明和電機のコンサートに行ってきた

先日、明和電機のナンセンスマシーンコンサート@明石に行ってきた。

明和電機をご存じない方に分かりやすくお伝えすると、代表例としてオタマトーンという楽器を開発製造しているところと言えばいいか。楽器屋さんに行く機会がある方からすると一度は見かけたことがあるのではないか。

https://otamatone.jp/

キュートな見た目と、なんとも間の抜けた音に魅せられ購入し、友人数名に布教してオタマ会なるものを一人暮らしの頃のマンションで開催していたことがある。海外のオーディション番組に出演したこともあるぐらい結構な知名度を誇っている。



だから、私は完全に油断していた。


近所の駅前に貼ってあったチラシでオタマトーンを持つ社長を見て、オタマを始めとするヘンテコ楽器のかわいらしい発表会のようなものと勘違いしていた。全く下調べしなかった。いや、一応、明和電機のHPを見たんだけど、理解しがたい発明品が沢山でてきたので考えるのがめんどくさくなってすぐ閉じた。漢字を書くのがめんどくさくて、カレンダーに「オタマコンサート」と書き込み、オタマ会の友人を誘って、オタマを鞄に忍ばせてコンサート当日を心待ちにしていた。今考えるとなんと無知で恥ずかしいことか。
当日も、オタマ会の友人とのんびり入場し、思ったより人が多いねと話ながらホール内へ。何やら可愛らしい電子音が流れている..明和電機のイメージ曲かなんかだろうか?と思っていると、やたら思想強めの太い声で昭和っぽい歌に切り替わった。古めのローカルなホールだし地元の軍歌とかの名残かなんかかとぼんやり聞いていたら、
「めーいーわーでーーんーーきーーーーッッ」

このあたりで、なんか変なところに来てしまったんではないかと微かな不安を感じるも、それより何が始まるか全く分かっていないワクワクが勝っていた。さすが明石、席が埋まってくると3~4割は子ども。2歳以上の鑑賞OKなだけあり結構小さい子もちらほら。
開演時間になり、席はほぼ満席に。
幕が上がり、スモークの焚かれたステージに怪しげなシルエットが浮かび上がる。手締めのティンパニ以外まじでわからんがおそらく楽器。全部やたらでかい。
作業員姿の人々が現れる。あ、社長がいつも着てるやつだー!くらいの認識。
そして、期待していた数々のヘンテコ楽器のパフォーマンス兼楽器紹介の始まり!遠目にみるとわけが分からないものばかりだったのに、社長の巧みな話術と楽器の魅せ方に乗せられる。初めて見たものばかりなのに全ての楽器に一気に愛着が湧く。あれやってみたいねと友人と笑いながら鑑賞する。
AIのポンダスくんや見た目にも愛らしい数々の楽器に子どもたちもきゃいきゃい歓声をあげており、夫に託してきた3歳を連れてきたらよかったなあ、なんてふと思う。(のちに、連れてこなくてよかったと安心する不条理タイムがジワジワ始まる)

出だしから盛り沢山で圧倒され続けながら、なんだか気持ちがざわついてくる。初見の前情報なしで来てしまっており、なんせ、謎のお兄さん集団による謎楽器の謎曲を見続けている状態である。だんだん何を見ているのか分からなくなってくる。分からないのスケールが大きすぎて、なんだけど面白くて魅入ってしまう。謎楽器からまあまあの頻度でなんか部品が落ちてきたり飛んだりして不安になる。
(色んな意味で)不条理でしょう、と社長が言い始め、不条理コール・アンド・レスポンスが始まる。子どもたちの黄色い声が不条理!不条理!と響く。いやほんとになんか不条理になってきたぞ。
13wの胎児の頭部が現れたあたりで、気持ちのざわつきが確信に変わる。胎児の顔したしゃもじみたいなやつと社長が腹話術してる。なんで?
妊娠初期の胎児はかろうじてヒトの形になってきたあたりで、確かにかわいいんだよ、かわいいんだけど、可愛いねえ!てまっすぐ言える見た目じゃないっていうか...日常で見ることあんまないっていうか...ていうか頭だけなの?社長サイズに作ったやつはでかすぎるって思ったけど13wの頭部の割合は本当にでかいからちゃんと忠実に考えてあれなの?なんか機械のトラブルで、社長の顔の前で開閉するはずができなくなって、なのにたまに社長の顔が少し見え隠れして、なんなんだめっちゃ狂ってて怖い。怖いけど面白い。さっきまで笑ってた子どもたちをふと見ると全員が完全に凍りついてる。いつまでこのコンサートは続くんだ早く休憩にならないかと思った。いや面白いんだけど。めっちゃ面白いんだけど同時に怖かった。無防備に知らない何かに触れることの恐怖とそれを上回る面白さをこんなところで味わうなんて全く想像していなかった。
休憩時間で、突然の解放感と、いやでも早く見たいという変に癖になっている感じがフワフワしていて、後半戦は耐性ができたのか親しみのある曲が続いたからかすごく安心して観ることができた。さっきまでの気持ちのざわつきはなんだったのか。
てか経理のヲノさんずっと弾いてない?めっちゃ忙しくない?工員よく見たら一人ひとり結構キャラ立ってない?社長もなんかずっと歌ってるし元気すぎない?ティンパニのチューニングめっちゃはやない?今さらなんだけど明和電機のこと謎楽器やさんだと勘違いしてたけどれっきとしたパフォーマンス集団だったの?めちゃくちゃかっこいい。よくわからん楽器を生み出して使いこなして(ネジが飛んでるけど)歌って踊って、観客もしっかり巻き込んで、なんだかわかんないんだけど、すごくかっこよかった。あの世界を誰かに説明するには語彙力が全然足りなくて、でも情報過多すぎて誰かに話したくてnoteにしてみました。明和電機の皆様、勘違いしていたご無礼をお許しください、私の世界を覆してくれてありがとうございました。最後まで席を離れることなく心行くまで見れたので、気まぐれな子どもを連れてこなくてよかったと心の底から思ったけれど、次が近くであれば連れていきたいな。楽しかったー!!!

#明和電機 #オタマトーン#ナンセンスマシーンコンサート

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