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おざなりとなおざりの違いをなおざりにしない30

こんにちは、源氏物語を読んで何回も挫折している私です。

その源氏物語を読んでいて「なおざり」という言葉が出てきたので意味を調べました。

なおざり 【〈等閑〉】

(名・形動)

①真剣でないこと。いいかげんにして,放っておくこと。また,そのさま。「商売を〈等閑〉にする」

②深く心にとめないこと。あっさりしていること。また,そのさま。「よき人は…興ずるさまも〈等閑〉なり/徒然草」

出典:大辞林 第三版

あれ?「おざなり」って言葉もあるよね?と思い、これも調べました。

お ざなり 【御座形・御座成り】

(名・形動)

その場逃れにいいかげんな言動をする・こと(さま)。「▽御座▽形▽御座成りな言い訳」「▽御座▽形▽御座成りな返事」「▽御座▽形▽御座成りを言う」

出典:大辞林 第三版

意味が似てるしアナグラムでもしたかのような2つの言葉。違いはなんでしょう。

おざなりは「する」、なおざりは「しない」

なおざりは「等閑」と書き、「とうかん」とも読みます。

唐の詩人・白楽天の「琵琶行」には、「秋月春風等閑に度る」と書かれていますが、これは「秋の明月、春の花風と、浮かれて暮らしているうちに」と訳されます。

https://diamond.jp/articles/-/296049?page=2

等閑は中国由来の古い言葉で平安時代に白楽天の詩が流行ったので源氏物語でもみられるようになったそうです。
白楽天の詩が気になり原文と現代語訳が載っているサイトを見つけ読んでみました。

昔、都でブイブイいわせていた芸者が歳をとり地方の商人の妻となって「昔は楽しかったなー」と悲しく語りその琵琶の音に心を打たれた白楽天が「詩を贈るからもう1曲弾いてくれ」とお願いして更に感動してみんなで泣いた詩、でしょうか笑
その詩の中の
「秋月春風等閑度」という部分で「等閑」が出てきます。上記解説サイトには「秋の月も春の風も考えなしにのほほんとやり過ごし」とあります。
「なおざり」はいい加減に放っておく、つまり何も「しない」のです。

一方、おざなりは19世紀ごろの日本で使われ始めた言葉だそうで「御座形」と書き、お座敷で芸者が客をいい加減にあしらうという意味で使われたそうです。
「おざなり」はいい加減にあしらう、テキトーではあるけど何かしら「する」のです。

どう覚えるか

こう覚えることにしました!
おざなりの「おざ」から「お座敷で芸者さんが、酔ってヘロヘロになった客をテキトーにあしらう」ところを連想して「テキトーに何かする」と導き出します。なおざりはその反対で「テキトーで何もしない」と思い出します。等閑という漢字も出来れば思い出せるようにしたいです笑

終わりに

「おざなり」と「なおざり」の違い、というテーマはかなり擦られてきたネタなのかな?と感じますが、とても勉強になりましたし白楽天の詩に出会えたのも収穫でした。もしかしたら中高の授業でやったのかもしれませんが、若かった頃は感性が育ってなかったのかオシャレな表現に心が動かされなかったのが少し悔しいです笑
ちなみに一番気に入った部分はこれです。(引用して原文と現代語訳をつなげました)

大絃嘈嘈如急雨(太い絃はザワザワと激しく雨が降るごとく)
小絃切切如私語(細い絃はヒソヒソと内緒話をしているよう。)
嘈嘈切切錯雜弾(ザワザワとヒソヒソが交じり合えば)
大珠小珠落玉盤(大小の真珠が玉の皿に落ちるかのよう。)

http://chugokugo-script.net/kanshi/biwakou.html

ではまた<了>

〜今日のささやかな好き〜
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