健康のための食情報(03)現代日本人の加工食品とのつきあい方
現代日本では、飲料と食料の消費額全体の約半分が加工食品だといわれます(農林水産省、2016『平成27年度食料・農業・農村白書』)。
そこで、それらを食べたり飲んだりすることが「よくある」「ときどきある」人の比率を参照してみます。
すると「出来合いの弁当・惣菜」が63%、「インスタント食品」が58%、「冷凍食品」が54%、「ファストフード」が34%に達していることが分かります。
ついで、これらの利用者の比率を年齢階層別に示した図を参照します。と、主たる傾向として若年層ほど利用頻度が高いことがわかります。
加工食品の摂取頻度(「よくある+ときどきある)」男女・年齢階層別)
ところで『家計調査年報』によるとエンゲル係数、すなわち「家計消費に占める食費の比率」は第2次大戦以後、最近までは一貫して減少してきました。その最小値は2005年の22.9%です。
それが以後、増加に反転し、NHKの「食生活に関する世論調査」が実施された2016年には、26.1%を示した1987年以来、29年ぶりの高い数値25.8%を示しました(図7)。
そこで「食費に対する負担感」を参照してみましょう。すると「食費にお金をかけることは惜しまない」という考え方に関して「そう思う。どちらかといえば、そう思う」と「どちらかといえば、そう思わない。そう思わない」の比率は、いずれも49%で拮抗していることが分かりました。
ついで「食費は、家計の負担になっている」ということに関して「そう思う。どちらかといえば、そう思う」は46%、「どちらかといえば、そう思わない。そう思わない」は51%となり、後者が前者を凌駕していることが分かりました。
エンゲル係数が高まったとはいえ、必ずしも食費が家計の負担になっているとは思われていないようです。
エンゲル係数の推移(資料出所『家計調査年報』)
あわせて「食生活で重視すること」への回答を参照しておきます。その結果によると、①おいしいものを食べること(40%)、②栄養がとれること(24%)、③楽しく食べること(17%)、④空腹が満たされること(16%)、⑤簡単にすませること(3%)となっていることがわかりました。
食生活で重視すること
ただ、この問への回答には性別・年齢階層によってかなり違いがあります。とくに「おいしいものを食べること」は男性より女性が、高齢層より若年層が重視する傾向が顕著です。
ついで「栄養がとれること」も男性より女性が、年齢階層に注目すると若年層より高齢層が、それぞれ重視する傾向がうかがえます。
最後に「食品を買うとき重視すること」に関しては、①新鮮なこと(26%)、②安全なこと(24%)、③価格が安いこと(16%)、④味がよいこと(13%)、⑤手軽に食べられること(6%)、⑥栄養があること(4%)、⑦自分で食品を買わない(10%)となりました。
食品を買うときに重視すること
この点に関しては男女でかなりの差が生じている点が興味深いと言えそうです。
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