店員さんとのやりとりが下手くそなんだな

 お店でポイントカードをつくるように勧められた。だが私はポイントカードをつくらない。理由は二つ。まずは、財布に入らない。極薄の財布を使っているため、免許証や保険証、あと数枚しか入らない。そして現在その数枚は埋まっている。もう一つは、そのポイントを使いたいがために、無駄な買い物をしでかしそうだからだ。
 
申し訳なさそうに伝えた。
『すみません、大丈夫です』
「年会費やクレジット機能はついてませんから、いかがですか」
『いや、今回はやめておきます、すみません』
「なかなか10%還元はないですよ」
 
久々だ、こんなに言われるのは。
これが、小松菜奈からのデートのお誘いならどんなに嬉しいだろうか。
私は痺れを切らし、財布をチラつかせながら言い放った。
『もうカード入らないんで』
「でしたら、スマホのアプリ版がありますよ」
私の渾身の一撃は、クロスカウンターを喰らってしまった。もう思考は完全に停止した。
「またの機会にします…」
 
 なぜ私が気まずくなる。私はお店の売り上げに貢献しているんだぞ。冷や汗をかきながら去っていく私に、店員は「またのお越しをお待ちしております」と投げかけた。
 
 絶対当分来れないやろが。