遠近感

先ほど、離陸していく飛行機からの飛行機雲を見た。

そんなつもりだったのだが、ふと気づく。
何を見て、この飛行機が離陸中と分かったのだろうと。
最寄りの空港は、伊勢湾の対岸にある中部国際空港。たしかに、そちらの方向から来てはいる。だが、空港までは直線距離で約30km。高度を上げていくにつれて、機体が小さくなっていくのに気づいたのでもない。……実際には遠ざかっているのだろうけれど、もともと遠くのことなので、見た目の大きさが多少変わっても気づけないだろう。
では、音が聞こえたか?離陸時特有の轟音が……いや、これも聞こえない内に、見つけた飛行機雲だった。

だということは、空高く巡航高度で飛ぶ飛行機からの雲と、離陸時の雲とを、遠近感で区別できたのに違いない。

遠近感、思えば不思議な知覚である。
遠近感を感じる仕組みで、よく取り上げられるのは、2つの目での立体視である。右目と左目とで、目の前の物が見える角度が違う現象を、頭の中で合成して、遠いか近いかを判断している。……しかし、1kmも離れてしまうと、ののしくみが働かなくなる。右目と左目とで、見える方向に区別つかなくなるからだ。
つまり飛行機の場合には、別な仕組みが働いて遠い近いを区別している……。絵を描く時に使う『遠近法』がそれ。『2倍遠くなれば、見かけの大きさが半分になる』という原則。そう描けば、奥行き感を自然な形であらわせる。
だが……この仕組みでも、働く距離の限界がある。極端な話、星(恒星)ほど離れると、見かけが小さくなりすぎて、1光年だろうが100光年だろうが距離によらず『点』でしかない。
分数の宿命で、分母が大きくなると、分母の変化の割に分数の変化が見えにくくなる……グラフを書いたら、歴然のこと。
では、その遠近法の限界の距離がどこにあるか、何が原因で遠近法も効かなくなるか、次回書いていこうと思う。
(以下、ワタシ自身、調べながらになります……汗)


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