フランク王国②
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トゥール=ポワティエ間の戦い
このころのフランク王国はまだメロヴィング朝ですが、王は自分の軍隊すらほとんどないような名目上の存在だったそうです。
実質的にフランク王国を支配していたのは宮宰(家政の長の意味)を務めていたカロリング家で、この時はカール=マルテルでした。
マルテルは自身の家督相続のゴタゴタでゆるんだ王国の統制を取り戻すために各地を転戦します。そんな中でアキテーヌから救援要請が入り、これにマルテルが応えてフランスのトゥールとポワティエの間でウマイヤ軍と会敵します。
漫画内では教会の信頼を得るついでにというような描き方をしてますが、フランク王国全土に動員令を発動するほどですから、単に勢力拡大のためのアピールというだけではない危機感があったのでしょう。
それと同時に、マルテルをはじめとしたこの時期のカロリング家は王国の支配権を握ろうと行動を起こしていたので(マルテルの息子ピピン3世の寄進など)、少なからず教会を意識していたはずです。
この戦いでの勝利がカロリング家が王国内で実権を握る布石となるのです。
トゥール=ポワティエ間の戦いは、ウマイヤ朝の領土拡大のための遠征がきっかけで起きました。ここでは食い止める側でしたが、フランク王国はのちに自国周辺の地域に対しても同じように力で従わせようとします。
敗北に終わったヨーロッパ遠征の約20年後、同じムスリムの反乱によってウマイヤ朝は滅び、カリスマ的皇帝の統率力を失い弱体化したフランク王国は自壊しました。
力で従わせる行為は、ただただ敵を作るだけだったのです。
次回はフランク王国全盛期、カリスマ皇帝カール大帝の話です。