記憶に残るテレビCM(818文字)
昭和の頃のCMで、当時、キュンと胸を射止められたテレビCMがある。ネスカフェエクセラのCMで、ヨーロッパの街並み、朝のパン屋さん、そしてストーリー仕立てで描かれている家族の温かみがとても素敵だと思った。
調べてみるとネスレは元々スイスの会社のようなので、CMの撮影はスイスだったのかもしれない。とにかく当時学生だった私には眩しい光景だった。
バックでは「マホガニーのテーマ」が優しく流れて、これまた洒落た雰囲気を醸し出している。こちらも今回調べて知ったのだけれど、てっきりダイアナ・ロスが歌っているものと思っていたのが、CMではアレンジ・バージョンを別人が歌ったカバー曲だった。歌詞に「ネスカフェ」が入っているのがダイアナ・ロスの歌には出てこないことから、ダイアナ・ロス自身が別バージョンで歌っているのだろうという憶測はハズレた。
CMは1985年9月~1988年4月に放映されていたらしい。おおよそ40年前。その流れた年月を数字で表されると恐ろしい。CMの中の子ども達も今はおじさんと呼ばれているに違いない。お父さん、お母さん役に至っては孫と人生を語っている頃か、というレベルだ。
それでも、YouTubeで改めてCMを見ると、画像のクオリティーに年月を感じるものの微笑ましいストーリーにキュンとする感覚が新鮮に蘇ってきた。
思えば、ダイアナ・ロスの曲を好んで聴くようになったきっかけのひとつがこのCMだったように思う。
最近はTV離れでYouTubeを見る若者が多い。いい悪いではなく、TVではもれなくCMも見ることになり、その見たくて見るわけでもないCMにこんな形で影響を受けたり、何十年経ったのちにも記憶に残ったり…商品やサービスの宣伝効果とは別の価値が視聴者側に生まれたりすることもある。ネット時代とは言え、たまには昭和から変わらぬTVを楽しむのも良いのではないか、と提案したくなる。
この YouTubeを見ながらそんなことを思っていた。