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フルマラソン日本代表の次なる戦い(JMCシリーズⅠ)。

8月20日、日本陸連はオレゴン世界選手権、杭州アジア大会、そしてパリ五輪に向けての施策を発表しました。その名も「JMC(Japan Marathon Championship)。

2サイトの中で気になったのは以下↓

…合わせて、シリーズ総合成績を五輪を除く国際大会の日本代表選考に直結させ、日本選手権者の価値を高め、選考基準を明確化するという狙いがある…。

選考基準の明確化が今回の方式となった主要因のようです。

対象レース

▷JMCシリーズⅠ第0期(20年12月1日~21年10月31日)
男子:福岡国際マラソン、びわ湖毎日マラソン、東京マラソン
女子:大阪国際女子マラソン、名古屋ウィメンズマラソン、東京マラソン

東京マラソン以外は開催済みのレースであり、全て対象に含まれます。詳細は後程。なお東京マラソンは21年10月17日に、今のところ開催予定です

▷JMCシリーズⅠ第1期(21年11月1日~22年3月31日)
男子:福岡国際マラソン、別府大分毎日マラソン、大阪・びわ湖統合大会、東京マラソン
女子:大阪国際女子マラソン、東京マラソン、名古屋ウィメンズマラソン、大阪・びわ湖統合大会(G2)

今回から東京マラソンが男女とも世界大会の選考レースに含まれました。男子4レース、女子3レースがいわゆるG1に括られています。一方で、大阪・びわ湖マラソン統合大会は男子のみ世界大会の選考レース、女子はその対象からは外されました(G2)。

▷ポイント対象大会
東京2020オリンピック(男女とも)
WA(World Athletics)ラベルレース

先日行われた東京五輪マラソンも男女ともポイントの対象大会となります。また、世界選手権やWAラベルレースもポイントの対象です。WAラベルレースはElite Platinum、Elite、Labelとあり、Elite Platinumが最もグレードの高いレースとなります。

海外の対象レース一覧はこちら↓

成績の決め方

JMCシリーズⅠは第1期の期間中ポイントの高い2レース(また、第0期の最高点1レースも対象内)の合計点が最も高かった選手が日本選手権覇者となり、同時に、オレゴン世界選手権の代表権を獲得します。全ての大会において、棄権した場合は0ポイントです。

スコアリングテーブル(→総合タイムをポイントに換算。陸上競技各種目の世界ランキングにも使用中、以下記録ポイント)

JMCシリーズポイント(→日本選手のみの順位。大会のグレードによりポイントが異なる、以下JMCポイント)

を合わせた点数がポイントになります。2つの合計点はパフォーマンスポイントとして表記されていきます。

JMCポイントはグレードによって異なり、例えば、G1は男子1位に140P、2位105P、3位90P、4位75P、5位60P、6位45P…12位20Pが入ります。女子1位は70P、2位50P、3位45P、4位35P…8位15Pが入る仕組みです。ちなみに、男子と女子でポイントが異なるのは

国際競技力の観点から、…現在の日本におけるマラソン選手を鑑みて、…付与対象順位に男女の違いを設けることが強化委員会として妥当だと判断した。

という理由のようです。よって、男女のポイントそのままを比較するのは不可能です。

JMCポイントはオリンピック・世界選手権およびアジア大会にも設定されており、完走した時点で男女とも1200P(アジア大会は1100P)の基礎ポイントが与えられます。例えば、中村匠吾選手、服部勇馬選手、鈴木亜由子選手も完走により現在1200Pを持っている状態です。

金メダル獲得で記録ポイント+男子270P、女子135Pが加算されます。1200Pは男子2:07:53、女子2:23:18相当ですが、これを超えた選手は他の大会と変わらず記録ポイントが加算される仕組みになっています。

男子2:07:53、女子2:23:18は日本陸連の定める派遣設定記録にも定められていて、この記録を超え、1つの大会につき日本選手2位または3位までに入った選手はオレゴン世界選手権・杭州アジア大会の選考対象になります。

ポイント上位選手一覧

男子1位は鈴木健吾選手、[2:04:56]1254P+[1位]140Pの1394P。2位は吉田祐也選手、[2:07:05]1214P+[1位]140Pの1354P。3位の大迫傑選手は基礎ポイント1200P+五輪6位入賞145Pの1345Pとなっています。

女子1位は一山麻緒選手。第0期の期間内で、より好ポイントの大阪国際女子マラソンの戦績[2:21:11]1221P+[1位]70Pの1291Pが反映されています。2位は松田瑞生選手、[2:21:51]1214P+[1位]70Pの1284P。3位は前田穂南選手。一山選手と同様の理由で大阪国際女子マラソンの戦績[2:23:30]1198P+[2位]50Pの1248Pとなっています。

個人的な見解

これまでJMCシリーズについて語ってきましたが、透明性を重視しすぎるあまり、前回シリーズに比べルールが分かりにくくなってしまった感があります。「このタイムを超えれば良い」的な目標設定は恐らく出来なくなるので、スコアリングテーブルの存在も含めて、一般視聴者に熟知させる必要があるでしょう。

フルマラソンのテレビ中継もいずれ変わりそうです。第1期は派遣設定記録に重点が置かれそうですが、第2期は選手ごとに「このタイムを超えればMGCに出られる」目安のタイムを伝える必要が出てきそうで、情報の伝達、拡散は間違えずに細かいレベルの中継が求められそうです。

高速靴の登場、MGCシリーズの盛り上がりによって男女とも記録水準は1段階上がりました。ここからは、ハイレベルに安定した記録が求められます。国内大会、世界大会でどれだけの経験値を積めるか、世界大会の戦績がJMCシリーズ、MGCにどれくらい反映されるのか、これからも注目しながら見ていきたいと思います。

今回は以上になります。ありがとうございました。

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