくんですね。
そして彼女はネット上の匿名の不特定多数に追い詰められていく。彼女のパーソナリティーはあまりに純で頑なで、なにもそこまで、という感じは否めない。でも生い立ちを聞くと、成長過程でその拘りを生む何らかの事件がきっとあったのではないかと思われた。橘高に出会い惹かれたのも、その純粋さに響く言葉を彼が話したからではないか、と思った。
舞台は父の職場、娘の職場、デモの主催団体と3つのシーンを行き来しながら進む。
娘は彼氏・橘高を父に紹介しようと待ち合わせをする。父は既に橘高を調査対象として知っている。
そこに、娘の顔、名前、職場がネットに晒され「教員のデモ参加に対するバッシング」が吹き荒れる事となる。
学校側の対応要請、父からのアドバイス、橘高からの進言。
彼女の選んだ道は橘高の意見に近いものだったけれど、それは炎上を助長させることが明白だった。自分を曲げたくない、彼の言うように正しいのは此方なのに負けてはいけないのだから。こうすることが少しでも彼の役に立てるのなら。
そうであるのに、ある日父から橘高についての事実が知らされる。
橘高の名前が本名ではないこと。
いやさぁ!!!ホント橘高クソ野郎過ぎません?!
言動はホント見てください。流石池永さん、某所で「魔王」と異名を取るだけはある。恵まれた容姿、頭脳、カリスマ性、甘い声、魅了されるに十分すぎる人物を見事体現していて、余計に腹が立つんですけど!!
本名を明かされないというのは、女にとっては致命的なんですよね。名前なんていいじゃないかとか、愛し合ったのは名前じゃないとか、そういう事ではなくて、その事実を自分の口から話してくれなかった事が最低最悪だと思うんですよ。私の個人的見解ですが。
どこまで信じていいか、わからなくなるじゃない。信じたくても「この人は私に本当の名前すら教えてくれなかった」って思うじゃない。
おまけに自分に惚れた理由そこ?!って思ったらそりゃ……冷めますよ。どんなに愛しくても許せませんよ。
どんなに人権を訴えていたとしても、愛する人を悲しませる事が何なのか、わからなかったらダメなのよ。
愛しているなら、まるごと伝えてあげてほしかった。きっとお似合いだったはずなのになんでそこを黙ってたかなぁ、もぉーーーーー!
フリーライターの橘高さんがどんなに過程を経て、あの人になったのかは別の物語が2、3本かけそうなくらいは複雑そうだけど、アジテイターとしてあんなに怖い人がいるだろうか。優しくて残酷な魔物のような魅力を持った人。過激で何がいけない、目的達成できるならそれで構わないじゃないか。そんな価値観の男と結婚できる女がいると思ってるのか?君は目の前の愛する女の何を見てるんだ?彼女が本当にこの状況を、そんな事を望んでいるように見えたとでも?いや、お願いだから。
愛しているのなら、彼女を理解してあげて欲しかった。傷ついた彼女を癒してあげて欲しかった。立ち向かう彼女ではなく、穏やかに幸せそうに微笑む彼女にしてあげて欲しかった。
そういえば、二人の距離感が恋人というにはやたら遠かったのは感染性対策なのかな。それとも橘高が作為で近づいたから、ということなのかな?
なんにせよ、あーホント、腹立つ。
ルポで失敗して仕事干されてしまえ!
ここまで書いてきて読み返したんですが、いやホント何かトラウマでもあるんじゃないかと思うほどのディスり三昧ですね。
だが、そこが良い!!!
(限界オタクスイッチオン)

登場した瞬間からもうね、脚が長いんてすよ(そこ?) キーを打つ指も長くてめっちゃキレイなんですよ。
で、爽やか路線から導入なんですよ。優しいんですよ。
ズルくないですか?!?!
イイ人だと思っちゃうじゃないですか。カッコいいし、優しいし、頭良さそうだし、好き。ってなっちゃいますよね?
それが、なんか不穏になってくるんですよ。
尖鋭になるべきだ!と言う青年にその通りだと同調してさらに焚き付ける。それを周囲に拡張させ、邪魔になった中心人物を数で排除する。集団には過激さを増長させ、集団に攻撃される恋人には矢面に立つことを推奨し、その意志を尊重するに見せて従わせる。
いやもう、女の目を見て説得する団長は絶対人外なのよーー!!(違う、そうじゃない)
好き!(好きなんかい!)
礼儀正しく、正論によって相手を誘導する。
もの柔らかな話し方でその実はとてつもなく冷酷な決断を迫る。
甲子太郎先生かな?(違う、そうじゃない)
ともかくも、あのお方の説得力も求心力もあんなもんじゃないです。これからまだまだ伸びます。一夜とか二夜目で最後の狼になっても最後まで勝ち残る魔王ですからね。まだまだあんなもんじゃないですよ。(だから違う、そうじゃない)
「目が笑ってないー!絶対人狼ー!」って帰り道に言われてました。私は「いや狂陣かも」って言いましたがいずれにせよ、橘高さんは最初から最後まで投票対象です。ちゃうわ。調査対象です。
いや、本当にお願いしたいのは、由良さんと橘高さんのif世界線の仲良しツーショットですよねぇ…。もうね、由良さんに幸せになってほしい。演出にヤな女とか言われてたけど、悪い子じゃないですから!!
橘高、という役はこの舞台全体に対するアジテイターでもある。彼の言動で事態が加速していくから、さらにこなれてきたら最高に怖いと思うんですよ。
それが見たい。彼女を失うけど、それでもと立ち向かう狂気が見たい。
彼女を本当に愛していてうちひしがれるのか、それとも惹かれてはいたけどまぁ想定内だからな、それより、なのか。後者な気がする。
「民衆が敵」という題名が全てを表していて、調査室が敵対する「民衆」、父娘が敵対する「民衆」、橘高が敵対する「民衆」、全て同じであって全て違う。
橘高が一番狂ってる。自分以外を全て敵として生きてるんだから。唯一味方だった恋人すらも捨てて。
その理由は「民衆」と同じ承認欲求なのか、それとも決して譲れない信念となる過去でもあったのか。
彼はこれからこの情報という雑音だらけの世界の荒波に飲み込まれてどこへいくのか。

要するに私は、橘高さん好きすぎるな?

「先に言ってよぉー!お父さん情報!」
は、可愛すぎるので投票します。
皆の者、ギャップに息絶えるが良い。

いや、もう、コレ、感想じゃなくない?感想って題名から外してくる!
兎にも角にも、池永ファン必見。
ストレート芝居の推しはとてつもなくよかったです!!!
以上!!(ぜぇはぁ)

……今夜眠れる気がしない。(寝なさい)

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