よもやよもやまたもやよもや

今年もまたもや、である。
結婚記念日をきれいに忘れていた。少し前に「いい夫婦の日ですね」とテレビで言っていたのを聞いた時はもうすぐだな、と思って覚えていたのだがその後は全く気が付かずであった。夕方、夫に言われておおそうだった、と思ったものの今日の日付も間違って認識しており、バツが悪いことといったらなかった。

お祝いなどなんの用意もしていない上に疲れ気味だった私はちょうどよかったとばかりに今日の弦楽レッスンの後、デパートの地下で購入したお惣菜とモロゾフの量り売りのクッキーを夕食に出して「はい、結婚記念日のお祝い」と言ってお茶を濁した。ついでに塾帰りの息子の夜食のきしめんのツユに牛肉を入れて、「はい、結婚記念日豪華きしめん」と出し、みんなでそれをすすったのが2時間ほど前。なんとも非特別な結婚記念日であった。

思えば22年の間には会社が潰れかけたり、お互いに体調を崩したり、子どものことや仕事のことで色々あった。けれども旅もずいぶんしたし、好きなことをあまり諦めずにきた。今となってはどの経験も貴重なネタで私の仕事になくてはならないものである。水戸黄門の主題歌の通り「人生楽ありゃ苦もある」訳で、もう何がきても驚かなくなってきた。50を過ぎたからそうなのか、夫と結婚したからそうなのかわからないが、箱入り娘だった頃には考えられない逞しさである。

結婚何年目の頃にだったか夫から「ダイヤの指輪とかは買えないから」と絵に描いたダイヤモンドをもらったことがある。もうそろそろ買えるんじゃなかろうかと思うが買ってくる兆しは一向にない。きっと彼も結婚記念日を毎年忘れているんだろうと思う。ただ、私より早く思い出しているだけのはずだ。
こういう夫でよかった、心底思う。

ではまた。ごきけんよう。