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連載112 2023年12月のエッセイ「バドワイザーを、チバユウスケに捧ぐ」

There are no more artists in this world that I should listen to. Sad but true.
(この世にもう、聴くべきアーティストはいない。悲しいけど事実だ。)


突然の訃報は昼間、友人のメールによってもたらされた。

チバユウスケが死んだ。

伝説的なTHEE MICHELLE GUN ELEPHANTをはじめ、ROSSO, The Birthday、他にも多数のバンドでボーカルを張って、その特徴的な嗄れ声とバンドサウンド、そしてその生き方で世のRock好きを大熱狂させた、あのチバが。

数ヶ月前、病気を告白して闘病生活に入っていた。

たった数ヶ月で、
彼は逝ってしまった。
待っていたファンに何も言わずに。
悲しすぎるよ。

ボクはチバが大好きだ。
どこが。
全部が。
ボギャブラリがないので一言で言えないが、生き方全てがRockそのものだった
あこがれ、そう、永遠のあこがれなのだ。

ミッシェルもロッソもバースディも大好きだ。

The Birthdayになってからだが、ライブハウスにも通った。武道館も見に行った。アルバムのほとんどは買った。好きな曲は数えきれない。

アルバムもいいけど、ライブが最高だ。ミッシェル時代のDVDも持ってるし、バースディも最近では生配信でライブを見たし、WOWOWの放送も見た

知らせを聞いたその日の夜、帰りの車でチバのことを想い、自然に涙が溢れた。
人のことを想って泣ける、きっとボクの人生の中で10人もいないだろう。
5.6人かもしれない。いや、もう3人しかいないかもしれない

その日からボクはチバがどんなときも飲んでいた、そう、取材の時も、ライブでも
愛飲していたバドワイザーを飲み続けた。チバにささげたい、それだけの想いで。
6日間で16本、チバに捧ぐには全然足りないが、ボクなりのレクイエムのつもりだ。

人は永遠には生きられない。
そんなのわかってる。
それでも
チバには永遠を期待してしまった。
チバの歌声をもう、生では聴くことはできない。
映像と音楽。
それだけしか、もうボクとチバは繋がることはできない
だから、ボクもこの世を去るまで、チバの声を聴き、そしてDVDを見続ける。

ホントに、もうそれだけしかできないんだな。


2024年1月現在、当時を振り返って
 先月の月報に記したフリーエッセイ。2023年の一番悲しいニュースだった。
その後、バドワイザーはたまにしか飲んでいない。献花会のアナウンスが流れている。行きたい気持ちはあるけど、静かにここで過ごすだろう。尾崎の時の護国寺にも行かなかった。あれからいくつか、過去のチバの映像番組が放送され、できる範囲で契約し録画した。時はいつまでも浸っていることを許さない。変わらず正月を迎え、変わらず仕事に行き、変わらず食べて、変わらず飲んでいる。こうして風化していくのだろう。風化してもいい。それが普通だし。でも音楽は死なない。自分が生きている限り永遠だ。それでいい。

映像で見るチバはまごうことなくロッカーで、どうしようもなく、カッコいい。い自分が生きている間、こんな人に出会えたことが嬉しい。あこがれだ。ボクなんかがチバにレクイエムを歌ってやるなんておこがましいが、もし歌うならミッシェルの武蔵野エレジーだろう。

あいつ今頃ケムリになって 
きままに空を飛んでるのだろう
武蔵野に降る雨にうたえば
さよなら告げる鐘が鳴る

武蔵野エレジー 詞 チバユウスケ

さよなら、ある意味、第二の青春だったよ。

2023年は巨星墜つ、そんなニュースが多かった気がする。BUCK-TICKの櫻井敦司さんもそのひとり。あっちゃん呼びできるほどボクはその音楽や櫻井さんに触れることはなかったけど、彼を好きなボクの友人も泣いていた。きっと、ボクとかつて一緒に働いていたあの娘も泣いただろう。好きだったもんね。

いろんなことに心痛めることが多い。

でも前向かなきゃ

またね。


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