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104 電子テクノロジー以前のマルチメディア

       写真:サンタ・マリア・デル・フィオーレ大聖堂の天蓋と
              ミラノのドゥオモの内部(Wikipediaより)

 ここで、マルチメディアの本来の意味を訊ねておくことにします。

 それは、
 「複数の種類の情報をひとまとめにして扱うメディア」
 だということでしょう。

 これを言い換えると、
 「目や耳、鼻や舌や肌など複数の感覚器官に働きかけるメディア」
 ということなのではないかと思います。

 しかし、この言葉が頻繁に使われるようになった1980年代以降、これに加えて、
 「映像や音楽など動的で双方向の大容量デジタル情報コンテンツ」
 といった、かなり限定的な意味を付与して使われるようになったようです。

 それは、まあ「時代」ということなのでしょう。
 が、そうしたメディアの出現とその意味を、より的確に捉え直すには、その本来の意味に立ち返ってみるのが大切だという気がします。

 そうすると、マルチメディアは必ずしも新しいものなのではなくて、古くから人々に親しまれてきたことが判然とするのではないでしょうか。

 たとえば身の周りに広がる大自然は、当然のことながら最も包括的なマルチメディアです。
 その全体を捉え直すためにこそ人間は、五感に対応する目や耳や鼻や舌や肌といった感覚器官を身につけるように進化してきたに違いありません。

 同時に、人間が創り出すマルチメディアは、けっして新しいものなのではないように思います。
 そうではなくて、さまざまな形で大昔から工夫されてきたことがわかるのではないでしょうか。

 そんな事例のひとつが寺や神社や教会といった宗教施設だったのです。

 こう考えてみると、マルチメディアが実現する「人工現実感」つまり「バーチャル・リアリティ」も同様に、古くから人類の祖先によって工夫されてきたことが理解できるはずです。
 その典型のひとつが、さまざまな宗教施設なのだったというわけです。

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 21世紀になって、好ましいことの少ない日本の現状を、少し別の角度から考えてみるキッカケにならないかと思い、こんな本をまとめた次第です。


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