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実況者になろう

はじめまして

おはようございます。ゲームのイベントや大会MC実況をやっておりますコーリーと申します。

本業はアナウンサーです。特定の放送局に所属しているわけではないフリーアナウンサーとして20年弱この業界で生きております。生き残っています。ゲーム関連の代表的な仕事として「闘劇」「闘神祭」のメインMC、「スプラトゥーン甲子園」「ポケモンカードゲーム」実況、「企業対抗戦」MC実況など、その他さまざまなタイトルの公式番組司会専門学校講師ゲーマーの披露宴司会など、業界のおはようからいってきますまで…ご依頼があれば何でもやりますので是非お気軽にお声がけください。声の良さと進行の安定感がウリです。どうぞよろしくお願いいたします。あなたはどなたですか?

この度、Tonamelさとけんさん(@saxokenpunx)に声をかけて頂き、Advent Calenderにて記事を書くことになりました。

普段は台本の操り人形な私ですので文章を書くのは得意ではないのですが、カレンダーの空欄を見て我慢できず義侠心からか、こともあろうに手を挙げてしまいました。実はまだカレンダー後半に空きがあります。今回私が存分にハードルを下げておきますので、どうぞお気軽にご参加ください。

といったものの昨日記事ですよ!

むちゃくちゃ面白いです!大会中のインタビューやイベントでのプレゼンからしてこの方が面白いことはわかっていたんです。だから10日が空いていたのですね…この次の日というのがとてもとてもやりづらい…そして明日のCHANGさんの記事もきっと必ず面白いので楽しみにしていてください。

今回のテーマは「実況者になろう」

私の大好きな小説家になろうから肖ったタイトルです。少しでもハードルを下げられたらと思いこのタイトルです。実況はいいぞ、皆もやるのだ。

さて今回の記事、有り体に言えば「実況マニュアル」です。仕事の極意を書きます。出来るだけかみ砕いて柔らかく「簡単そうに」お伝えしますので、穏やかな気持ちでお付き合いください。正直あまり教えたくないのですが、書くと決めたからには自分の不利益を恐れずに公開します。同業者の方や関係者は「そういう説もある」くらいの気持ちで受け流してください。

この記事は最後まで無料で読めます。

「今夜実況をしてくれないか?」上司や友人からこんなお願いされることが長い人生の間にあるかもしれません、急に言われてもとても困ります、そんなときの為に予習しておきましょう。

とにかく起こっていることを伝えましょう。

実況とは今起こっていることを伝えるのが仕事です。最初はとにかく目に映ったこと気が付いたことを言えばOKです。練習法として道を歩きながら周りの様子を淡々と話し続けるなどお勧めです。好きなアナウンサーさんがいればその人の真似をするのも良いでしょう。実況古舘伊知郎を、はたまたジョンカビラを、自分に憑依させての散歩はとても楽しい時間を与えてくれます。

通常のプロセスだと目で見たもの脳が認識して口から言葉として発するのですが、このプロセスのの介入をなくしましょう。目から直接口です。大丈夫です、練習すれば出来ます。これさえ出来れば実況8割完成です。おめでとうございます。

正式名称を使いましょう。

それでは試合の実況をしてみましょう。目の前で起こっていることを出来るだけ素早く反応して言っていくだけでOKです。とりあえず動詞を省いてひたすら技名やシステム名を言うようにしてみましょう。なんとそれだけで成り立ちます。サッカーなどの場合ならボールを持った選手の名前を言うだけでもおおよそ成り立ちます。この時のポイントは正式名称を使うことです。するとなんということでしょう公式や既存プレイヤーからの信頼度も上がります。違う言い方や表現方法を使うのは途端に様々な難易度やリスクが爆上がりするので、まずはやめておきましょう。私はジャッジメントセイバーを岩山両斬波(がんざんりょうざんは)と言って現場に呼ばれなくなりました。

強く言うところをみつけましょう。

ここまでで実況として成り立っています。すでに今夜の勝利は見えています。なのでもう一歩、欲を出して熱い実況をめざしてみましょう。

大切なのはアクセントです。試合の大事なところで声を荒げましょう。そのためにこのゲームの勝ち方を知りましょう。「どうやったら勝ちなのか」「その状況にするには何が必要なのか」「その必要なものに繋げるにはどうすればいいのか」と順番に紐解いていきます。そうすると大事なところが見えてくるはずです。例えばゲーム次第では2ラウンド最初の攻撃が当たるとテーレッテーと試合が決まってしまうこともありますし、最後のジャッジまで結果わからないもの、ゲージが命よりも大事なゲームだってあります。それら大事なところに重要度ランクをつけてそれに合わせたアクセントを使い分ける。それだけで熱い実況の完成です。熱くなりすぎてまだラウンドが残っているのに優勝者を出してしまわないようにだけ気を付けてください。

前向きな表現を使うようにしましょう。

選手にミスなどがあった時の表現方法に気をつけましょう。出来るだけ「ミスった」というネガティブな言葉は使わないほうが良いです。ミスを誘発させた相手を褒めるなど工夫してみましょう。私はコンボを落とした瞬間に「優しさ」「優しい世界」と表現することがありますがこれは悪い例です。

何も起こらない時に話すことを考えておきましょう。

実況は目の前で起こっていることを伝えるのが仕事ですが、見た目に何も起こっていない時や同じことが延々と繰り返されている事があります。例えば相撲レスラーが画面端で試合中ずっとしゃがんでいることを想像してください…困りますね。なのでそんな時に話す内容を考えておきましょう。出来れば現在過去未来で分類出来ていると伝わりやすいと思います。現在画面に映っている情報の整理、過去の選手データ、この先未来に起こることの予測など、前もって出来るだけ多く準備しておくととても楽です。準備しても半分くらいは使いませんがそういうものです。たまに現場スタッフの方が選手データなど大量の資料を準備してくださる事がありますが、最高です。その節は本当にありがとうございました。今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

持ち味を生かしましょう。

ここまで来たならさらに欲を出していきましょう。自分にしか出来ない事や特徴を考えてみましょう。ただしここで間違えると嫌われる原因にもなるので細心の注意を払いましょう。突然やるのではなく少しづつ焦らずに繰り返し、ゆっくり浸透させていくのがよいでしょう。

おすすめは決まり文句、毎回の挨拶、最初と最後に自分なりの何か決め台詞のようなものを入れる。他にもたとえ話の表現方法、ある言葉のイントネーションなどほんのちょっとしたことでもよいと思います。誰かが真似をしてくれるようになれば大成功です。その時は大いに喜びましょう。

私はあえてたまに贔屓をします、試合中は公平ですが、それ以外の時間にふと自分の好きを出します。そういう部分が面白さや熱さ個性につながっていくのかもしれません。

解説を信じましょう。

解説者は最高の味方です。全力で頼りましょう。どうしようもない我々をお救い下さる唯一無二の存在、阿弥陀如来か解説かくらいの気持ちで頼りましょう。自分がわからない難しい部分ばかり頼るのはよくありません、自分でもわかるような事でもしっかりと頼るのがよい関係です。

さいごに

今回は「実況者になろう」というタイトルで、出来るだけハードルを下げるために簡単そうに分かりやすく書きました。「これなら出来るかも」「ちょっとやってみるわ」「父さんは…これからは実況やっていこうと…」などと思って貰えたら嬉しいです。皆も実況やるのだ。

なにより凄いのは選手で、面白いのはゲームです。それを伝えたいと思って心を込めて話すだけです。私達は道であり橋でありコネクタ、ジョイントです。

とにかくここで書いた内容はあくまで「そういう説もある」というくらいの受け止め方をお願いします。

あわせて読みたい実況記事としてあーくれぼ5タイトル公式実況という意味のわからない事をやったふーひくんをご覧下さい。

先日珍しくラジオゲスト出演した時に似たような事を話したのでこちらのアーカイブもよろしければお聴きください。あのセクシー斎藤さんがパーソナリティで場所は渋谷です。

それではよい実況ライフを

闘いはまだまだ続きます。

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