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【創作】こおにの大将

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”こおに”をひきつれて現れる”こおにの大将”が、怪異に遇う様々な人と出会い、怪異現象を解決する現代怪異譚/基本読み切り
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#読み切り

作品紹介「こおにの大将」

その男は迷う人のもとへやってきて 頼んでもいないのに手を差し伸べる 小さな鬼を従えた、その姿はまるで…… 【あらすじ】 怪異に巻き込まれる人の前に現れる謎の青年にまつわる話を集めたオムニバス短編。 1話読み切りなのでどこからでも読めます。 キャラクター紹介 本編■小説のようなもの■ 『ガラガラ、どんどん』神の通り道で一休みする話 ■まんが■ 『混道・登蛙門』交差点で起こる行方不明事件と空飛ぶおたまじゃくしの話 『雨宿り』雨につかまってしまったサラリーマンの話

境界

十字路の真ん中に男が立っていた。 もう少しで太陽が沈んでしまう、とある日のことであった。 道の真ん中に、行く先を塞ぐようにして男が立っていた。 男は見るからに怪しい風体で、こちらに気付くと薄らと微笑んだがどうにもうさんくさく見えた。 「よう。そろそろ夜だが、どこへ行く気だい?」 どこへって、家に帰る以外にないだろう。素直にそう答える。 「そうか…。そうだよな。けどな、お前さんの家ってのは本当にこっちか?」 男は困ったように言う。優しそうな声色だが、どこか違和感があった。 「

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置いてけぼり

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七夕に逢うもの

道案内

「あまり離れるなよ」 そう、鬼の面を被った青年が言う。 周りの淀んだ空気は青年の持つ提灯の光を避けているようで、不思議と安心できた。ここはどこなのだろう。ここへ来るまでの経緯を思い出せない。 青年の面と同じ顔をした小さい鬼が、青年ごしにこちらを覗いているのもおかしな光景だった。 暗闇を先導する青年は、よくみれば随分とおかしな成りをしている。 背負っているのは刀であろうか?そんな怪しい風体なのに、彼の纏う空気は優しげだった。 「こんな場所だと、人と会うことが珍しくてね」 言葉

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たまねぎ…?

嘘の出る日

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おにやらい

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雨宿り

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混道・登蛙門

ガラガラ、どんどん

ガラガラ、どんどん 「これはなんというんだい、だんな」 うちわをあおいで、男が狸へ声をかけた。 「鳴神といいましてね、ここがお囃子の通り道なんですよ」 この時期はこれのおかげでなかなか外に出れなくてねえ、とぼやきながら、狸は男にお茶を差し出す。 「おや、お客さんにこの湯呑は小さかったかな。すみませんよ、ここへ来るのは小さいやつばかりなんでね」 「それでいいよ。食べるのは、そいつだから」 恐縮したように肩を縮める狸に、なんでもないように男が隣を指さす。男の隣に