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改訂版_新人職員のための『超』基礎講座ver.2.0 DAY6_訴訟手続主要3分類

それでは早速、今日の講座を始めたいと思います。
今日は、チャプターシックス、訴訟手続き主要3分類です。
以前の動画で、地方自治体の債権のうち、私債権に分類されるものは、裁判所を通しての請求が必要であることをお話ししました。
そこで、今回はもう少し詳しく説明していきたいと思います。
強制徴収債権と違い、滞納処分ができない私債権の法的手続きについて、裁判所を通して請求していく方法を、3つに分けて紹介していきます。

今日のテーマは、5つです。
1、主な訴訟手続き
2、支払督促のメリットとデメリット
3、和解のメリットとデメリット
4、訴えの提起のメリットとデメリット
5、議会の議決と専決処分
これらを順番に説明していきます。

まずはじめに、主な訴訟手続きを3種類紹介します。
一つ目は、簡易裁判所の書記官が発する、支払督促。
二つ目は、お互いに内容を合意した場合に申し立てができる、和解。
今回は、いわゆる即決和解と言われるものを紹介します。
三つ目は、支払いなどを裁判において請求する、訴えの提起。
これらが、主なものになります。
即決和解に関しては、あまり使わないという弁護士の方もいますが、私は、実務上、何度か使ったことがありますので、今回これを含むこととしました。
似たような手続きで、民事調停というのもありますが、私は、これは使ったことはありません

それでは、一つ目の手続き、支払督促のメリットとデメリットを見ていきましょう。
メリットは、請求金額に制限がなく、簡易裁判所の書記官への書類提出のみで、申し立てが可能であることです。
一言でいえば、簡単である、ということです。
一方のデメリットは、所在が分からない債務者に対しては、申し立てができません。
また、申立先が、債務者の所在地を管轄する簡易裁判所に限られますので、県外に転出してしまっている債務者の場合は、ちょっと申し立てがしにくくなります。
詳しい内容は省略しますが、支払督促の途中で、訴訟に移行する場合があるのですが、その際には、県外の裁判所に出向く必要があるからです。

二つ目の、和解のメリットとデメリットに移りますね。
メリットは、なんといっても、申し立て費用が安いということです。
金額によらず、一律2000円で申し立てが可能です。
また、すでにお互いに合意ができていることが前提ですので、短期間での解決が可能です。
一方、デメリットは、お互い合意できなければ、解決につながらないということが挙げられます。
事前に合意ができたと思っていても、和解の当日になって、合意できないといわれてしまうと、手続きが頓挫してしまいます。

続いて、三つ目の、訴えの提起のメリットとデメリットです。
訴えの提起と言うと、聞きなれない言葉と思いますが、なじみの深い言葉に言いかえると、裁判のことです。
これのメリットは、県外に住んでいる債務者であっても、債権者の所在地を管轄する裁判所に申し立てができます。
そして、裁判で請求が認められれば、直ちに強制執行を申し立てることができます。
一方のデメリットは、訴えの内容について、請求を裏付けるための、証拠書類がたくさん必要になります。
また、内容にもよりますが、判決までに時間がかかる場合があります。
ここまで、支払請求をするための3つの方法を紹介しました。
ひとつづつもっと掘り下げて説明しないと、なかなか分からないかもしれませんが、今回は、ホントに浅い部分ですが、概要だけ理解していただければと思います。

それでは、最後にちょっと、地方自治体独特の制度について説明しておきます。
地方自治体が債権の請求のために、訴えの提起を申し立てたりする場合は、
議会の議決が必要とされています。
ただ、議会を招集する時間がない時や、あらかじめ議会により指定を受けている場合は、長の権限で、手続きを進めることができます。
これを、専決処分と言います。
これらの場合も、議会への報告は義務付けられていますので、忘れずに報告してください。


最後に、この内容の動画を公開していますので、貼り付けておきます。
よければ視聴してみてください。


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