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義父、88歳。

近藤です。暖かくなりましたね。沈丁花が一気に咲きました。

今週は老いていくことと社会と関わっていくことについて考えました。私自身の老いについてもだし、自分たちの親についても。

義父は只今88歳。森さんより5歳上です。義母はそれよりちょっと若いです。

義母の口癖は「お父さんは何にもしない人だから。でも、文句もあんまり言わない人だから」です。

そんな義母は自分の息子たちが家事、育児に走り回っているのを見て「男の人もそのぐらいやらなくちゃね。私が子育てしてた頃はお父さん、何にもしなかったわ」と言いますが時代がそういうものだったんだから仕方ない、と思っているようです。だから息子たちはしっかりおやりなさい、と。

何にもしなかったと言われる義父ですが、会社経営をしながら息子たちの幼稚園や塾の送迎などやっていたそうですし、PTA活動もしていたようで当時の企業戦士的働き方をしていた父親のひとりとしてはよくやっていた方だろうと思います。

また、文句もあんまり言わない人だから、と言われる義父は義理の娘たちが仕事を持っていることに苦言を呈したことはありません。義父と私は言いたいことを言い合う仲なので、会社の経営のことで衝突したこともありますが、「女のくせに」とか「息子の嫁のくせに」とか言われたことはありません。

しかし、義父の頭の中は昭和ヒトケタ世代ですから、基本、男は優秀でバリバリ働いて、出世するのがいいと思っていると思います。そして、女は優秀だと嬉しいけど、優秀すぎると遠くへ行ってしまうから寂しい、という考え方だし、昔は若い女性を甘く見ている部分はありました。そして義父、義母共に女性の幸せの形は「結婚」だと思っていることは確かです。ただ、今の時代は結婚だけが幸せのかたちではない事はちゃんと知っています。

他にも義父は義母について、いつでも自分の後ろをついてくると思っている節があり、振り向かずにさっさと行ってしまいます(でも、これは誰と出かけても同じなんじゃないだろうかというのが私の意見ですが)。

また、義父は義母を喜ばせたいと思っていろいろやるのですが、仕事一筋な人だったので妻のことをマメに見ていないところがあり、なかなか妻のツボにヒットしないようです。(しかし、これも妻にだけではなくいろんな人にそんなところがあります。ただ、相手を喜ばせたい気持ちがすごく伝わるので、可愛らしいなあと思っています)

義父は男子厨房に入らずの世代なので、趣味としてのカレー作りはスパイスからやっていたようですが、数年前、母が入院するまで電子レンジの使い方は知りませんでした。洗濯機は多分今も使えません。しかし、だからといって何にもしないわけではなく、お風呂もトイレも掃除することを嫌がったりはしませんし、夕飯が買ってきたお弁当でも文句を言われたことはありません。(しんどいなーと思っているとご飯に連れて行ってくれたりします)

家族としての義父はそういう人ですが、外ではどうなのよくわかりません。同じ会社の中で一緒に働いていて、たまに「今の時代にそれはまずいよ、おとっつあん」と思うこともありますが。でも義父の年齢や生活習慣、常識と言ったものを考えるとそうなるよな、とも思って。義娘としてはそれをどう伝えたらいいか迷うところですが、ちょっと笑いを混ぜてやんわり言うのが精一杯です。

今は社会がものすごい速さで、思ってもなかった方向に変わっていく時代。人間は歳を重ねるに連れてその速さにも方向転換にもいつしか追いつけなくなってしまうんだな、と自分がこの歳になって実感しています。

そのうち周りの人から「そいつはまずいよ、おチカさん」って言われる日が来るんでしょうね。幾つになってもそういう指摘をしてもらえる人でいたいと思っています。

では、また。