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星の王子様とその他大勢。

「星の王子様」を書いたアントワーヌ・ド・サンテグジュペリの乗る飛行機を撃ち落としたパイロットは、操縦士が彼だと知っていたら自分はそんなことはしなかったと、のちに語っていたらしい。その話をしてくれた友人がついでに「星の王子様」の全文が掲載されたリンクを送ってくれたので、ここのところときどき開いては切れ切れに読み返している。


中村哲さんが殺害されたというニュースが、寝ぼけた頭にガツ―――ンと来た。ほかに現地の仲間や通行人が5人銃殺されたそうで、この人たちを殺すことで、殺した人は何を得たかったのか、ものが必要だったのか、別な目的があったのかと疑問が湧くけれど、それでどうなるわけでもない。

「中村哲さんとほか5名」


顔も浮かぶし言葉もわかるから、哲さんの死だけが妙に鮮烈で、けれど同じ志を持った私にとっては無名な人々が、もうたくさん痛い死に方をしているのだろう。世界は日々、貴重な命を失っている。


星の王子様を撃ったパイロットにとっても、「星の王子様の作者とその他大勢」だったのかもしれないけれど、その他大勢で括った枠の中にも色んな想いや痛みや喜びが詰まっていただろうに。それぞれの命の価値を、勝手に決めないでほしい。そして誰は撃って誰は撃たないなんて、果たして戦場でそんな選択をできるのかも疑問で、彼がアントワーヌ・ド・サンテグジュペリを撃っていなければ、同じく兵士だったアントワーヌ・ド・サンテグジュペリに撃ち殺されていたかもしれない。戦争ってそんな整然としたものではないのでは。


殺されそうになった時守ってくれた仲間の話だとか、石を担いで倒れそうになるところを仲間に抱きかかえられるところとか、むかし哲さんのドキュメンタリーで観たそうゆう場面がとても印象に残っていて、人の幸せも同じく他人にはわからないなと思った。


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