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柴犬の話 天然記念物の犬と過ごした日々

柴犬を飼っていた。2才位まで外飼いをしていたが、毒を盛られて死にそうなり死にそうになった。生き抜いたけど、左前足の点滴の後が悪化して傷が残った。
その後、留守の時と夜中は室内飼いとした。
無駄吠えもなく、近所の人達にも愛想がよかった。また外飼いと言ってもウッドデッキの上だった。
最近は人間の精神構造がわからない。

広い囲いのあるウッドデッキでリードも

30年前は外飼いの犬が普通で、夜中の遠吠え、不審者への威嚇。
犬の吠え声は街の音だった。
しかし最近、子供の鳴き声、保育園の園児の声にさえクレームを言う人がいる。そんなことで犬の外飼いは相当の田舎でないと無理と感じる。

飼っていた柴犬
愛称 コロ 日本犬保存会の登録 名称 桜丸号 
2002年4月11日(生まれ)~2017年7月16日(死去)

小犬を探す
横浜のド田舎から東京の郊外へ、3人の小さな子供達を連れて引っ越す。
狭い団地から一戸建となる。家の周りは造園業の畑だらけだ。藪もある。夜はまだ暗い。
ここなら、犬の外飼いが出来ると思い。犬を捜す。
日本犬、柴犬がいいと思いネットを探す。埼玉県川越の犬舎に小犬がいるという。
仕事中ネットで検索していたので、常さん(社長)にばれて、その話をすると、
「なんだよ、柴犬が欲しいのか、俺は昔、柴犬の犬舎を持っていたんだぞ、どれ、どの犬だ」
パソコンの画面を見せると
「なーに、近所じゃないか、見に行ってやる」
「はい」断れない。

そして、翌日土曜日の朝、家の電話が鳴る。
「池ちゃん、いい犬だぞ。今すぐ見に来い」相変わらず爺のくせに動きが速い。
「えーっ、ハイ、12時前には着くと思います」こんな時は流れに乗っていくのがいい。
私は息子を連れて、川越まで車で向かった。

着くと小犬を抱いた常さんが含蓄をまくし立てる。
「なぁ、いいときに来たよ。この時期の顔、一度崩れるが、この顔が成犬の顔になる」
「色は赤だ、黒の胡麻も混じっている。ちょっと小ぶりだなぁ」

その柴犬は一人っ子だった。ころころして可愛い。生後4週間くらいだ。
犬舎の人が言うには、後4週間は親犬と過ごさせるそうだ。その間、ワクチン接種と日本犬保存会に登録するという。
常さんが私を飼い主としての適正を保証してくれたので、譲って貰った。

家に来たコロ

日本犬保存会
「池ちゃん、日本犬保存会の犬だぞ、よかったな」と言うが、この日本犬保存会という組織がその時はピンと来なかったが、後に色々と調べた。さらに本を読み、その存在が日本犬の固有種を守っていると分かった。

各地方の犬好き達が、明治以降、もの凄い勢いで輸入された洋犬と日本犬の雑種化が進み、日本古来の犬種が消滅する危機を感じた。そして各地域で、日本犬の古来種を保護し、犬種として固定して認定をしたのだった。

日本犬とは
「日本犬 血統を守るたたかい」吉田悦子著 1997年初版。
2003年に文庫版が出るが、2冊とも廃刊。
ここに詳しく書かれている。
「日本犬は、日本人とともに何千年も日本の風土の中で生き抜いてきた日本の文化遺産なのです」
その通りだと私も思う。

ペットとは違う日本の動物としての犬

日本犬の気質
日本人の気質に似ている。普段は目立たない、主人にだけに忠実。媚びを売らない。無駄吠えが少ない。我慢強い。意外と走るのは速い。などなど。

私がまだ小さい頃、多摩の実家で、ジャーマンシェパードと柴の雑種を飼っていたことがあるが、キングという、黒と茶の混じった熊みたいな犬で、男気のある犬だった。
全く無駄吠えはせず。私が髭をハサミで切っても微動だもしなかった。
そんなキングだけど、昭和40年頃まで、住んでいた多摩では、夜中に犬を放す。散歩の変わりだ。それが普通だった。

夜遅く仕事帰り親父、オートバイで通勤していたが、車のほとんど通ってない20号線(甲州街道)をキングが走り抜けた。その後ろに10匹以上の犬が従っていた。
「あいつ、凄いな」
よく怪我をして朝に帰宅したが直ぐに復活した。そんな強い犬だったけどフィラリアとなり、8才で亡くなった。
今思うと乱暴な犬の飼い方を当時はしていた。でも犬達にとっては本当の人生を歩んでいたのかもしれない、
その一つとして、近所にキング似の小犬をたまに見かけたりした。

日本犬の種類と特徴
日本犬として固定された種は以下となる。
「日本犬 血統を守るたたかい」から引用。

秋田犬
マタギ犬を基にして闘犬としてより強く大きくするため、洋犬との交配が進んだ。忠犬ハチ公として日本人に親しまれている。素朴で穏やかな性格だ。海外でもファンが多い。

柴犬
かつては、信州系、山陰系など、その土地の名前と特徴を持つ小型犬がいた。それら集約をして均一化したのが現在の柴犬。小型ながら均整のとれた体。きりりとした眼、明るい性格で、日本で今頃ブームとなっている。

甲斐犬
南アルプスの山奥で、大型獣の猟に活躍した日本犬。派手さはないが、訓練性能は高い。飼い主には忠実従順。他人には距離置く犬。
何でも探偵団の鑑定士の中島さんが昔飼っておられた。

北海道犬
アイヌの人々との猟でヒグマやエゾジカなどの大型獣に立ち向かったことからアイヌ犬と呼ばれていた。厳しい寒さに耐え抜く密生した被毛と骨太の体を持つ中型犬。有名な南極観測隊のタロとジロは樺太犬、犬橇犬だ。

紀州犬
純白で素朴な姿が魅力な中型犬、紀州半島一帯の山々で猪猟に用いられてきた。気性の激しい犬。

四国犬
鋭く切れ上がった眼が、オオカミのような野性味を感じさせる。かつて土佐犬と呼ばれていた。
闘犬の土佐闘犬は外来種の交配で作られており、混同しないように。

ちなみに日本犬は天然記念物だ。
柴犬は昭和11年12月16日に天然記念物の指定をうけている。

犬の血統を調べてみる
日本犬保存会の血統書から、血統を辿る事が出来る。特に代表的な犬は写真付きで書籍が図鑑のように発刊されている。
古い本だ。デジタルでデータベース化はされていない。

色々ある日本犬のデータ(写真と犬舎)

それらの書籍は、犬舎を持っていた常さんから譲り受けたものだ。
血統書の交配図を辿って、該当する犬が見つかる場合もある。

日本犬の血統書

コロの血統の父側の柴犬は見つかった。
天一竜号
丈二号

天一竜号
丈二号

柴犬の専門誌。犬の見方が載っている。

古風な柴
巻き尾が一般的
血統を調べている

以上だが、また柴犬が欲しい気持ちもある。
でも、もう歳なので、犬を最後まで飼いきる自信がない。
これは犬にとって不幸な事だ。

余談だけど、昔、子供達はたまに犬に不用意に近づき噛まれる。
噛まれた経験のある人も多い。
私も結構噛まれた。傷口が悪化して破傷風になる危険性も多い。
それでも犬は好きだった。

犬(コロ)と子供達3人を連れて色々遊んでいた

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