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#140字小説『人間嫌いの最期』

ある所にお爺さんがいた。

長い人生で恋愛を一回もした事の無い変わり者のお爺さんだった。

彼はいつも苦虫を噛み潰したような顔をして、路上に唾を吐きながら言った。

人間なんかに生まれてくるもんじゃねぇ。

そのお爺さんが死んだとき、一緒に住んでいた猫がにゃあと鳴いた。

それがお悔やみの全てだった。