ホラー映画『マリグナント 狂暴な悪夢』のネタバレあらすじ
*以下の映画あらすじは、小説の勉強のためにセイブザキャットの構成分析用に書き出したものです。
シミオン研究所病院1993年。
舞台は、ウィーバー博士の映像記録から始まる。
博士「ガブリエルは強くなったうえ、明らかに悪意を持つようになってきたわ。
このまま力が増し続ければ、もう彼を抑え込めない」
「しかし、まだ私としては…」
そこで停電が起こる。
スタッフ「博士。また彼が病室外へ」
危険を感じた博士は、スタッフと現場へ急ぐ。
廊下ですれ違った医師から「電気ショックが効かず、機器類が制御不能に」との報せを受ける博士。
病室の前に行くと、部屋から廊下へと研究仲間が放り出される。
騒ぎを鎮めるため、部屋に入ろうとするウィーバー博士がスタッフに「殺されてしまう」と言って止められる。
その間にも、部屋からドアにスタッフが打ちつけられて、負傷していく。
麻酔銃の準備を整えた警備員に、博士が「鎮静させる」よう命じる。
恐る恐る、ドアを開けた警備員が麻酔銃を構えるも、中の患者に腕の骨を折られてしまう。
絶叫をあげる警備員。その瞬間に、廊下の電気が弾け飛んだ。
隙をついた博士が、麻酔銃を中にいる患者に命中させる。
暴れ回っていた患者は、最後に大きな叫びをあげて倒れた。
博士たちが中に入ると、医療スタッフたちの死屍累々の山が。
博士は、倒れた患者を「椅子に固定させる」よう警備員に命じる。
ウィーバー博士「あなたはとても悪い子よ。ガブリエル」
視線の先には、繋がれた怪物が蠢く姿が。
怪物はラジオの電波を乗っ取り「お前たちを一人残らず殺してやる」と宣言する。
驚いた博士は「彼を救えると思っていたけど、間違っていた。
今こそ、悪性腫瘍を切除しないと」と言い放つ。
プロローグが終わり、オープニングクレジットに入る。
クレジットでは、怪物の解体手術や入院記録が流される。
患者の名前はエミリー・メイと映った。
舞台は変わって、数十年後の現在。
仕事から家に帰ったマディソンは、二階のベビールームへ入る。
身重の彼女を迎えたのは、昼間からTVを観ている夫のデレクだ。
デレク「おかえり。今日は、夜勤かと思っていた」
マディソン「そうよ。でも、この子に苦しめられて」
それを聞いたデレクは「どういう意味だ?」と訝しむ。
マディソンは「分からないけど、いつもより暴れるのよ」と答えた。
鎮痛剤を探す彼女に「そんなに痛むなら、仕事に行くのはよせ」と嗜めるデレク。
しかし、彼女は夫の観ていたTVを消して「いいえ、大丈夫よ」と告げる。
マディソン「デレク。少し眠りたいの」
マディソンは疲れていたが、デレクはTVを消された事に腹を立てた。
その流れで、彼は「今までの流産を妻のせいだ」となじる。
口論が火種となり、デレクはマディソンに暴行。彼女は頭をひどく壁に打ちつけた。
デレク「マズい。ごめん。悪かった。氷を持ってくる」
倒れたマディソンは、夫が一階に氷を取りに行っている間に、扉を閉めた。
壁に寄りかかり、膝をつく彼女。手で触れると、頭からは血が流れていた。
デレク「マディ。本当にすまなかった」
扉越しに夫は謝るが、赤ん坊が心配な彼女は、戸を開こうとしなかった。
その夜。
部屋に入れてもらえず、一階のソファーで寝ていたデレクは、物音に気づいて目が覚める。
キッチンに入ると、空のミキサーが動いていた。
スイッチを止めると、後ろにあった冷蔵庫が一人でに開く。
デレク「何だ?」
冷蔵庫を閉めると、今度は居間からTVの音がした。
駆けつけると、ソファーに座る謎の人物がTVを観ていた。
一瞬、停電して灯りを点けると、不穏な人影は消えていた。
だが、元に戻ったクッションは、一瞬前まで、誰かが座っていた事を示していた。
奥の部屋に近づくデレク。その背後には、先ほどの人影が。
黒々とした髪しか見えないその人物は、力任せにデレクの頭を潰す。
不穏な兆候を感じたマディソンが、ベッドから目覚めると、枕にべっとりと血がついていた。
手で頭に触れると、痛みとともに、血の出所が頭だと分かる。
マディソン「デレク」
夫を探しに居間に入った彼女は、そこでデレクの首のねじれた死体を発見する。
驚いて見入っていると、死体の影から黒々とした怪物が姿を見せた。
怪物は、二階へ逃げるマディソンを追いたてる。
マディソンは必死に抵抗したが、ドアごと吹き飛ばされて気を失う。
通報に駆けつけたケコア刑事は、凄惨な現場を目撃して「ひどいな」と気後れしてしまう。
マディソンが目覚めると、病室で妹のシドニーが看病をしてくれていた。
マディソン「ここはどこ? 何があったの?」
シドニー「大丈夫。病院よ」
マディソンは「デレクは?」
そこで、シドニーは、デレクと赤ん坊の死を伝えた。
マディソン「そんな。ひどい。あんまりだわ」
悲しみと喪失感に取り乱すマディソン。
翌朝、刑事のケコア・ショウが、生き残ったマディソンに質問をしにきた。
放心状態の姉の様子を見に、仕事着のシドニーも現れる。
ケコア刑事「お尋ねします。お姉さんとご主人を恨む人物は?」
「強制侵入の跡がない。顔見知りの犯行の可能性があります」
シドニー「さあ、デレクは私を遠ざけていたから」
ケコア「過去にも流産を。医者の話では、この2年間で3度も」
シドニー「なんてこと。知らなかった」
「なぜ黙っていたの」と姉に抱きすがるシドニーに「何かあれば連絡を」と伝えて、ケコアは病室を去る。
遺体の解剖や、現場の調査結果を同僚のレジーナから聞いたケコアは、死んだデレクが「日常的に、妻にDVを行なっていた」ことを知る。
そのことで、マディソンへの事件の容疑が深まる。
2週間後。
妹に見送られたマディソンは、家に帰ってきた。
マディソン「娘を守ってあげられなかった」
シドニー「ここにいる必要はないわ」
マディソン「でも、ここが私の家なのよ。家まで奪われたくない」
シドニーは心配だったが「大丈夫よ。約束する」と告げて、マディソンは一人車を降りた。
夜になり、マディソンは窓辺の街灯が、点滅している事に気づく。
二階の窓から外を覗くと、怪しげな人影の気配が。
怯えた彼女は、部屋中のカーテンを閉めて回った。
しかし、裏の勝手口が開いていた。
すでに侵入者が入りこんでいないか、辺りをキョロキョロするマディソン。
そこへ、風で閉めた扉が再び開いたので、彼女は驚いて逃げた。
慌てふためいたマディソンは、扉をそのままに2階へ入ってドアを閉める(この間、上からのカメラアングル)
部屋へ逃げこんだマディソンは、「ここには誰もいない。誰も…」
「想像よ。頭の中のこと」と繰り返して、自分を落ち着かせた。
その晩、それ以上の何かが彼女を襲うことはなかった。
日が昇ると、マディソンは工具を出して、部屋中のドアに錠をかけた。
姉の様子を見にきたシドニーは、玄関に鍵が掛かって入れない。
そこで、仕方なく二階へ登って、姉に窓を開けてもらった。
マディソンは壁の傷を見て「デレクに頭を叩きつけられた」事を思いだす。
それを聞いたシドニーは「大変な目にあったのね。奴は死んで当然よ」と言い捨てる。
マディソンも「今まで何度も別れようと考えたけど、その勇気が出たときに妊娠が分かった」と答える。
そして「誰かと血の繋がりを持つこと」を知りたかったと告げ、「8歳のときに養子縁組で、今の家族に引き取られた」ことを明かした。
その夜、あるツアーガイドが、シアトル旧市街の歴史博物館で、その日最後の客案内をしていた。
だが、帰ろうとすると、急に道内が暗くなる。
ガイドは「終了です。そこにいては困ります」と呼びかけたが、返事はない。
ガイドが近づいたが、気配はなく、気のせいかと思って帰ろうとした。
しかし、離れると暗闇で物音が聞こえた。
恐ろしくなったガイドは、走って戻り、道内の灯りを点ける。
そこには何もなかった。かに見えたが、天井に気配を感じて上を見上げる。
すると、配管の上から黒づくめの醜悪な怪人が襲ってきた。
気づいた彼女は、口を布で覆われて、体を壁に縛り付けられていた。
近くには、彼女を襲った怪人がいて、黒いコートに着替えていた。
怪人は直接話すことなく、ラジオを通して呼びかけた。
「とても言葉にはできない。どれほど長く、俺がこの時を待っていたか。
だが、まだだ。まずは、ウィーバー博士だ」
そう言って、ウィーバー博士に携帯から連絡をかける。
電話にでた博士は「今こそ悪性腫瘍を切除しないとな」という謎のメッセージに困惑した。
電話に心当たりのある博士は、過去の資料から、ある患者の記録を探す。
その夜、洗い物を洗濯機にかけようとしたマディソンは、
頭に痛みを感じて、手をやると傷が開いて出血していた。
洗濯機に洗い物を入れていると、フタのガラスに映った顔が急に叫んだ。
それはウィーバー博士だった。
博士は「うちで何を?」と問いかけ、マディソンは「私のうちよ!」と答えた。
だが、博士が問いかけたのは、マディソンでなかった。
マディソンは、急に金縛りにあって体が硬直してしまう。
その後ろから現れた影が、博士に掴みかかった。
影の怪人は、荒っぽく博士を床へ叩きつける。
すると、マディソンの周りの景色がウィーバー博士の部屋に変わった。
怪人は博士に語りかける。
「悪性腫瘍を切除しないとな」
それを聞いた博士は、驚いて「まさか。あり得ない」と答えた。
怪人は博士を壁に叩きつけ、傷を負った博士は、這いつくばって逃げようとした。
その横では、切っ先の鋭利なトロフィーが落ちていた。
トロフィーを武器にした怪人は、キッチンで博士を捕まえて、撲殺してしまう。
マディソンが叫んだとき、辺りはすでに明るくなっていた。
殺害現場に着いたケコア刑事は、鑑識のメラニーから「凶器に使われたトロフィーの上半分が消えている」と告げられる。
警察は、現場の凄惨さから、デレク殺害犯と同一人物とみて捜査していた。
博士の家には、出しっ放しの少女の写真が落ちていた。
それは、マディソンの姿に酷似していた。
その頃、怪人は手に入れたトロフィーから剣の部分を切り取り、秘密部屋で研磨していた。
相変わらず、ガイドの女性は吊るされたままだった。
トイレで嗚咽していたマディソンは「自分を襲った男が、博士を殺した」とシドニーに話す。
姉は「博士が殺される様子を、その目で目撃した」という。
署内で資料を読み解く、ケコアとレジーナ。
亡くなったウィーバー博士の専門は、小児奇形だった。
あるマンションの一室。
そこには、ウィーバー博士の訃報に、不安を募らせる老人がいた。
ショックを隠しきれない男性が、電話越しの相手との通話を切ると、窓が開け放たれていた。
雫は室内まで続き、クローゼットの中にまで入りこんでいた。
タオル代わりに衣服で水を拭き取る男性。
窓を閉めようとすると、背後で怪しい何者かの影が。
だが、老人は気づくこともなく、窓を閉めてベッドに向かった。
外では嵐が吹き荒ぶなか、マディソンはベッドで横になっていた。
ふと、彼女が気づくと、ツインベッドの隣に見知らぬ老人の寝顔が。
驚きのあまり、悲鳴をあげてしまう彼女。
その後ろから、髪を垂らした怪人が現れ、ベッドに眠る老人を滅多刺しにした。
怪人と目があったマディソンは、まるで脳に直接目玉が張り付いているような醜悪な姿に栗毛だつ。
彼女は、大声をあげて泣き叫んだ。
だが、辺りはすでに朝になっていた。
駆けつけたシドニーは、姉に抱きついて宥める。
姉の頭は、また出血していた。
堪らなくなったマディソンは、妹と一緒に、警察署へ事情を話しに出かけた。
ケコアとレジーナは「姉が殺すところを見せられている」という話に半信半疑だったが、手がかりの少ない現状では、追い返さずに協力を頼むことにした。
マディソンは刑事たちを、事件が起きたと知った「シルバーカップ・アパートの屋上」へと誘う。
二人を置いて、刑事たちが部屋に入ると、昨夜殺された老人の死体があった。
署内に帰って、マディソンから得たモンタージュを見る刑事たち。
レジーナは思わず「グーニーズのスロースを手配するの?」と冗談を吐いた。
その絵は、とてつもなく醜悪で、人の姿とは思えない顔だったのだ。
マディソンがトイレに行くと、頭痛と同時に停電が起きて、発信者不明の着信が携帯に鳴った。
彼女がでると「やあ、エミリー」と相手から応答が返ってくる。
そこで、彼女は「私の名前はマディソンよ」と訂正した。
相手の男は「君の偽の母親が、マディソンと名付けた」と即答する。
そして、男は「空想の声として、追いやられた自分が、連中のしたことの代償を払わせる」と恨めかしく言い放った。
マディソンは思わず「ガブリエル、やめて!」と怒鳴った。
知らないはずの名前を知っていた事に、彼女がたじろぐと、電話越しの相手の男が笑いだした。
男は「ほらな。心の奥では、ずっと分かっていたんだよ」と告げる。
「やめて。お願いだから」と懇願するマディソンに、男が「ようやく始まったばかりだ」と答えて、電話は切れた。
気分を悪くしたマディソンとシドニーが帰ると、ケコア刑事に調べ物を頼んでおいた男が、写真を持ってきた。
なんと、ウィーバー博士の屋敷に落ちていた写真の少女は、マディソンだったのである。
ケコア「彼女が患者か」。マディソンの事件への関与がますます疑われる結果に。
帰る途中、ガブリエルの正体を尋ねに、妹を連れたマディソンは義母の家を訪れる。
マディソン「ガブリエルは誰?」
その言葉に、義母は顔を凍りつかせた。
彼らは家に入って、マディソンが9歳になるバースデーパーティーの録画を見た。
パーティーの席で、少女のマディソンは周りからは誰もいない空間に話しかけていた。
ガブリエルの正体は、彼女だけが見えるイマジナリーフレンド(空想の友達)だった。
そして、録画テープには続きがあった。
シドニーを妊娠したミッチェル夫人が映った後に、義父が電話をしているマディソンに映し替えた。
すると、彼女は「赤ちゃんを傷つけないで」と不気味な発言をする。
テープが終わると、ミッチェル夫人が「マディソンがしていたガブリエルとの会話にゾッとしたわ」とため息をついた。
「ガブリエルは、私のイマジナリーフレンド(空想の友達)なの?」と尋ねるマディソン。
義母のミッチェルは「あなたが、うちの家族になる前の日々は、想像を絶する苦痛だったはず。それに打ち勝つために、ガブリエルを創ったのね」と答えた。
署内では、ケコア刑事が、ウィーバー博士の捜査資料の中に、メモリーデータがあったのを見つける。
そこには、「患者のエミリー・メイが入所してから、7年が経ち、当患者が精神異常をきたしている」との報告が。
協力を依頼した二人の医者には、被害者のフィールズ博士と、もう一人、グレゴリー博士がいた。
「まずいぞ」。博士の危険に気づいた刑事は、グレゴリー博士の住居を検索した。
マディソンの幻は強固になり、起きて鏡の前に立っている時に、グレゴリー博士の鏡像が映しだされる。
周囲の空間が変化し、マディソンの前に、湯船に浸かるグレゴリー博士が。
だが、彼には彼女の姿は見えないようだ。
すると、マディソンの背後から、トロフィーを加工した剣を握りしめる怪人が現れた。
「グレゴリー博士。シアトル警察です」
博士の危険を察知したケコア刑事が、家に駆けつけるも、すでに殺された後だった。
マディソンは「刑事さん。彼はまだここにいるわ」と警告するも、彼からは姿が見えない。
ケコア刑事が驚いていると、背後の壁に隠れた怪人が、剣を振り上げて襲いかかってきた。
その顔は、モンタージュ通りの醜悪な姿だった。
乱闘の末、ケコアは銃撃を試みたが、犯人は逃げる。
窓ガラスを破って、非常階段に出た犯人。
なんと、怪人は非常階段を飛び降りながらの、逃走を企てる。
その様子を見たケコアは「嘘だろ」と栗毛だった。
逃げる犯人を追うケコア刑事。
路地で、建物の中に逃げた犯人をさらに追いかけていった。
怪人が逃げこんだのは、ガイドが襲われたシアトル旧市街だった。
壁を蹴り壊して、さらに逃走する犯人。
ケコアが撃った銃弾も避けられてしまう。
博物館の先には、霧がかかった部屋があった。
消えた犯人を捜していると、急に馬車が突っ込んできて、ケコアは危うく回避した。
馬車に隠れた犯人と揉み合いになるが、天井に空いた穴に、逃してしまう。
その後、刑事たちはマディソンを訪ね、自宅で催眠療法を試みた。
深層意識に働きかけられたマディソンは、病院から新しく家に迎えられた時も、ガブリエルが着いてきた事を思いだす。
少女のマディソンは、玩具の電話からガブリエルに指示を受けた。
彼女は、ママを喜ばせるためのサプライズとして、ケーキを切るよう仕向けられる。
しかし、それは幻で、現実世界では包丁を眠るミッチェル夫人のお腹に向けていた。
すんでのところで夫人に咎められ、正気を取り戻すマディソン。
「私はやってない」と大声を張りあげながら、催眠状態も解けてしまった。
ケコア刑事に「ガブリエルの望みは何か?」と問われた彼女は「彼は赤ちゃんを傷つけろと言ったわ。シドニーが生まれたら、私が彼を必要としなくなるから」と答える。
そして、シドニーが生まれると、ガブリエルの記憶もマディソンの頭の奥へ消えたという。
殺人者がガブリエルと名乗ったと彼女は言い、女性刑事は「つまり、あなたのイマジナリーフレンド(空想の友達)が殺人犯だというの?」と問いかける。
マディソンは答えられなかったが、そうしている間にも、壁に吊るされた女性が縄を抜けようとしていた。
ナイフを掴みとり、紐を切り裂いて脱出に成功した彼女。
しかし、腐った床が抜け落ち、落ちた先は、マディソンたちのいる居間だった。
シドニーは止めたが、決定的証拠が見つかったとして、マディソンは容疑者として警察に捕まる。
屋根裏部屋には、凶器であるトロフィーを加工した剣もあった。
取り調べを受けるマディソン。
彼女が追い詰められると、部屋の電気が壊れる。
そして、発信者不明の着信から、ケータイに連絡が掛かってきた。
「お前は何者だ?」という問いかけに、相手は「もう彼女が話したと思うが。俺は彼女の想像の産物だ」と言って、高笑いをあげた。
マディソンは、彼のことは「悪魔と呼んでいたわ」と静かに告げる。
その頃、シドニーは、90年代に閉鎖されたという、シミオン病院へと向かっていた。
車を飛ばして、城のような病院に着いた彼女は、さっそく中を調べる。
廃病院を進むと、落書きのある部屋につき、案内板を見つけた。
プレートには「記録保管室、地階」と書かれていた。
その頃、マディソンはゴロツキのたむろする留置所へ入れられていた。
場面は戻り、記録保管室へ着いたシドニーは、エミリー・メイ時代の姉の資料を見つける。
そこには、ある医療記録が残されていた。
ビデオ資料には、マディソンの実母である、セリーナ・メイの姿が映っていた。
15歳でレイプによる望まれない妊娠をしたセリーナ。
彼女は、ある理由から、実験対象として生まれた我が子を、ウィーバー博士に預けていた。
厳格なクリスチャン家庭に育てられたセリーナは、レイプによる妊娠を「神への冒涜だ」と親に告げられていた。
博士の言葉に承諾し、子供を渡す書類にサインしたセリーナ。
だが、彼女は現在、集中治療室で昏睡状態だ。いつ目覚めるかも定かでなかった。
ケコアと同僚の刑事も、昏睡状態の女性が、マディソンの実母だと突き止めていた。
シドニーが、ビデオテープを替えると、マディソンの姿が映っていた。
彼女は、ガブリエルという何者かに操られて、同じ院内の孤児に危害を加えたことで詰問されていた。
映像が進むと、視聴していたシドニーとミッチェル夫人は度肝を抜かされる。
なんと、ガブリエルの正体は、マディソンの背中に植え付けられた寄生系双生児だったのだ。
その頃、マディソンは同じ留置所にいたゴロツキどもに、襲われていた。
ビデオテープの中で、医師は電気治療を試みたが、電波を操るガブリエルに機器を破壊されて、使用不能になっていた。
今までの犯行は、同じ肉体に棲む、ガブリエルがマディソンを乗っ取って行っていた事が分かる。
エミリーから栄養素を奪い続けるガブリエルを、ウィーバー博士は切除しようと試みた。
だが、同じ肉体を共有しているために、完全摘出は叶わず、脳のみを残して、ガブリエルの体を取り払ったのだ。
留置所では、暴行を受けたショックで、マディソンの後頭部に眠っていたガブリエルが目覚めてしまった。
後頭部を裂いて現れる、異様な姿に、囚人たちは恐れ立ちすくむ。
目が覚めたガブリエルは、マディソンの骨格を脱臼させて、裏返しに動き始める。
その力は、素手で人体を砕くほどだった。
マディソンの体を支配したガブリエルに揉みくちゃにされて、囚人は全滅する。
緊急事態に駆けつけた警官も、死体を盾に殴られて、鍵を奪われてしまう。
外出から帰ってきたケコアに、シドニーからの連絡が。
「ケイ、聞いて。ガブリエルは、マディソンの体の中にいて、人形のように彼女の体を操っているわ」
それを聞いたケコアは、思わず「シドニー。馬鹿なことを言うな」と答えた。
だが、構わずにシドニーは続ける。
「医療記録を見たわ。ガブリエルは、寄生系双生児よ。長いこと眠っていたけど、マディソンの頭がデレクに叩きつけられた事で目覚めたの」と告げる。
その頃、証拠物件の確認にきていた監察官のメラニーが、外で銃撃戦が行われている事に驚いていた。
そこにも、電子ロックを壊して、ガブリエルが入ってきた。
メラニーが隠れていると、ガブリエルは証拠品の中から、コートと手袋、凶器の剣を取りだした。
ケコア達が駆けつけた時には、時すでに遅く、死屍累々の山が署内に築かれていた。
ガブリエルは、詰所の明かりを怪電波で壊し、停電させた隙をついて侵入する。
マトリックス張りの派手なアクションで、警察署員を次から次へと、血祭りにあげた。
銃撃をかわして斬りかかる怪人に、署内の警察官たちは歯が立たない。
加勢に来た婦警にも、死角から飛びかかり、腕を砕いてしまう。
ケコアが「マディソン!」と呼びかけると、深層意識の留置所にいたマディソンの周りに、警官達の死体が現れる。
追い詰められたケコアを救おうと、レジーナが勇敢に立つ向かうが、腹を裂かれてしまう。
怯むことなく応戦して、拾った大口径銃を手に、撃ちまくる彼女。
追い詰められたガブリエルは姿を消し、その隙にケコアとレジーナは逃げようとした。
そこへ、ガブリエルが放り投げた椅子の重い一撃がヒットする。
彼らが倒れている間に、意気揚々とガブリエルは逃亡してしまった。
駆けつけたメラニーに、ケコアが「奴は母親を狙っている」と告げ、舞台はセリーナが眠る病院へと移る。
シドニーが病室の前に来ると、止めに入った警備員のペースメーカーが弾け飛んだ。
停電から明るくなると、シドニーの前に、ガブリエルが現れた。
ガブリエルはシドニーに襲いかかる。
ガブリエル「やっとお前を殺せる。彼女は俺より、お前を選んだ。血縁の俺でなく。生まれる前に殺すべきだったんだ」
今まさに剣が振り下ろされようとした時、昏睡状態のセリーナが目覚めて、ガブリエルに呼びかけた。
セリーナ「ガブリエル。どうか私を許して。あなたを手放すんじゃなかった。あなたは私の息子。何があろうと愛するべきだった」
ガブリエルの体から力が抜けた瞬間、後ろからケコアが銃弾をお見舞いした。
シドニー「ダメ!姉の体を傷つけている」
シドニーが止めに入った隙をついて、ガブリエルはケコアに剣を投てきした。
ケコアは勢いで廊下に吹き飛ばされ、肩を貫かれる。
自暴自棄になったガブリエルは「やれ!殺せ!」とけしかけるが、シドニーには姉を撃てなかった。
シドニーは、ガブリエルの投げたベッドの下敷きになり、銃で射殺されようとした。
シドニー「マディ。聞こえているはずよ。彼と戦って」
「意識がない」と言い放つガブリエルにも構わず、彼女は「彼がお腹の子を流産させたのよ。再び現れるために、胎児から栄養を奪った」と告げた。
「マディ。意識を取り戻して」
呼びかける声にも虚しく、シドニーは射殺され、セリーナも窒息させられた。
母殺しをしたガブリエルが「今やモンスターだ」と零すと、どこからともなく「あなたは最初から、モンスターだったわ」というマディソンの声が。
ガブリエルの周囲の世界が消え去り、現れたマディソンは「あなたの意識を支配できる」と告げた。
現実世界では、シドニーはまだ殺されておらず、二人の意識下の中で、マディソンはガブリエルを心の牢獄に閉じこめた。
同時に、マディソンが目覚めて、後頭部の顔も塞がった。
マディソンは何十キロもあるベッドを、「同じ体なのよ。彼がやったのなら、私にもできるわ」と言って持ちあげ、シドニーを助けた。
妹を救いだした彼女は「長いこと誰かと、血の繋がりを求めていた。でも血なんて、どうでもいい。何があろうとあなたは私の妹。これからも愛し続けるわ」
そう言って二人は抱きあった。
【終わり】