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Which of the following clinical conditions occurs in patients acutely after severe burns?
a  polyuria
b  hyperlipidemia
c  hypovolemic shock
d  venous thrombosis
e  compartment syndrome

第118回医師国家試験

正解:c

解説

(日本語訳)
重度の火傷を負った患者に急性期に起こる以下の臨床症状はどれか?
a  多尿
b  高脂血症
c  (循環)血液量減少性ショック
d  静脈血栓症
e  コンパートメント症候群

a. polyuria(多尿)

  • 重症熱傷の急性期には、血管透過性の亢進により細胞外液が血管外に漏出するため、尿量は減少する。

  • 多尿は、熱傷の回復期に見られることがあるが、急性期には典型的ではない。

b. hyperlipidemia(高脂血症)

  • 重症熱傷の急性期には、エネルギー需要の増大により脂肪分解が亢進するが、高脂血症は通常みられない。

  • 高脂血症は、長期の絶食や高カロリー輸液などによって生じることがある。

c. hypovolemic shock(循環血液量減少性ショック)

  • 重症熱傷では、血管透過性の亢進により細胞外液が血管外に漏出し、循環血漿量が減少する。

  • その結果、循環血液量減少性ショックを呈することが多い。

  • 重症熱傷の急性期に最も典型的にみられる病態である。

d. venous thrombosis(静脈血栓症)

  • 重症熱傷では、凝固能が亢進し静脈血栓症のリスクが増加するが、急性期よりも回復期以降に生じることが多い。

  • 急性期には、むしろ出血傾向を呈することが多い。

e. compartment syndrome(コンパートメント症候群)

  • 熱傷により筋膜に囲まれた筋区画内の圧が上昇し、筋区画内の循環障害が生じる病態である。

  • 重症熱傷では、熱傷部位の浮腫が強く、コンパートメント症候群を生じる可能性がある。

  • ただし、全身性の病態ではなく、局所の合併症である。

考察

重症熱傷の急性期には、血管透過性の亢進により細胞外液が血管外に漏出し、循環血漿量が減少する。その結果、低容量性ショックを呈することが最も典型的である。多尿、高脂血症、静脈血栓症は、重症熱傷の急性期には典型的ではない。コンパートメント症候群は、重症熱傷に合併することがあるが、全身性の病態ではなく局所の合併症である。重症熱傷の病態生理を理解し、急性期の全身管理を適切に行うことが重要である。

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