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好きなものを好きと言おう 第5回 大江千里

好きなものを好きと言おう シリーズの第5回は大江千里。

大江千里とは


 大江千里はウィキによれば1960年生まれなので、ボクより10歳上である。東京生まれの大阪育ち、3歳からピアノを習っていた。関西学院大時代にCBSソニーからスカウトされるも、デビュはEPICソニーから。シンガーソングライターとして1983年にシングル「ワラビーぬぎすてて」、アルバム「WAKU WAKU」でデビュ。1984年11月、味覚糖のテレビCMに出演、そのCMソング「十人十色」がヒット。以降コンスタントに活動を続け、人気も出て武道館でもコンサートを行った。盟友は渡辺美里で、「本降りになったら」などでデュエットし、美里への詩・曲の提供も多い。88年には夏の恒例ライブとなる「納涼千里天国」がスタート。ドラマにもたまに出演し、「君が嘘をついた」「パパとなっちゃん」「十年愛」など。映画も89年の「君は僕をスキになる」や九十年の「スキ!」などに出演。バラエティ「やまだかつてないテレビ」での出演や、NHK「トップランナー」の司会も務める。2002年までにシングル42枚、アルバムはシンガーソングライターとしては2005年までに18枚のアルバムを作っている。シングル最大のヒットは「格好悪いふられ方」。

 転機は2007年12月、シンガーソングライターとしての活動に一区切りをつけ、かねてからの夢であったジャズピアニストになるためにニューヨーク留学を始めた。以降、ジャズを学びながらニューヨークに滞在、やがて学校を卒業してジャズピアニストとしてデビュ、日本とも行き来をしながら、基本はニューヨークのブルックリンにて創作活動を行なっている。ジャズピアニストとしても6枚のアルバムを発表、いまも活動している。まぁ、詳しくはどこかでもっと調べてください。僕のはウィキの要約に過ぎないので。

大江千里と僕の出会い


 千ちゃんと呼ばせていただくけど、千ちゃんの音楽との出会いは、ボクが就職して1年目、1988年、初めて自分の給料で音楽を楽しみ始めた頃。その頃のボクはスポンジが水を吸収するような感じで、音楽雑誌を買い情報を仕入れ、これと思うCDはみんな買って、初めてのボーナスで買ったSONYのCDラジカセで暇があればCDを聴いていた。千ちゃんの音楽の初めては、この年発売した名盤7thアルバムの「1234」。それまで音楽といえばクラシック音楽とアイドルくらいしか知らなかったボクには衝撃だった。初めて聞く収録曲「平凡」や「Rain」は歌詞の意味を知るにも難しく、それだけに惹かれていった。で、その頃に出ていた渡辺美里や岡村孝子とかと一緒にすぐ好きになったのだけど、ボクには千ちゃんのある一曲をずっと探していた経緯がある。それはふと何かの拍子にテレビから流れてきた曲で、いい曲だな、気になるなぁと思っていたけどあっという間に終わってしまい、何という曲かわからなかった。そこからこの曲を探す旅が始まった。そのころは個人でパソコンを持つなんてまだなく、インターネットも普及していなかった。だから調べるのはもっぱら音楽雑誌とお店でCDを見ること。曲名もいつのリリースかも知らない、雲を掴むような感じだった。順にアルバムを遡って買っていく。6th「OLYMPIC」,5th「AVEC」いい曲が続くけど、収録曲の中に探している曲はなかった。そして4th「乳房」、3rd「未成年」・・・こっらにも入っていなかった。半ば探すのを諦めかけた時、やっと見つけた。それは、当時の12inchシングルというやつで、3曲入りのシングルで、探していた曲は「POWER」という曲であった。やっと出会えた、、、それだけで感動ものであった。部分的にテレビで聴いたフレーズが手に入ったのだ。どうやら「POWER」はあるテレビドラマのEDテーマだったことがわかった。そうか、そうだったのか。

そしてアルバムやシングルを可能な限り買い集めては聴いた。ボクが自分で初めて行ったコンサートも大江千里だった。たしか芝増上寺だったかな。それから、つれあいも誘って何回かコンサートに行かせてもらった。

でもボクの中では「1234」が良過ぎた。
それ以降のアルバムも買ってはいるけど、「1234」ほど身を入れて聴けなくなっていった。特に1994年の「Giant Steps」はボク自身の私生活でのつらい思い出と重なってしまい、それ以降、少しずつボクは千ちゃんからは遠ざかり、やがてミッシェルなどのロックに傾倒していった。でも、ボクの遅い青春時代、支えになったのは間違いなく千ちゃんの曲だ。だから、ボクの中では特別な存在なのだ。千ちゃんの曲ほど歌詞を見ずに歌えるのはない。それだけ歌詞カードを読んで、そして数多く聴いたのだ。

提供曲もいい曲が多い

他の人への提供曲もいい曲が多いことを言っておきたい。提供が一番多いのは渡辺美里だ。「悲しいボーイフレンド」「10 years」「すき」「夏が来た!」「素顔」など17曲にのぼる。上にあげた曲は美里の曲の中でも好きな曲だ。美里が節目節目に歌う曲が「10years」で出だしのイントロから、あー、10 yearsだーとその世界にハマってしまう。その他、光GENJIの大ヒットシングル「太陽がいっぱい」とか、松田聖子のシングルにもなった「Pearl-White Eve」とか。でもボクが提供曲の中でいま好きなのは、中島愛に提供した「神様のいたずら」(詩・曲、2011)だ。


これはボクが大好きなアニメ「たまゆら」のED曲に使われている。「たまゆら」自体が好きなのももちろんあるけど、歌詞が切ないのだ。そして舞台となった広島の竹原の情景と重なる。なんか、泣けてきてしまう。サビだけ紹介する。ぜひ聴いてみて欲しい。

神様は時々いたずらする
いちばん大切なものだけを
どこかに置き去りにさせて
ぼくたちを大人にするんだ
きみを大人にするんだ

中島愛「神様のいたずら」(大江千里 作詞作曲)


一番好きなアルバム


 さて、書き過ぎてしまっただろうか。上に書いたように一番好きなアルバムは「1234」(1988)だ。千ちゃん28歳の時のアルバムだ。

千ちゃんの7thアルバム「1234」名盤です、それにしても若い

完成度も素晴らしい。全曲好きだ。”君と出会えてよかった”と高らかに歌い上げる「GLORY DAYS」から始まり、難解だけどとても惹かれる曲「平凡」(この曲、好きだなぁ。もはやポップスではない)、盛り上がる「ROLLING BOYS IN TOWN」、カバーされることも多い名曲「Rain」へと続き、痛快な曲「ハワイへ行きたい」で中盤を締める。この曲を聴くと本当に日付変更線を越えたくなる。後半は軽快な「サボタージュ:から始まり一転して少し暗めの「帰郷」で落ち着いたと思ったら、また「昼グリル」で軽快な調子に。ラス前は初期で一番好きだったバラード曲「消えゆく想い」そして、最後は一緒に歌いたくなる「ジェシオ'S BAR」。めっちゃいい。好きだなぁ。

でも他にもいいアルバムはたくさんある。この「1234」が7thだけど、ボクはそれ以前のアルバムも好きだ。夏は「OLYMPIC」だし、冬は「乳房」、春秋は「AVEC」、もちろん「未成年」も「Pleasure」も「WAKU WAKU」も全部いい。


好きなシングルベスト5


最後は2024年8月18日現在、好きなシングル曲ベスト5をあげよう。もう1回聴き直したよ。あくまでいまこの瞬間のベスト5

第5位「STELLA'S COUGH」(6th OLYMPICより)
第4位「彼女によろしく」(4th乳房より)
第3位「渚のONE-SIDE-SUMMER」(3rd未成年より)
第2位「赤茶色のプレッピー」(3rd未成年より)
第1位「YOU」(6th OLYMPICより)

少しずつ紹介しよう。
第5位「STELLA'S COUGH」(6th OLYMPICより)
このOLYMPICというアルバムはライブで盛り上がる曲が多い。夏!っていう感じのアルバムで、その中の一曲だ。この「STELLA'S COUGH」は恋愛中の2人のやりとりを書いた曲で、あいにく公式の映像がないので紹介はしない。でもYou tubeで非公式のものならあるので、自分で探して欲しい。一番の歌詞だけ載せる

咳込んだきみは泣き出しそうな眉をしてた
腰によったブラウスのしわが気持ち寄せ付けない
「都合できみはよく少女になる」
ボクが責める度
「外は外でうまくやりすぎてるね」
それは言い過ぎだろう
STELLA'S SPEAKIN' 問題が山積みさ
I'M SO LONELY なべ底が焦げそうさ
STELLA'S SINGIN' 真夜中のvolumeに
WE'ARE CRYIN' 大家が怒りだす

「STELLA'S COUGH」

第4位「彼女によろしく」(4th乳房より)
 「彼女によろしく」は千ちゃんにしては激し目の曲で、ライブでよく聴いた記憶がある。イントロは次のような歌詞だ。時々、こんな内省的な曲が聴きたくなる。

彼女のことをよろしくと なさけなく笑えばいいのか
ひげもそらずにうつろいだ この僕を話せばいいのか

「彼女によろしく」

第3位「渚のONE-SIDE-SUMMER」(3rd未成年より)

これもかなり古い曲だ。でも聴くと懐かしい夏を感じさせる。ひと夏の恋を描いているけど、多分、男の子の方が振られたのかな。忘れられない思い出といった感じだ。公式MVはないので自分で探して欲しい。すまん。

第2位「赤茶色のプレッピー」(3rd未成年より)
同じく3rdアルバムの未成年から、さきほどの「渚のONE-SIDE SUMMER」が夏恋の終わりを歌い上げたしっとりした感じだったけど、この「赤茶色のプレッピー」は恋愛中の2人を歌っている。
プレッピーという言葉をボクはこの曲で初めて知った。プレッピーとは名門私立学校に通っている子たちが身につけているような服で、ジャケットやローファーなどの学生風の服をカジュアルに着るスタイルのことだ。昔でいう坊ちゃん、嬢ちゃんが着る都会的な制服のようなもの。千ちゃん自身も関西学院大で、ちょっとおしゃれな感じだったし、スタイルと合っていると思う。最後のYou are my preppy preppy girl Just little little preppy preppy girlというところをつい口ずさんでしまう。

そして第1位は、、、王道の曲「YOU」だ
サビだけ載せる。

きみを抱きしめてたい
コンコースを抜け出すのさ
息もできないくらい
離さない 離さない

大江千里「YOU」

世間的に平均すると「格好悪いふられ方」が一番売れた曲なんだろうけど、大江千里といえばこの「YOU」をまず思い起こさせる、ポップな盛り上がる曲だ。1位は正直迷ったけど結局王道にしてしまった。いつ聴いてもいい曲なのよ。

他の王道曲、いつもなら選んでいるだろう曲は、今日の気分では選ばなかった。「フレンド」とか「塩屋」とか「POWER」とか。でもまた日が変われば気分も変わるだろう。

千ちゃんもデビュ40周年。すごいよね。ジャズピアニストになってからは遠くなってしまったけど、いつまでもボクのフェイバリットには変わらない。これからも元気でいい音楽を作り続けて欲しい。

さて、好きなものを好きと言おう エッセイ、音楽シリーズの第5回まで書き上げた。次回からはしばらく、小説シリーズになる。
最後に予定をもう一度再掲する。じゃあ、またね読んでくれてありがとう。

  1. 尾崎豊(2024/4/24アップ済み)

  2. THEE MICHELLE GUN ELEPHANT(2024/6/8アップ済み)

  3. The Birthday(2024/7/7アップ済み)

  4. SHISHAMO(2024年7月23日アップすみ)

  5. 大江千里(2024年8月18日アップすみ)

  6. アガサ・クリスティ

  7. エラリー・クイーン

  8. 森博嗣

  9. 漫画とアニメ

  10. カメラと写真

  11. お酒

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