自民党総裁選告示

9月17日に自民党の総裁選挙が告示され、河野太郎・行政改革担当相、岸田文雄・前政調会長、高市早苗・前総務相、野田聖子・幹事長代行の4人の方が立候補した。

今回の総裁選は、菅総裁の任期満了に伴うものだが、菅総裁の不出馬で大きく局面が変わった。ここではまず、経済政策を中心に自民党総裁選の各候補者の政見を見つつ、どのような政権になるのかについて考えたい。

河野氏は「改革」を前面に打ち出し、デジタル化や規制改革を進めることで成長を図ろうという考え方のようだ。菅内閣の現職閣僚であり、当選すれば菅政権の政策を引き継ぐだろう。ただ、政権運営には不安がある。発信力はあるものの、消費税を基礎年金に充てる政策を打ち出したり、厚労省の解体を言ったり、思い付きで政策を打ち出しているように見える。出馬に当たって麻生氏が「まだ早い」と言ったそうだが、政権運営能力に危うさを感じる。改革や世代交代イメージで当初は人気が高いかもしれないが、政策で早晩行き詰まるかもしれない。

岸田氏は候補者の中で唯一、派閥をしっかりとまとめて臨んでおり、政策や答弁にも安定感がある。党改革や、新自由主義からの転換、分配を重視する姿勢を打ち出し、刷新感も出している。しかし、経済政策は「一億総活躍」や働き方改革を進めた安倍政権の後半期の政策の焼き直しという感もあり、実際には大きな政策転換にはならないのではないか。安倍氏や麻生氏など重鎮に配慮して思い切った党改革や政策が打ち出せないのではないかという心配もある。

高市氏は安倍前総理の支援を受け、「日本経済強靭化」を掲げて、アベノミクス初期の「三本の矢」に戻ったものといえる。しかし、アベノミクスで期待したようなトリクルダウンは起こらず、物価も給料も思うように上がらなかった。その検証も反省もなしに「アベノミクスをもう一度」と言われても説得力がない。小型核融合炉のような海のものとも山のものともわからない施策を入れていることや、いわゆる「安倍応援団」に支援されている様子を見ると、安倍政権の悪い部分を引き継ぎそうな気がしてならない。。

野田氏は子どもや女性、障がい者など「多様性」を前面に出し、選択的夫婦別姓や森友・加計問題の再調査など、他候補と一線を画した政策を打ち出している。一方で、国土強靭化や地方重視を打ち出しているところや、推薦人を二階派が占めていることからすると、二階氏の影響力が濃い政権になるのだろうか。

私が野党支持者なので、少しマイナス面が出すぎかもしれないが、いずれの候補が総理総裁になったとしても、衆院選は乗り切るだろうと思っている。コロナの完全収束まで2,3年はかかるとされる中で、誰がやっても難しい状況だとは思う。次期総理には、まずは官邸一強と言われた状況を変えて、オールジャパンで取り組む環境をつくってもらいたい。

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