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お別れ、ちょっと拍子抜け。

近藤です。

晴れているのに冷たい風に暗い雲。そのうち雨が降ってきて冬の空になりました。

少し前に何かで読んだのですが、全国の学校から公衆電話が撤去されているとか。

そんなお話はよそのこと、と思っていたら山の学校の公衆電話も11月で撤去されることとなりました。学校も残してもらえないか先方にずいぶんお願いしたそうですが、だめだったようです。

学校の公衆電話、あっても使わない人がほとんどだと思いますが。掛け方を知らない子どもも多いと聞きます。しかし我が家では大事な大事なツール。

朝、子どもたちが登校したら私たちは出かける準備をして待機。学校に着いたかな、と思っていると電話が。

「体操服持ってきて〜1時間目やけん、今すぐにお願いします」

という調子。最近は減りましたが結構頻繁にあったので、夫が持っていくと、名前を聞かれることもなく校門で生徒指導している先生が預かってくれたり、校舎の入り口で娘が待っていたり。私が自転車で届けると校長先生が

「智佳さーん、今日はオレンジ号ですか。さっき電話してたのにもう着いたんですね。渡しときますよー」

と預かってくれたこともありました。(校長先生に渡すのだけはやめて欲しいと言われましたが)

帰りの時間も遅くなると

「暗くて怖いけん迎えにきてくれませんか」

と電話がかかります。山の夕暮れは本当に暗いので、その理由は仕方ありません。下校の時間が近づくと私は夕飯の段取りをしつつ、電話がかかるかもしれないと少し緊張感を持って過ごすのがあたりまえ。毎日ではないのですが、いろんな理由をつけて掛けてきます。

「カバンが重くて歩けないので迎えにきてくれませんか」とか「早く帰りたいけど無理そうなのでお願いします」とか「ちょっと今日は来て欲しいのでお願いします」とか。

過保護ですか。ええ、でもいいんです。今しかできない親子の会話時間なので。

近藤さんのための専用電話ですねえ、といろんな先生が笑うんよ、と娘は言ってましたが呆れてるんよの間違いでは、と言いたいのを我慢したのは私。しかし、おかげで先生方が娘の様子を気にかけてくれたり、ちょっとしょげているような時には電話のそばで話を聞いてくれたりしたこともあったようです。(ママ友、パパ友の証言による)

そうしてお付き合いした3年目。こんな日が来るとは。今後は忘れ物電話がかかることはないと思うと良かったと思うよりサミシイ気持ちが先に立ちます。

電話撤去の日の前日、娘から部活の仕上げで遅くなるからね、と電話がありました。その電話を終えたら教務主任の先生と教頭先生から、「学校で一番よく利用したのだから電話に感謝状を渡した方がいいんじゃないか」と彼女へ(ふざけた感じで)提案があったそうです。私はいい考えだと思いましたが、娘はそんな恥ずかしいことできないとお断りしたと言ってました。

実は私も、「あれだけよく使うんだったらもう近藤さん個人で公衆電話を契約して学校に置いてくださってもいいんですよ」と校長先生から冗談で言われたんですけどね。丁寧にお断りしました。

さて、サミシイ公衆電話撤去でしたが、最後の日も使う予定だった娘。しかし、残念ながら放課後にはもう電話はなくなっていたそうです。残念。

ちなみにお迎え依頼の連絡は学校の前にある電話ボックスからできるから、ちっとも困らないんだそうです。

はあ、その心持ちに困ったもんだ。

では、また。