ほしよりこ「逢沢りく」

「きょうの猫村さん」でお馴染みのほしよりこ先生作「逢沢りく」上下巻。

自在に涙を流して、まわりの人たちはおもいのまま。逢沢りくはしたたかな14歳の美少女なんだけど、どこか満足していない。甘えたいのに、意地をはってしまう。おもいどおりにならない事が出てきて、でもひくにひけず、苛立ってしまう。

そんな彼女が大阪の親戚の家でしばらく過ごすことになりました。スタイリッシュな東京の生活から一変、ワイワイ騒がしい家族に逆に翻弄されていき…。

十四才。ザ・ハイロウズも唄っていた。センシティブで無敵な年齢だなあと思います。大人の事がだんだん分かってきて、でいてまだまだ危うい。

関西弁で繰り広げられる大阪の人たちの会話がにぎやかで面白くて、ずーっとくすくす笑ってしまいます。猫村さん同様サラッと描かれた絵も味わい深くて表情もこまやか。テンポよくどんどん読み進められるけど次第にドキドキして、最後は泣いてしまいました。理由を明確に言葉で説明出来ない涙。

個人的には、内容は全く違うけど業田良家先生「自虐の詩」を読んだ時と似た読後感だなあと思いました。どちらも容赦なく心揺さぶられる、優しい漫画です。