ソシャゲ運用を考える【その改善、効果ある?】

こんにちは。コロ山です。

ソシャゲを運営していくには「常に課題を発見し、改善していく」ことが必須となります。
しかし、本当に価値のある改善は難しく、深く考えずにやっていると
休みなく対象の改修をしてきたが、効果は見られずむしろ悪化…という事態にもなりかねません。

今回は、この「改善の進め方」「よくある進め方の失敗例」を挙げていきます。

①「課題」とは

「改善」とは「課題を解決すること」です。
では「課題」とは何か?

「課題」は、「現実 と 理想のギャップ」といえます。
「観測基準に対してマイナスになっているものをプラスに近づける」だけではなく
「現状よりもプラスになる可能性がある」ものは課題として認識すべし。
課題解決は、とにかく現状よりもプラスに持っていくための行動です。
※「問題」と言ってしまうとマイナスをプラスに持っていく印象が強いですね。

②「何を解決するか」を決める【戦略】

「課題」は、小さなものから大きなものまでいくらでも転がっていますが、仕事である以上使えるリソース(時間、人)は限られています。
効果のない、思い付きの課題ばかりに対応したところでチームが疲弊していくだけです。
限られたリソースで、どれだけ効果を高めることができるかは「どの課題を選ぶか」が重要となります。

つまり「どの課題を選ぶか」が【戦略】であり、「どうやって解決するか」が【戦術】になります。
【戦略】を誤ればどれだけ【戦術】が優れていても勝利は得られないでしょう。

③「どう解決するか」を決める【戦術】

次に、【戦略】となる解決すべき課題をどういう手段で解決するか?の【戦術】を考えます。
ここでは「戦略 =目的(What)」「戦術 = 手段(How)」がきちんと噛み合っているかを常に意識する必要があります。
当たり前のように見えますが、実際の開発現場では「これなんのためにやってるんだっけ?」みたいなことは往々にして発生します。

理想は以下です。

目的と手段_1

目的に対して、どうアプローチすべきか?の選択肢を考え、より良いものを適用します。


【目的】
・ある定期イベントの参加率を上げたい
【手段】
・イベントへの導線が悪く、開催中だと気づけない。HOME画面に導線を置こう
・ヘビーユーザにとっては簡単すぎるし、報酬の魅力も薄い。ハードモードを設けてヘビーユーザにも遊んでもらおう
etc

※どれを適用するかは、仮説(導線が悪い、簡単すぎる)が正しそうかを各種データから検証し正しそうであれば、改善した場合の効果の高さ、改修の容易さなどで決めていくことになります。

続いて以下は、よくある悪い例です。

目的と手段_2

個々の意見(主観)として「○○がやりたい」あり、片っ端から実現していくパターンです。


【目的】
・不明
【手段】
・一定確率でポイントを大量ドロップする(その代わり固い)敵を出す、とかいいんじゃない?
・毎日弱点属性が違う敵を出して、いろんな装備を使ってもらえるといいかも。
etc

実現した場合のメリットが不明確で、メリットがあったとしてそれが今の状況で工数をかけてやるべきものなのか?
最悪のパターンではバランス崩壊してより悪い状況になるなど、非常に危険です。
特に、チームの広い範囲に向けて「何か改善策を募集します!」と呼びかけると、この類の案が集まることが多いです。
※何の方針もなく募集すればそうなるのは当然ですが…

と、悪いことばかり書きましたが、これらは「チームの人間がプレイして感じたこと」から出るものであり、ユーザも同じことを思っている可能性があります。
出た案に何か光るものを感じた場合は、それがどんな効果をもたらすのか?コンテンツ全体としてどう作用するか?まで遡って考えてみると、「昔あきらめていた問題の解決策になる!」ようなこともあるかもしれません。

ユーザや開発メンバーの意見は、「個別ではそう感じる人がいる」という間違いのない事実であり受け止めるべきですが
「全体として最適かどうか」とは分けて考える必要があります。

次に、もうひとつ惜しいパターンです。これもそこそこ発生すると思います。

目的と手段_3

最初に「解決すべき課題」を決め、いくつもの選択肢から「最適な手段」も見えた、はずなのに…
いざ実装を進める中で、「実現が難しい機能」が発覚。これならできそう、と代替案を考えつつ進めていたら機能が変わってきてしまい、元々の「課題」には作用しなくなってしまった、というパターンです。
※代替案を出した際、「この案なら、こういうことも実現できますよ!」などと「ノリノリ」になった場合は特に変な方向へ進んでしまうことが多いです。良かれと思って進めてしまうので厄介です。


【目的】
・ある定期イベントの参加率を上げたい
【手段】
・イベントへの導線が悪く、開催中だと気づけない。HOME画面に導線を置いていつでも参加できるようにしよう。
実装時
・HOME画面では導線を設置するスペースがない(実現が難しい)

・ログインボーナスの画面なら、「イベント開催中」表示ぐらい出せますよ(代替案)

・じゃあ、ついでにログインボーナス画面に販売中の新キャラ出して喋らせますか?販売促進になるしいいんじゃない?(ノリノリ)

※上記例では、一日一回しか見ないログボでは結局見逃しが多く、導線は改善されず、また、販売促進は今改善すべきところではない、という結果になってしまいます。また、売促進は今改善すべきところではない、という結果になってしまいます。

④まとめ

「改善していく」は重要ですが「片っ端からやっていく」は最終的に効果が低く、悪手と言えます。
まずは「何を解決するべきか」をきちんと精査し、実装中も常に「そもそもの課題解決からズレてないか?」を自問していくのが大事です。
もし、途中でズレに気づいた場合は躊躇せず軌道修正、または中断しましょう。ズレた方向に突っ走ったところで、改善どころか改悪になりかねません。

※最後に補足として、これまでの話では「大きな課題にじっくり取り組む」イメージが強いですが、例えば「UIの快適さを追求する」という戦略のもと、ちょっとしたボタンの配置やスクロールなどストレスポイントを随時改修していくといった、小さな改善の積み上げで大きな価値を生むことも可能だと思います。
ただし、あくまでも「戦略ありき」で成り立つ話ではあります。

では、今回はここまでとなります。
お読みいただきまして、ありがとうございました!


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