ソシャゲ運用を考える【分析・DAUの落とし穴】

こんにちは。コロ山です。

ゲーム運用で最も大事な数値と言ってもいいのが「ユーザ数」です。
長く運用していくと山も谷もありますが、ユーザさえ残っていれば何とかなることが多いです。
逆に、ユーザの減りが止まらないと非常に厳しい。
起死回生のアップデートをしたところで遊ぶ人がいなければ意味がないので…

ということで「ユーザ数」は日々監視していく必要があるのですが
数値化の方法としてはいくつかのやり方があります。
それぞれ長所・短所があるため、どれか一つを見ればよいわけではなく
「何をチェックしたいか」で変わってくるため
基本的には複合的に監視していくことになります。

今回は「ユーザ数」の見方のひとつ、「DAU」について書こうと思います。

※DAUとは
「1日にログインしたユニークユーザ数」で、ユニークユーザとは、同一ユーザの重複を除外したものです。「ユーザAさん」が一日に10回ログインしても、1ユーザとしてカウントされます。

DAUは最も基本的なKPIといえますが、以下の理由でかなりノイズがあるため「DAU=遊んでくれているユーザ」と思って見ていると実態とかなりの乖離が発生します。
以下、架空の例を挙げて「見た目上のDAUと実態の乖離」について説明します。

例1 リリース直後のDAU推移

ある新規タイトルで、「初月の目標DAUが10万人前後」だったとして
以下のような推移になったとします。

DAU例_1

これだけだと、目標を大きく超えており問題ないように見えますが…
特にリリース直後では、以下について注視する必要があります。

①リセマラによるアカウント増加
リセマラとは、インストール後最初に引けるガチャで好みのアイテムが出るまでアンインストール→再インストールを繰り返す行動です。
例えば同一人物が10回リセマラを行った場合、アカウントの発行が10回行われるため、10人の新規ユーザとしてカウントされてしまいます。
※集計の仕方で上手く除外できていれば問題ありません。

②新規ユーザの継続率
みなさんも経験があると思いますが、「新しくアプリをインストールした後、翌日以降二度と起動しないまま放置」というパターンはかなり多いです。この場合は初日だけDAUに数値上カウントされますが、全く遊んでもらえません。
ソシャゲの場合は翌日以降、少なくとも1ヵ月程度は続けてもらえないと「コアユーザ」とならないため継続率が非常に大事になってきます。

上記を加味して
・リセマラ…1ユーザあたり5回
・翌日継続率…50%
と(ざっくり)した場合、可視化すると以下のようになります。

DAU例_2

遊んでくれているユーザは「DAUだけ」で見るよりかなり少なくなります。

実際は、リリース後の目標KPIとして
・新規インストール数
・翌日以降継続率

あたりは必ず設定されており、これを加味した目標DAUが立てられているはずですので、これらをきちんと分けて集計・監視できる状態にしておくことが必要です。

例2 長期運営タイトルのDAU推移

長期運営タイトルでは、DAUの内訳はリリース直後と大きく変わり
・ほぼ横ばい(微減)
・8~9割が既存ユーザ

のような感じになると思います。

リリースから時間が経つと新規ユーザ獲得が見込めなくなるので、「既存ユーザの維持」が基本的な方針になってきます。
そんな長期運営タイトルでユーザを大きく増やすチャンスが「大型キャンペーン」やそれに合わせた「TVCMなどのプロモーション」です。
ここでは新規ユーザもある程度期待できますが、「休眠ユーザの復帰」に大きな価値があります。
休眠ユーザは既にゲームについての理解があるため、キャンペーンの内容(おトク度合い)が伝わりやすく、また課金経験者であれば即売上に繋がってくれる可能性もあります。

では、こちらも架空の例として「長期運営タイトルが大型キャンペーンを実施した場合」を見てみましょう。

DAU例_3

キャンペーン開始とともに大きく回復し、いい調子に見えますが…

DAU例_4

キャンペーン終了とともに元に戻ってしまいました。

キャンペーン期間中はある程度継続してユーザ復帰が見込めるため
DAUが増加後、数値を維持していたとしても「毎日同数のユーザが復帰し、即日離脱している=全く残っていない」可能性があります。
この場合は当然、キャンペーン終了後にガクッとDAUが減ることになります。増えたDAUの内訳はどうなっているのか?は注視が必要です。

復帰が見込まれる期間については、「当日復帰ユーザ数」「復帰ユーザの翌日継続率」を監視しましょう。

※「復帰ユーザ」の定義は「n日ぶりのログイン」ですが、nはコンテンツによって変わります。
カムバックボーナスなどを実装している場合は、ボーナス対象になる未ログイン期間だったり、実績として「n日以上ログインがないと自然復帰がほぼなくなる=離脱」のような数値があればそれでもよいでしょう。

上記を加味して
・復帰ユーザの翌日継続率…30%
と(ざっくり)した場合、可視化すると以下のようになります。

DAU例_5

結局、キャンペーン前から続けてくれていたユーザだけが残りました。
悲しい推移ですが、よほどうまく施策を入れないと、普通にこうなります。

さて、今回は「DAU」について、リリース直後とキャンペーン中の例を挙げて注視すべき点を簡単に説明しました。

今後もなるべく「それっぽい例」を挙げつつ 各種KPIの見方を書いていきたいと思います。

お読みいただきまして、ありがとうございました!

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