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好きなものを好きと言おう 第3回 The Birthday



The Birthdayとは

The Birthday              rockin-blues HPより 


 好きなものを好きと言おう、の第3回はThe Birthdayだ。第2回に書いたミッシェル・ガン・エレファントのVo.チバユウスケが、ミッシェル解散後、次に作ったRossoの後に結成したバンドで、Vo.のチバユウスケ、G.のフジイケンジ、Ba.のヒライハルキ、Dr.のクハラカズユキで構成される4人組のバンドだ。2005年の結成から活動しているが、2010年、結成時の中心メンバーであったG.のイマイアキノブが脱退、バンドが続くか心配されたが、元マイラバのギタリスト、フジイケンジの加入により事なきを得て今まで続いてきた。

そして、もうすでにこれを読む人はわかっているだろうが、2023年、Vo.のチバユウスケが病気によりこの世を去った。春先に病気を公表、そして1年もたたずに逝ってしまった。僕たち、待っていたファンに何も言わずに。バンドは解散せずに18年間の活動を終了した。ただ、去りし後も生前に録音済だったEP「April」をリリースした。シングルは18年間で25枚、オリジナルアルバムはミニアルバムを含め12枚、Side-Bや楽曲提供した曲を集めたコンピアルバムが2枚、そしてたった1枚のベストアルバム、とライブアルバムの合計16枚がリリースされた。

チバの生き様がロック界に与えた影響は大きく、彼去りし今もロックフェスの場ではオマージュが捧げられており、今夏、ゲストVo.を迎えて、残ったメンバーでフジロックやライジングサンに出演することがアナウンスされた。

The Birthdayの来歴はWIKIとか、所属していたユニバーサルミュージックRockin'bluesにあるので詳しくは紹介しない。

ボクとThe Birthdayとの出会い

 ボクがバースディ音楽に初めて触れたのは、多分2009年ごろ。このエッセイの第2 回ミッシェルの回で書いたけど、7thシングル「愛でぬりつぶせ」がリリースされた頃だった。その頃ボクは、スカパーで音楽ランキング50などの番組を録画して、それをPCに取り込み、CDにリッピングして車で聴く作業をよくやっていた。今ではスマホとかからBluetoothで飛ばして車内で聴くのが当たり前にできる時代になってきているが、当時はそんなのはなかった。いやあったのかも知らないが環境がボクにはなかった。まぁ、いまでもうちの車にはそんな機能はないのだけど。
その時に出会ったのが「愛でぬりつぶせ」だった。チバの枯れた声にボクは一発で魅了され、その時からバースディをミッシェルを追いかけ始めたのだ。

愛でぬりつぶせ

なぁ、パンクス
愚痴ってばかりいねえで 愛で
愛でぬりつぶせ

あの娘を お前を
この星を
愛でぬりつぶせ

愛でぬりつぶせ

ミッシェルの時と同じく、バースディも途中からのファンになった。もっと早く目を向けるべきだったとは思うが、こればかりはしょうがない。ボクはタイムリーパじゃないからね。でも、一つだけ良かったと言えば、ミッシェルは解散してもう追いかけることができなかったけど、バースディはリアルに共に生きることができた点だ。アルバムを買い、友人とバースディの良さを熱く語り、ライブにも行った。
Zepp東京にも何回か行ったし、郡山Hip Hot Japanも友人と行った。2人で行ったこのライブで、友人とはかなり親密になったと思っている。Club SONICでも見ることができた。究極は2015年の武道館ライブだ。初めて行った武道館。それがThe Birthdayで本当に良かった。外で待っている間も音漏れ、というのかリハの音が聴こえてきた。そしてまさかの「6つ数えて火をつけろ」からスタート。もう胸がいっぱいだった。

どこが好きなのか。ミッシェルの時と似たような答えになってしまうが、チバの歌が一番だ。ライブに行くようになって気づいたのは、チバはめちゃくちゃ、声が綺麗だということだ。アーティストに歌が上手いというのはとても失礼だけど、それを承知で言えば、声が綺麗で、とてもうまい。特にバラード系でそれがよくわかる。時々ぼそっと会場のファンに話しかける、というか独り言のようにつぶやくのも、すごくいい。それが妙にカワイイオジサン風で、いい。

でもそれだけじゃない。ミッシェルの時もバンドの音、すごく良かったけど、バースディではよりVo.以外のバンドの音が際立っていて、かっこいいのだ。(ミッシェルより際立っている、というのは個人的な感想だけどね) 前任のイマイアキノブのギターもすごくかっこいいし、フジケンになってからも期待を裏切らない。一番若いハルキのベースもいいと思う。(語彙がなくて申し訳ない) ミッシェル時代からのコンビになるキューちゃんも、バカスカ、盛り上げている。キューちゃんはバースディ以外でも何回かClub SONICで聞いたし、イマイアキノブもその時一緒に聞いた、とても良かった。オジサン、頑張るよね。すごく励みになる。

チバが55歳でこの世を去ったことは今も悲しい。そのへんの心情については、ボクの過去エッセイ、連載112 2023年12月のエッセイ「バドワイザーを、チバユウスケに捧ぐ」に書いた。泣いたよ。ほんとうに。悔しかった。

でも、もうしょうがない。人はいつか土に還る。ボクもそういう世代になっている。自分もそう遠くない、近いうちに、あちらの世界にチバの音楽を聴きに行く。だからそれまではたとえもう時間がないにしても、精一杯生きる。

最も好きなアルバム

上で書いたようにバースディは11枚のオリジナルアルバム、そのほかにもSide-Bのコンピアルバムも2枚出している。多いか少ないかは人それぞれで感じるところもあると思うが、個人的にはバースディ、まあチバといっても良いのだけど多作の人だと感じた。今回のエッセイを書くにあたり、買ったアルバムと、持っていないアルバムを聞き直した。最初に感じたのはめちゃくちゃ曲が多い、だ。なんていうか、ほんとうに曲を作るのが好きだったんだろうな、ということ。その中で一番好きなアルバムは2017年発表の「NOMAD」だ。リード曲「24時」がまず、すごくカッコいい。

そして続けて1977。初めてこの曲を聴いた時、これがきっとこのアルバムで一番好きな曲になるだろうと思った。

1977 いつだって俺らは
心から爪先までもってかれて帰れない

チバユウスケ作詞 1977

他にも「夢とバッハとカフェインと」とか「抱きしめたい」とか、「月の上のイライザ」も入っていて、バリバリのロックから静かに聴かせる曲まで入っている。すごく好きなアルバムだと思う。

最も好きな曲ベスト5

上にも書いたように多作の中から5本選ぶのは難しいけど、選ぶよ好きな曲。今日は2024年7月7日、日曜日、14:40時点でボクが好きな曲だ。

第5位「なぜか今日は」
第4位「SATURDAY NIGHT KILLER KISS」
第3位「涙がこぼれそう」
第2位「nude rider」
第1位「カレンダーガール」

では短いコメントを。

第5位「なぜか今日は」
この曲は2011年発表の5thアルバム「I'M JUST A DOG」に収録され、先行して11thシングルにもなった一曲だ。

ライブでは盛り上がるencoreの時とか、終盤に演奏されることが多く、前奏が鳴るだけでワクワクする曲。盛り上がるよー。でも 何か今日は ボクもいつもそう思っていたい。

なぜか今日は殺人なんて起きないような気がする
だけど裏側には何かがあるような気もする
でも
何か今日は
でも
何か今日は
でも
何か今日は
でも何か今日は

なぜか今日は

第4位「SATURDAY NIGHT KILLER KISS」
この曲はとにかく音がカッコいいし、歌詞もズバッと決まってる。
SATURDAY SATURDAY NIGHT KILL KISS  !!   しびれるなぁ。


第3位「涙がこぼれそう」
この曲は、もう定番中の定番。もうベタすぎるけど、外せない。ライブではチバが最初の出だしの一節「電話探した あの娘に聞かなくちゃ 俺さ 今どこ?」をボソッと呟くように歌うところで、会場にいるみんなで一緒に支えるように歌うのが好き! 1番の歌詞だけ引用する。歌詞もなんか切ない。2番もいいのでぜひ聴いてください。

電話探した 
あの娘に聞かなくちゃ 
俺さ 
今どこ?

壊れそうな夜
ロータリーに倒れてた
血と鉄混じった
どこか少し懐かしい味

アスファルトから
ロンドン・パンク聞こえてた
立ちたくなかった
どうにでもなればいいって

涙がこぼれそう
でラブコール
あの娘にラブコール

涙がこぼれそう


第2位「nude rider」
 「nude rider」は初期の曲だ。ボクも多分ライブで聴いた記憶はないけど、ライブ映像とか、アルバムで聴いてみると、とっても好きになった。なんというか、この曲はミッシェルを誘起させる一曲だ。出だしの音もそうだけど、「第三惑星にさよならを」の歌詞とか、「タッタタラタラッター」と途中連呼するところが特にそう感じる。ライブの映像では途中でイマイがメンバー紹介するシーンがあり、これもカッコいい。(下の動画ではない)


そして第1位は

第1位「カレンダーガール」
 この曲も初期の曲でミニアルバム「MOTEL RADIO SiXTY SiX」に入っているし、ライブでもよく演奏されるし、聴きたい曲だ。出だしが「ベルチ 飲みたい レモンのスペシャルなの」とあり、ウェルチが使えなかったからベルチと歌っている。実際のウェルチにはレモン味はない。この曲は歌いやすい。軽快なリズムで歌は展開するけど、あの娘は最後にいなくなってしまう。ちょっとせつない。

ベルチ 飲みたい レモンのスペシャルなの
あの娘言って 飛び降りた

凍える車 反対車線ににさ 飛び出した裸足で
それきりあの娘見えない

カレンダーになるのが 夢なのと言ってたんだ
カレンダーになるのが 夢なのと言ってたんだ
カレンダーになって 飛んで行ったよ
カレンダーになって 飛んで行ったよ
カレンダーガール

カレンダーガール

さ、時間がずいぶんかかってしまったけど、好きなものを好きと言おう の第3回「The Birthday」を書くことができた。多分、別に面白い文章ではないし、数あるnoteの作品の中で興味は惹かれないだろう。でも自分の好きなものを好き!と書けるのは、そういうことに全く無関係に嬉しいことだ。

いろいろ、今は自分も大変な時。本当はこうしててはいけないのかもしれない。でも、このシリーズは書き上げたい。執念にも似ている。次回第4回は「SHISHAMO」で、またお会いしましょう。

みなさんも好きなものを好きと言えますように。
またね、チャオチャオ!

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