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可処分時間の奪い合いがエンジニア界隈でも起こっている話

エンタメ業界は、もう何年の前から消費者の「可処分時間の奪い合い」が主戦場になっている。インターネットがスマートフォンとともに一気に普及してから、音楽・動画・書籍などが安価かつ大量に供給されるようになった。にもかかわらず、人間は1日24時間しか使える時間がないからだ。

なにせ、手に入るコンテンツは大量にある。NetflixやYoutubeで凄まじい量の動画が見放題だし、dマガジンで雑誌はいつまでも読めるし...。このような状況では時間が一番貴重なリソースなので、消費者は確実にリターンが大きいコンテンツに時間を割きたいと考えるようになっている。田端さん(=信頼値が高い人)がTwitterで本を紹介するとバカ売れするのがよく表している。

同じことが

最近、同じ現象がテック業界にも起こっているのでは、と感じている。時間がかかりそうなものに対する警戒感が高まっているように思えるのだ。

テック界隈では(主要なビッグプレイヤーを中心に)すごい勢いで新しい技術やツールが生み出されている。プログラミング言語では、Swift(Apple)、Hack(Facebook)、Golang(Google)、Kotlin(Jetbrains)。ニューラルネットワークのツールでは、Tensorflow、Keras、PyTorch、Chainer。クラウドではAWS, GCP, Azure。フロントエンドではReact、Angular、Vueなど....。

一例としてAWS(米国リージョン)で提供されているサービスのスクショを上げてみた。増えすぎて、一人の人間が把握できる量を超えている。僕もAWSは使っているが、ここ数年は新製品やアップデートのニュースがあまりに多すぎて全てをチェックできない。技術のカンブリア爆発である。

加えて、IoTやブロックチェーンといった新領域も出てきた。昔から進歩の激しい業界ではあったが、ここ数年の進化のスピードはすさまじいと感じる。

が、やはり....

1日24時間しかないので、キャッチアップできる範囲は限られてしまう。エンタメ業界の事情とかなり類似していて、技術の提供側は開発者に興味を持ってもらい、可処分時間を使ってもらうために工夫しないといけない。

そういった事情で、最近の技術は非常にドキュメントが充実している。一昔前は「作っといたで。あとはソース読んどいてな」みたいな突き放し系もあったが、いまは導入ガイドが薄いと見向きもされない。調べたり迷う時間が少なくできそうな印象を与えておく必要がある。

また、Githubのスター数が非常に重視される。スター数はエンジニアの投票のようなものであり、多いほど支持されているといえる。star数が70,000近いReactと、600程度のmatreshka、どちらでSPAを構築するのが安心か...という話だ。star数は利用者数とほぼ比例するので、問題の解決スピードや解説記事の数の面で有利になる。やはり時間は無駄にしたくないのだ。

結局のところ

供給が激増していくと、「他人の評価」「効果/時間のコスパ」といった評価軸の重要度が増していく。エンタメ業界やテック業界に限らず普遍的な現象ではないだろうか。



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