リヴァプール、カラバオカップ優勝!!!特別な優勝になった理由
クロップ監督が退任を発表してから早1か月。彼との別れが近づく中、4冠の夢の始まりをかけた戦いがウェンブリー・スタジアムで行われた。
カラバオカップ決勝、リヴァプールvsチェルシーだ。
結果は見事にリヴァプールが2年ぶりの優勝を勝ち取り、4冠に向けて幸先の良いスタートを切った。しかし、この戦いで勝ち取った優勝はただの優勝ではない。今季初のタイトルへの道のりはあまりに険しい道であった。その中で掴み取った優勝を振り返る。
怪我人続出、どうするクロップ
リヴァプールは決勝の前に主力選手の怪我人が続出し、野戦病院状態だった
サラー、ヌニェス、ソボスライ、ジョタ、C.ジョーンズ、チアゴ、A.アーノルド、アリソン、、、
ざっと挙げただけでもこれだけ多くの怪我人がいる。何と言っても守備の要であるアリソンと攻撃の要であるサラーが両方いないという異常事態。対するチェルシーはほぼベストメンバーで臨んできた。そんな中でクロップはこんなスカッドを組んだ。
しかし、前半でフラーフェンベルフも相手に足首を踏まれ途中交代。急造のフォーメーションで何とか守備でチェルシーの猛攻に耐えつつ、攻撃でもディアスやエリオットを中心にチャンスを作った。怪我人が出た時のやりくりは監督の腕の見せ所であるが、その点では流石百戦錬磨のクロップというところを見せつけた。
試合を決めたキャプテンと躍動する若手達
試合は0-0のまま延長までもつれた。延長後半28分、遂に待望の瞬間が訪れる。
コーナーキックから相手を出し抜いたキャプテン、ファンダイクのヘディングで先制。そのままリヴァプールが逃げ切り、優勝を勝ち取った。今季世界最高のCBに返り咲いたキャプテンの一撃は、多くの人々の記憶に残り、間違いなくクラブ史に残る瞬間となった。
この試合で触れない訳にはいかないのが、下部組織上がりの若手達の存在だ。先にも触れたように主力が次々離脱する中で、エリオット、マッコネル、ダンズといった下部組織出身の若手達が奮闘した。その姿は多くのファンの心を掴み、中立地のスタジアムながらリヴァプールの応援チャント「Allez Allez Allez」の大合唱。本拠地アンフィールドさながらの雰囲気を演出したのは、頼もしく特別なパフォーマンスを見せた若手達によるものだった。
120分フル出場、大車輪の遠藤航
この決勝という舞台に出場した遠藤は、延長まで120分ずっとピッチに立ち続けた。しかも中盤の要として、ボール奪取や保持での持ち運びで常に優位性を発揮し、圧巻のパフォーマンスを見せた。
このような決勝という舞台で交代されなかった意味。
これは完全にクロップの信頼を勝ち取った証であり、移籍1年目ながらクラブの歴史を創った選手となったことを意味する。120分出場した選手は遠藤を含め4人しかいなかった。この凄さは容易に想像できるだろう。
実際、リヴァプール公式Xでの遠藤の活躍を称える「Wataru Endo. Phenomenal」という投稿は、優勝直後の投稿に続く19万イイネを集めている(2.27 17時現在)。いかに多くのファンが遠藤の活躍を称賛し、認めているかが分かる。移籍1年目の選手に寄せられる称賛としては異例だ。
サッカーファンとして、リヴァプールを応援する者として、日本人として、
彼への称賛は最大限のものに値すると断定できる。
戦術的進化
ここにきてリヴァプールは戦術的な進化を遂げている。それはコナー・ブラッドリーという若手右SBの台頭が大きく影響しているだろう。
今まで右SBを担っていたアレクサンダー・アーノルドは右サイドの位置のみならず、中盤を自由に動き回って相手を攪乱させる役割を担っていたが、彼の離脱によってブラッドリーを右サイドに固定した以下のような配置となった。
これにより、今まで外側にいた右WGの選手(上図ではエリオット)がよりゴールに近い位置でプレーできるようになり、より決定的な仕事ができる配置となった。元々アーノルドがトップデビューした頃の配置にやや戻ったともいえるが、ベストメンバーでの中盤の構成力を考えると、より洗練された配置とも言える。
ブラッドリーの台頭によって、戦術的なオプションが増えた。クロップの戦術的手腕と若手の台頭が上手くマッチしており、その集大成がこの試合で出たと言えるだろう。
夢の続き、4冠へ
まだクロップとの夢は終わった訳ではない。
我々の本当の夢は4冠。まだ3冠残っている。
タイトルの可能性がある限り、戦いは続くのだ。
4冠を獲得すれば、イングランドのみならず世界のフットボール史に23-24シーズンのリヴァプールという歴史を刻むことになる。そこに主力選手として遠藤の名前があるところを見てみたい。
本当の戦いはこれからだ。
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