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人でないのに

犬に吠えられる身体で生き死にをわからせられた、わからせられた

堤防を歩く三人犬抜きで歩く楽しいことがあるのか

犬犬犬やたらに出会ふ金曜日生きていてくれ吾より永く

暑き日をdog daysと呼ぶらしと誰に言ふでもなきこと増える



この写真は5年以上の前のものだから、きっと君はいないだろう。駅とコンビニの間の、昔からある細長い建物の片隅に犬小屋があって、僕が覗き込むと、体がいうことを聞かないんだよと言いたそうにゆっくり起き上がってから、何か用かと吠えてくれた。その日は目の焦点が微妙にあっていなくて、君がもうすぐ死ぬだろうと思ったから、僕はこの写真を撮って、それからその道を通れなくなった。名前も知らないし、撫でることもなかったし(君は撫でられるのが好きじゃなさそうだった)、どんな人間と暮らしていたのかも知らないけど、君の写真は僕の画像フォルダの中にずっと保存してある。死んだ者にはどこまでも優しくいられる自分は病気なのか。うんちがあると生きてるって感じがして良いね。君が美しいからここに載せておこうと思うけど、もしも嫌だったら、僕に呪いをかけて教えて欲しい。


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