ヘッダー

第7話:ホトトギス、瞬殺

天下人である、織田信長、豊臣秀吉、徳川家康の性格を評した、下記の川柳はとても有名。

鳴かぬなら、殺してしまえホトトギス(織田信長)
鳴かぬなら、鳴かせてみようホトトギス(豊臣秀吉)
鳴かぬなら、鳴くまで待とうホトトギス(徳川家康)

出典元の『甲子夜話』は江戸時代末期にできた随筆なので、おそらく根拠はない。

しかも、徳川家康は長生きしたからこそ鳴くまで待てたわけで、三方ヶ原の戦いなど若い頃は短気ゆえの苦労もしのばれ、必ずしも当てはまらない。生き残るためのリスクヘッジに優れていたこと以外、性格は誰も知らない。

ただ、この川柳が仮に真実の姿だとして、婚活の場では、男女ともに「信長より短気ぃいいい!」という人が多々いる。

鳴きそうも、ないなら瞬殺、ホトトギス

お前、鳴くのか鳴かないのか確かめないのか?鳴かせる努力はしないのか?鳴くまで待たないのか?という人達が男女ともにいる。

彼らは、パーティーや合コンでものすごい無双をして帰る。

張飛かよ。

『三國無双』で張飛を選べたら嬉しいが、パーティーや合コンで無双になって手あたり次第なで斬りをされた暁には、招待した側や幹事側が後で猛クレームを入れられてしまう。

どんな人か?というと、

男性は……「いきなり女性に年齢を聞き、勝手にジャッジする」

女性は……「冒頭から年収or学歴を聞き、あからさまに態度に出す」

である。

これをやられると、会話にならない。実際に起きた例だとこんな感じだ。

司会「チャリティーのパーティーですが、同じ目的に集まった方同士での出会いになればと思い、男女同数をお呼びしました!ぜひ、同じテーブルの方とこれから5分間、お話してみてください!それではカンパーイ!」

男性「初めまして」

女性二人組(A:31歳+B:24歳)「初めまして。こんばんは!」

男性「そんなことより、お二人とも何歳ですか?」

女性A「え?私達30代と20代ですけど、何か?」

男性「何歳ですか?僕は24歳の女性と出会いに来たので30歳以上だと時間の無駄で会話したくないんですけど。」

女性A「はぁ……。」

女性B「あなたはおいくつなんですか?」

男性「42歳です。」

女性二人組「……。」

女性の同様パターンとして、会話の開始早々に勤め先とかボーナスとか年収とか卒業大学の話を質問し続けるが、本人は意欲低めな職業選択をしてるケースがある。

仮にその人達のお眼鏡にかなってちやほやされても、表面的な部分しか見られておらずいい気持ちはしないし、お付き合いした後が大変そうだ。逆にターゲットではないからと初対面で否定されるのも意味がわからない。

交通ルール守って運転してたのにいきなり信号無視の車に突っ込まれたような感じで、どんなパターンでも、不快指数が高めだ。

彼ら彼女らは他人に自分の定規を当てはめるが、自分は対象外だから全く罪悪感を持つことはなく、バッサバッサと無双ができる。

よって、招待者や幹事が翌日クレーム対応に追われるくらい、「初対面、即、瞬殺」をコンボしまくってくれる。

本来、自分がそれなりに頑張っている自覚のある人同士なら、気が合って、楽しい人と仲良くなると、価値観や生活レベルなど、何らかのパーツがおのずと合致しやすい。

もちろん、一定の条件があった方が、パートナーになる人とパーツが合致しやすい傾向があるならば、その定規は内に秘め、自分もそういう条件の人とリンクしやすい生活をしていれば良いだけの話だ。

それでも、自分は今の条件のまま、条件重視で出会いたい場合は、明らかにパーティーや合コンに行って無双している場合ではない。結婚相談所に行って、条件面で徹底的に探した方が近道だ。

要は、パートナーであることを求めるのか、条件が合う人を独占したいのかで取る手段も、戦場も違う。

条件が合う人を絶対に独占する!という目的なら、結婚相談所で張飛の能力をいかんなく発揮し、バッサバッサと行けば、お互いに条件で探す人同士でマッチできる日が来るだろうし、ハッピーな結末なはずだ。

いずれにせよ、パートナー探しの第一歩でしかない場合は、自分の定規は自分だけに当てはめ、他の人に当てはめる必要はあまりないし、たくさんホトトギスがいる場所に飛び込んで手あたり次第バサバサ瞬殺して自身の評判を落とす必要はない。「自分が鳴いて欲しいパターンで元々鳴くホトトギスはどこですか?」と具体的に指定できるところでホトトギスを探せばいいんじゃないかと思うのだ。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?