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結婚記念日

結婚記念日を忘れていた。

今年も忘れていた、というべきだろうか。私の周囲の人は知っているが私は記念日を覚えるのが苦手である。自分も含めた家族の誕生日も忘れる。カレンダーに書き入れるのさえ忘れるという困った人である。

夫の誕生日だけは会社の同僚がリマインドしてくれるので(今日は社長の誕生日ですよ、って)助かるが彼女が忘れているともうお手上げ。そんな年の彼は寝る前に「実は、今日は僕の誕生日だった」と自己申告するのである。申し訳ないことだ。

しかし、彼は自分の誕生日を覚えているだけマシだ。私は、誰かが言ってくれないと自分の誕生日も忘れている。いつだったかは母が突然私の好物のお鉢茶碗蒸し(ラーメン鉢サイズの茶碗蒸し)を持って現れ、「誕生日だったから」と言ってくれて思い出した。

さて、今年。夫が夕方仕事のことで電話をかけてきた時に「今日、忘れてたけど結婚記念日だったねえ。肉が食べたいからどっか行こうか」と一言。それで私も思い出したのである。

しかし、その日は夫より早く帰宅していたが、色々と忙しくお祝いの食事に出る時間がなかった。加えて数日前からの「ぎっくり首」(新しく手に入れた練習用のサイレントビオラ が大きくて重すぎたためにどうも首に負担がかかったらしい)のため凝った料理を作る気にもなれなかった。記念日とは予告されているにもかかわらず静かに迫ってくるもんなんだなあと思った。そして、こういうことにぼんやりしてる人と結婚して助かった、とも。

さて、そんな記念日無頓着の両親に育てられた我が家の子どもたちはどうなるのか。相手の誕生日を覚えてなかった、とか結婚記念日を忘れてた、という理由で恋や結婚が破綻しないか心配である。

結局のところ結婚記念日の夜はお急ぎモードでご飯が炊けるのに合わせて冷凍庫の肉や野菜を駆使してハヤシライスを作った。分量は適当だったのでなんかサラサラ。とろみをつけるために糸寒天とマッシュポテト用ジャガイモフレークを投入。(翌朝、いい具合にハヤシ寒天寄せ、みたいになっていた)あとは夫が買ってきたハーゲンダッツのアイスクリームと北海道物産展のスイーツ。レトルトカレーと缶詰にしようと思っていたのでこれはかなりの格上げだ。

それから、学校帰りに結婚記念日と知った娘が夫を花屋に連れて行き、小さくてかわいいピンクのソープフラワーを選んできてくれた。

それぞれにいろいろあってゆっくりとディナーを楽しむには至らなかったが、こんなふうに一緒にバタバタとした結婚生活が送れているっていいんじゃないの、と思う。翌朝起きて「結婚21年目の第一日目おめでとう」と夫に言った。そうすると「結婚22年目の第一日目だよ」とサラッと言われた。

私の記念日の認識はこんなもんである。

では、また。