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災害で交通機関が乱れたときの出勤を想像して辛くなった話|消耗しない働き方

 10月だというのに真夏日が続き。急に寒い日、雨の日もあり、もうしばらくは台風への警戒も必要だと天気予報は言っています。
(2022年11月22日加筆修正しました)

■震度5強の地震、交通機関乱れる

 10月7日、千葉県北西部を震源とした地震、震度5強の揺れを観測しました。日暮里・舎人ライナーの脱輪でケガをされた方もありました。首都圏の鉄道では一時運行がストップし、交通機関の乱れは翌日まで続きました。

 首都圏での地震。交通機関の乱れは多くの人に影響を及ぼします。安全第一の鉄道です。鉄道会社の皆さんは夜を徹して復旧作業や安全確認に当たられたのでしょう。このような出来事があると私たちの日々の生活がたくさんの人の力で成り立っていることを感じます。

■台風が来そうだったら計画運休をする

 公共交通機関では安全な運行のために、台風などの大きな影響が予測される場合、鉄道会社は前もって列車の運休やダイヤの変更を決めておくことがあります。計画運休といいます。

 列車が動かないことが分かっていれば、外出を避けることができます。帰宅手段がなくなり外出先で途方に暮れることや、駅に多くの人が殺到する混乱も避けられます。

■そして2019年9月9日の悲劇

 2019年の9月9日、強い勢力の台風15号上陸の予報により、首都圏の鉄道各社は始発から計画運休を実施していました。運航開始は午前8時ごろの予定でした。
 ところがです。台風の動きが予測通りではなく、午前10時ごろまで列車は運行できませんでした。午前8時には列車が動くだろうと人々は駅に集まります。

 通常なら始発から10時頃まで、それぞれの都合に合わせて出勤していた人たち。人数は相当です。集まった通勤客はホームからも駅からもあふれました。人はドンドン集まってくるのに電車は動きません。人は増える一方です。駅の周りには長蛇の列ができました。

 当日のニュースでは、駅周辺を上空から撮影した映像を流していました。
居合わせた人やニュースを見た人はツイッターでつぶやきます。「社畜の参勤交代」だと。

■えっと、参勤交代する社畜は「使命感ある社員」です

 社畜。会社に飼われた社員という意味でしょう。以前から使われていた言葉です。会社の命令どおり働く。会社のために身を粉にして働く。個人の意志や感情を置き去りにした働き方を指しているのでしょうか。自身の判断を持たず会社の言いなりに働いていることを言うのでしょうか。

 「うまいこと表現したな」とも思います。けれどもこの場面にふさわしい言葉だったでしょうか。社員としての役割を果たすべく出勤しようとしているんです。台風が心配でもたくさんの人の後に並んでいるんです。それでも会社に向かおうとしている人に向けられる言葉だと考えると「痛い」。痛いです。胸が痛い。心が痛いです。

 「社畜」って言うけれど、使命感を持った真面目で誠実な会社員、ですよね。

■「無理して出社するより自宅待機」を命じる会社

 「社畜」という言葉は真面目な労働者には相応しくない呼び方です。だとは思うのですが、この厳しい言葉に胸を痛めることで働き方を振り返るきっかけにはなりました。会社、仕事の前に意志も感情も判断力もなくしてはいないだろうか、と。
 「社畜の参勤交代」騒動により、災害時には無理して出社しなくてよい、テレワークをしてもよい、と考える企業が増えました。
 その後に新型コロナウィルスというある種の「大災害」がやってきて、テレワークの捉え方がガラッと変わりましたので「今は昔」の過去の出来事にのように思います。

■災害が起こりませんように、と願ってみる

 災害が起こっても、何よりも優先して会社に向かわなければならない、というのはかなりのプレッシャーです。だって、大切な家族を不安が残る環境に残して出勤しないといけないかもしれません。自宅が被害を受けている場合でも出勤をしないといけない場合もあります。

 でも出勤しないと、店が開けられない、期日までに支払いができない、納品ができない。公共交通機関、電気、ガス、水道、道路、インフラを休むことなく、いや災害時だからこそ、いつも以上に人手が必要な仕事だってあります。公務員の仕事もそうでした。
 電車が止まっているからいつもと違うルートを検索する、歩ける距離は歩く、混雑に巻き込まれる。もう大変。

 地震が起こりませんように。台風の被害が出ませんように。大雨・大雪が降りませんように。心から願います。

■今。自分の手が届くことを願う

 残念なことに人間がどんなに心を込めて願っても災害を止めることはできません。ですので。
 災害が起こった場合、自宅待機を命令するのか各自の判断に任せるのか。出社させないとできない仕事や一日も止められない仕事をチェックしているのか。 
「備えあれば憂いなし」な考え方が会社のルールに、もっともっと広がりますように、と願います。
 社内ルールの整備には、私の仕事、社会保険労務士もお役に立てそうですから。


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