リハビリついでに最近やったゲームの感想を書く

 人生において最も忙しい時期が過ぎた。完全に私事ではあるが、昨年度末からとっ散らかっていた課題が解決の兆しを見始めたのだ。かと思えばそれ以上に大きな問題がこの国の空を覆っているわけなのだが、むしろこういう時期だからこそ、思索に充てられる時間を増やせるのかもしれない。
 逆に、それくらいのことしか心を落ち着ける方法が無いとも言えるが。
 滞っていたnoteの更新も少しずつ再開していこうかと思っている。

 最近、ゲーム作品の「Robotics;Notes」(ロボノ)と「Chaos;Child」(カオチャ)をプレイした。アドベンチャーゲーム界隈(というか広くサブカル界隈?)では有名な「Steins;Gate」(シュタゲ)の系列作品で、「科学アドベンチャーシリーズ」の1つである。テーマは「99%の科学と1%のファンタジー」ということで、作中の科学描写がやけにリアル(な気がする)作品群だ。
 カオチャの方も良かった(というかストーリーの完成度ならこっちの方が多分上)のだが、個人的にはロボノの方が刺さったので、今回はこちらのお話を書き綴りたいと思う。カオチャはまた今度。
(以下、個人の感想であることを留意されたし。致命的なネタバレは避けている)
 
 さて、僕がまず何に惹かれたのかと言えば、多分直球なまでに王道なジュブナイル物のストーリーにだろう。
 このシリーズは主人公が高校生や大学生といった若年のキャラクター達であり、故に成長譚としても見応えがある作品が多いのだが、ロボノはその中でも特にそのキャラクターの成長に大きな主眼を置いていたように思う。科学アドベンチャーシリーズの他作品と比べても、キャラクター達の弱点や欠点がフィーチャーされ、いい意味で青さがある人物たちが物語を織りなしていた。主人公・八汐海翔は最後まで冷淡な姿勢を崩さないように見えるが、物語を経て訪れる心境の変化が伝わるように描かれている。また、夢とロマンを求めて突き走るヒロイン・瀬乃宮あき穂も、中盤での出来事を経て現実との折り合いの付け方を肯定的に学ぶわけで、これも成長と言えるだろう。
 サブキャラクタの中でも、例えば大徳淳和は個別ルートで、日高昴は全編を通して徐々に過去と向き合い、折り合いをつけて先へ進もうとする姿が印象的だった。青さ故の過ちやもどかしさというのがストレートに表現されていて、すんなりと感情移入が出来たのは良い点だと感じる。
 次に惹かれた部分としては、恐らくはシリーズの売りでもある科学要素にだろう。「高校生が自分の力で巨大ロボットを作り上げて操縦する」なんて、実にロマンが溢れてて良いテーマなのに、その過程も緻密に描かれていて、プレイする時間に比例して引き込まれていった。勿論シリーズ恒例の「ファンタジー」要素もあるが、別に剣や魔法が降ってくるわけでも無く、そこにも最大限リアリティが出ているように思えて、全くしらけるということは無かった。むしろこれも盛り上げに一役買っていただろう(具体的に何が出てくるかまではネタバレになりかねないので言えないが)。
 また、これは完全に偶然であり、本質的な部分では無いのだろうが、神代フラウというキャラクターが使うネットスラングの類も面白く読んでいた。元々オタクと呼ばれる人種のキャラクターが多く出るこのシリーズの中で、ネットスラングを使うのは特段不自然なことでも無いのだが、注目すべきは時代設定である。このゲームの発売は2012年で、作中の時代設定は2019年ということになっている。そして、作中の2019年から見て「大昔」にあたる2010年代前半頃に流行したネットスラングが登場する、という状況になっているのだ(勿論、フラウ以外の作中のキャラクターは皆その言葉を知らないわけなので困惑している)。作中の時代設定を追い越してしまった現在、このタイミングでプレイすると、その「時代錯誤感」がよりリアルなものとして感じられて面白くなってしまったのだった。
 
 長々と書いては来たが、ジュブナイルが好きで、かつオタクチックなものに興味があった僕には非常に良く刺さったと言えるだろう。他にもシリーズ特有の陰謀論的な面が殊更に強く出ている点や、舞台となる種子島の雰囲気も合っていたのだと言えよう。
 シュタゲのような息もつかせぬ展開や、奇妙なリアリティを求めている層には恐らく合わないのだろう(実際、「シュタゲの後作品」ということが尾を引いた評価も多かったらしい)が、こういった要素が好きな層にとっては結構合うんじゃないだろうか。稀に見る傑作!ってわけでは無いだろうが、決して駄作では無かった。
 
 後、凄く個人的な話としては自分が改めてこういう「若さ」のある作品に弱いということが自覚され、自分の「好き」が深まったという点においても感謝したい作品である。

 DaSHも買うぞ

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