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川柳で若い世代にエールを送りたい 23/7/31

1.川柳の一言コメント

「沖縄の海があなたの中にある」

 「沖縄の海」と聞いて何を連想するでしょうか。沖縄には綺麗なビーチがたくさんあります。白い砂浜、青く透明な海、多種類のサンゴと広いサンゴ礁、観光で訪れるとワクワクするでしょう。

 でも、私の親の世代は第二次世界大戦の激戦地をイメージするかもしれません。「沖縄の海」で胸に抱くイメージは、人によって様々です。

2.私の経験で思う事

 私はまだ沖縄に行ったことがありません。しかし私の兄は、石垣島に度々行っています。昆虫が好きで、沖縄に蝶を見に行って以来すっかり沖縄の虜になり、コロナの感染拡大前は毎年一週間ほど沖縄に行っていました。

 沖縄の皆さんの人柄、料理、お酒、独特な家並み、蝶や美しい海等の自然、それらみんなを好きになったようです。私の沖縄のイメージは、先ず、リゾート地であり、有名アーティストの出身地であり、ゴーヤチャンプルーや沖縄そばであったりします。テレビの影響です。

 私にとっては明るくのんびりしたイメージの沖縄ですが、一方で沖縄には米軍基地の問題があります。東京に住む私は、沖縄の人達の多大な負担の上に平和な暮らしが保たれていると感じています。

 私は、新垣 勉という全盲のテノール歌手が歌う「さとうきび畑」を聞いて体が震えた記憶があります。「さとうきび畑」という歌は、森山良子さんが歌っていたのを聞いたのが初めてで、その時も歌詞の意味の重さや、森山さんの歌い方に心を揺さぶられましたが、沖縄出身の新垣さんの時は、彼自身の生い立ちが歌に現れているように感じました。

 あの歌詞の中に、「むかし海のむこうから いくさがやってきた」という一節があります。そして鉄の雨を降らせた。沖縄から見ると、鹿児島県も、台湾や中国も海の向こうです。沖縄は日本の中でも特別な場所です。

 私が今後、沖縄に行く機会があるとしたら、それはきっと観光だと思います。しかしもう、女の子と海水浴を楽しむほど若くないですから、(楽しんでもいいですけど)観光だけでなく、糸満市の平和祈念公園にも行ってみたいと思っています。

3.瀬川さんの絵

 漫画家の瀬川 環さんが、この川柳からイメージした絵を描いてくれました。

沖縄の海があなたの中にある

 瀬川さんは、現在カナダにお住まいですが、実は沖縄県出身です。この絵は瀬川さんが子供の頃の、夏の思い出だそうです。

 痛いほどの日差しの中、汗をかきながら長いサトウキビ畑を進むと、だんだん爽やかな潮の匂いがしてきて、道の向こうに盛り上がるように海が見えてくる。

 「海だっ!!!」と、嬉しくなる瞬間です。歯が抜けて膝に擦り傷を作った男の子は、瀬川さんの兄弟か友達でしょう。小走りでやってくる瀬川さんに「遅いなあ、早く行こうよ。ほら、海が見えたよ。早く早く」と、言っているのでしょう。

 瀬川さんの中にある「沖縄の海」は、ワクワクする楽しい海のようです。戦後何十年も経ってから沖縄で育った人にとっては、過去の悲惨な戦争を受け止めつつも、現実に生活していかなくてはなりませんから、それは自然な感覚なのでしょう。

 瀬川さんの中の「沖縄の海」が、明るくキラキラ輝いた海だった事で、私はちょっと嬉しくなりました。

 

 


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