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彷徨うおっさん78 気にするな、受け流せ? それは色々と無理があるでしょう(1/4) 受け流せよと抑圧を強いる人達

 嫌なことを言われた、腹が立つ、悲しい。生きているとそんなことがある。特に若いうちは割と感情が上下する。
 だがそれに対して、年配者は面倒くさそうに「あまり気にするな」「受け流せ」という人が割と多いように思う。そして続けて、

「彼もそういう意味で言ったじゃないと思うよ」
「この程度のことでいちいち熱くなっていたのでは彼とやってけないよ」
「彼の気持ちも分かってあげて」
「そんなに気になる?彼は〇〇って言っただけじゃん」

 と、まるでこちらの気遣い不足、努力不足、我慢不足であるかのような言い方で結局は抑圧を強制して来る。

 かくも「受け流す」という言葉だけは、人間関係で多用される傾向にあるが、

 どう考えてもその技術を持った人は居ない。或いは、受け流すという技術すら、本当は世の中には存在しないのではないかと思う。


 今回は、こうした「気にするな、受け流せ」といったやり取りの説明不足や、結局は口先だけで、長年の間、下が上の理不尽な対応を我慢するのみの、我が国の問題について、おっさんの体験を交えながらお話ししたい。

<課長の立場も分かってあげて>


 いきなり体験談を話す。とあるブラック部署にいた時の話。
当時の課長が
「残業が多い、残業が多い。」
「もっと効率よく、もっと効率よく。」
「君は職位が上なんだから、君は職位が上なんだから」と、
怒っておっさんに詰め寄って来た。

 あまりに煩く言われたので、後2か月半の間、周囲の半分の残業時間(当然半分はサービス)で渋々仕事をしていた。

 すると今度は、その課長の命令で月末2週間他所へ応援業務に出ることになった。流石に残業しないと無理だったので、申請したのだが、
「何でそんなに時間がかかっちゃうの? もっと効率よく仕事しろ!」
などと理不尽な態度で再び詰め寄って来た。

「いや無理でしょう? 月末2週間、私がいなくなることをお忘れか?」
と返したら、思い出したようで一瞬たじろぐも、すぐに険しい顔になり

普段仕事しているように見えない! ウロチョロウロチョロと一体何をやっているのか言ってみろ! と脅してきた。

 終いには無理して事務処理ミスが発生し、全責任をおっさんが取らされて成績Cになった(さすがに人事に言った)。
 そして以後も終始厳しい態度で、能力が低い能力が低い能力が低いと何度も言われた1年だった。

この時、人事ではなく、まずは係長にと相談したところ
「気にするな、受け流せ」と言われたのを覚えいてる。


 同時に「課長の立場も分かってあげて」と、こういわれてしまったのをハッキリ覚えている。

<受け流すのという言葉はかっこいいが、普通はできない>


 分かってあげるとは「気にしないようにしろ」「受け流せ」より重い「受け止めろ」であるが、結局受け止めろといわれてもどうしようもない話である。
おっさんは
「どうやって分かればいいですか?サービス残業は違法ですよね?」
と反撃したが、こうなると係長は黙り込むばかりであった。

(何だ、結局あんたも何もできないんじゃないか?)


 内心そう思って、仕方がないなと思いながらも、次の一言があったため、おっさんと課長、そして係長との心理的溝が決定的になったのを覚えている。

「他の人は問題なく出来ているよ」


 この一言が本当に事実であっても、結構これは堪えた。

 確かに他の人もサービス残業をたっぷりして、業務をきちんとこなしている。おっさんだけ職位が上という事できつく当たられて生贄の羊になっているとはいえ、
皆、文句ひとつ言わずに仕事を続けている。

 もっともストレス一杯で笑顔もなく、みんな仕事外では愚痴のオンパレード、離職者も休職者も多いのだが、そんな状況を軽視するかのように、係長は、明らかなクラッシャー上司である課長の肩を持ちつつ、善意で成り立っているこの状況に胡坐をかいて、おっさんに対し「他の人は出来る」つまり「できてないお前は能力が低い」と言い放ったわけである。

 この係長は、他部署での活躍や部下との接し方からして、それでもかなり人間的にできた人だったのだが、すっかり課長に毒されていた。

 そうなってしまったのは結局「受け流し方」などという、ありもしない技術が、さもこの世に普通にあるかのように語り続け、問題から目を逸らしてきたからではないだろうか?



次回に続く

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