日商簿記検定2級攻略⑥~有形固定資産Ⅱ~

1 はじめに

 前回の続きとなります。今回は、圧縮記帳のほか、除却、売却等の2級独自の項目を説明していきます。

2-1 圧縮記帳

 会社は、国から国庫補助金を受けたり、消費者から工事負担金を徴収したりして有形固定資産を取得することがあります。このような国庫補助金や工事負担金を受けて有形固定資産を取得した場合でも、一般的には現金の交付を受けてから3を購入するため、資源の取得原価は対価として支払った額を持って計上すれば完了です。 しかし、公布された国庫補助金等は、会計上は収益として計上されると共に、税務上も益金として扱われるため、法人税等の賦課対象となってしまいます。そこで、1時の税負担の軽減を図る目的で、国庫補助金等相当額を有形固定資産の取得原価から減額する圧縮記帳が認められています。
 圧縮記帳とは、当該資産の取得原価から当該補助金に相当する金額を控除した額をもって当該資産の貸借対照表価額とする方法である。


2-2 圧縮記帳の効果

 国庫補助金等をもって償却資産を取得した場合には、圧縮記帳を行うと圧縮額だけ資産の簿価が少なく表示されることになり、圧縮記帳を行わない場合に比べて減価償却費が火傷に計上されるとともに、減価償却費の減少ぶんだけ利益が過大に計上されることになります。 したがって、圧縮記帳は、実質的に補助金の交付時における1時の課税を酒、耐用年数に渡り課税を繰り延べ効果があります。


2-3 圧縮記帳の会計処理

 圧縮記帳の会計処理には、「直接減額方式」、「積立方式」の二つがあるが、日商簿記検定2級のレベルでは、「直接減額方式」について教えます。  直接減額方式とは、圧縮相当額について「固定資産圧縮損」を計上するとともに、胴枠を固定資産の取得原価から直接減額または評価勘定を用いて間接的に減額する方法です。 
 なお、「固定資産圧縮損」は損益計算書の特別損失の区分に表示します。

例題1

問1 次の取引の仕訳をしなさい
① 国庫補助金30,000円を受取、当座預金に預け入れた
② 当期種に国庫補助金30,000と自己資金50,000円を合わせた80,000円で機会装置を購入し、小切手を振り出して支払った。この機会装置について直接減額方式により圧縮記帳を行う
③ 上記②の機会装置について当期種の減価償却を行う(定額法、耐用年数5年、残存価額0円、間接法)。

答2 
①(借)当座預金 30,000(貸)国庫補助金収入 30,000
②(借)機械装置 80,000   (貸)当座預金 80,000
    固定資産圧縮損 30,000   機械装置 30,000
③(借)減価償却費 10,000(貸)減価償却累計額 10,000

3 除却と廃棄 

 除却とは、有形固定資産が事業の用途から外されることを言います 。除却した資産は廃棄ではなく、事業に使用しなくなっただけなので、逆した資産に価値がある場合には、 償却資産の見積もり処分科学空、償却資産の帳簿価額及び除却費用等を控除した残額を「固定資産除却損」として処理します。  なお、償却資産の見積もり処分価格は、「貯蔵品」勘定に振り替えます。
 また、有形固定資産を廃棄した場合には、廃棄した資産の帳簿価額全額を「固定資産廃棄村」感情で処理します。

固定資産除却損
=見積もり処分価格ー帳簿価額(取得原価ー( 期首減価償却累計額 +機種から除却時までの減価償却費))ー除却費用等

例題2 次の取引の仕訳をしなさい
問2
 x4年9月30日に今まで使用していた備品を除却した。この備品の取得原価は800,000円、耐用年数4年、残存価額は取得原価の10%,取得日はx2年4月1日であり、定額法により減価償却(間接法)を実施している。当社は3月31日決算である。除却した資産の見積売却価額は200,000円である。

答2
(借)減価償却累計額 180,000(貸)備品 800,000
   減価償却費 90,000
   貯蔵品 200,000
   固定資産除却損 330,000

4 未決算勘定


 火災等の発生により資産は減少したが、これに対する補償請求権等が確定しない場合など、その取引自体が未確定である場合に、その取引を一時的に処理する感情として用いられるのが未決算勘定です。
 なお、取引が確定した時は、未決算勘定から適当な勘定科目へ振り替えます。
 また、火災保険の支払い金額が確定せず、一時的に「火災未決算」で処理した場合、未決算勘定の金額が決着した保険金額を下回る場合は、「保険差益」感情で、逆に上回る場合は「火災損失」勘定で処理します。

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