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想界の言語設定は、何故ここまで複雑化したか?

更紗翻訳解釈の起源

想像地図世界(想界)の地名は基本的に日本語で書かれている。しかし、本当は想界では日本語は通じない。2020年の時点で公開している地図は、「想界の言語は、地名のような固有名詞でさえも日本語に訳されている」というのが公式な解釈である。

だが、人はこう思うかもしれない。

そんな面倒な設定にしなくても、最初から架空言語を作っておけば良かったのでは?

結論から言えば、それはできなかった。事情あって「想界の言語は、地名のような固有名詞でさえも日本語に訳されている」という設定にせざるを得なかったのである。今回は、その理由を含めて、想界の言語設定がどうしてこうなったのかを書こうと思う。

想像地図の始まり

想像地図の人が想像地図を描き始めたのは2003年である。この頃は、想像地図の世界は「日本のどこかにある町」という設定だった。

しかし、想像地図は当初の予定よりも遥かに大きく広がった。その結果、日本のどこかにあるという設定にしておくことは無理が生じるようになった。そこで「架空の惑星にある架空の国」という設定にやむなく解釈を変更せざるを得なくなった。

ジャガイモ問題

「泉星」という架空の惑星にある「城栄国」という架空の国であるとしながらも、当初は「たまたま語彙や文法や発音が全て日本語と同じであるような言語が話されている」という設定だと解釈していた。ところが、それには無理があった。例えば、日本語の「ジャガイモ」はジャガタラ(=ジャカルタ)の芋という意味だが、泉星にジャカルタはない。「佃煮」は東京の佃島に由来するが、城栄国に佃島はない。サツマイモなんかも同様だ。

そう考えると、
1. 「城栄でもジャガイモという言い方は通じるが、向こうでは『ジャガー王国が原産の芋』のような別の由来がある」という設定にする
2. 地名に由来する名前は、泉星にある地名に置き換えて呼ぶ
のどちらかにせざるを得ない。となると、日常で使われている様々な語彙に対して、このような調整を図る必要が生じてしまう。

また、もっと根本的な問題を孕んでいた。
地球ではない架空の星にある架空の国なのに、日本語が通じるなんてそんな都合のいい話があるだろうか?
そう考えると、「架空の言語」を作らない限り根本的には解決できないだろうと言うことになった。

それまで描いていた地図は日本語という問題

しかし、その時点で既に1万枚以上の地図を描いていた。それを全て描き直すことは不可能だった。

また、架空言語を作るには10年単位で時間がかかる。言語の完成を待っていたのでは、いつまでも地図が完成しないことになってしまう。

そこで思いついた苦し紛れの解釈が
想界では、本当は日本語とは違う言語(更紗語)が話されている。しかし、日本語版の地図では、地名のような固有名詞も全て日本語に訳されている
なのである。この解釈のことを「更紗翻訳解釈」と呼んでいる。

このように解釈することで様々なメリットが生じた一方でデメリットも生じたのだが、それについてはまた別の機会に書こうと思う。

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