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千葉大でスタートアップの流儀を講義してきた(3/3)

母校の学生(1年生)にお仕事紹介してきたシリーズです。今回から本題のエンジニアの仕事紹介です。しっかりとポエムを叩き込んできました。

第一回: https://note.mu/konpyu/n/n9d3e3195b673
第二回: https://note.mu/konpyu/n/nc603b5942cbd

webエンジニアの仕事

webサービスは複数のサーバー(コンピュータ)からなります。サーバーをセットアップしてネットワークに投入し、動作や性能を監視するのがまず大きな仕事です。

これは、Pixivのサーバールームです。サーバーをラックに乗っけて配線して冷やして....と色々やる事があり、いかにも大変そうですよね。

参考: http://ascii.jp/elem/000/000/844/844678/

ですが、最近は直接サーバーの機械類を触る機会は減っています。「クラウド」といって高品質のサーバーやネットワークを簡単に構築できるサービスが完全に浸透したからです。インフラ担当のエンジニアがいなくてもサービスを提供できるのでプロダクト作りに集中できるようになりました。

機能開発

新しい機能開発も大きな仕事です。noteの記事下部にオススメ記事を表示する機能を作るとしましょう。単純そうに見える機能ですが、オススメ記事をどう選ぶ(定義する)のがいいか、記事をいくつ表示するのがちょうどいいか、他のクリエイターの記事を混ぜると心象が悪くなるか、 効果測定はいつどうやるか、などなど、考えるべき事が数多くあります。

まずは、手早く目に見えるプロトタイプを作り、それをたたき台にして議論をし、少しずつ改善して行きます。プロトタイプからスタートする手法はwebサービス作りでは非常に一般的で、専用のツールも数多くあります。

何度かプロト作りを通して設計要件が決まってきたら実装に移ります。プログラミングをしていく中で設計漏れに気づくこともよくあります。結局、手を動かしてみないとわからない事が多いですね。

その後、動作確認フェーズ(QA)を経てリリースをします。Twitterなどを見て評判をチェックしたり、どのくらい利用されているかを定量的に調べ段階的に改善をいれていきます。どの会社でも大枠では同じようなプロセスを踏んでいるのではと思います。

エンジニアのスキルとは

さて、先ほど述べた技術は基本的に大学では教わりません。情報系の学科だと有利ですが、現在は学習環境が充実していて、PCとネットがあれば自習可能です("N予備校"や"ドットインストール"でググってみよう)し、スクールもあります。仕事で使えるレベルに到達するにはかなりの修練が必要で、それなりに時間はかかりますけどね。

また、現代の開発は完全にチーム戦であり、コミュニケーション力もコンピュータ仕事とはいえ相当に求められます。

スタートアップとは

さて、"スタートアップ "という単語を注釈なく使ってきましたが、一体どういうシロモノなのか?という話をします。

↑こういうイメージでしょうか

スタートアップ企業はいくつかの点で、明快に他の企業とは違います。まず、イノベーティブなプロダクトやビジネスモデルを作り、それを短期間で一気に成長させることを目指します。イノベーティブとは今までにないという事なので、回収安全性を最重視する銀行からは資金を借り入れることはできません。一般に、株式をベンチャーキャピタルや個人投資家に新規発行することで資金調達をします。そして、7年〜10年を目標に上場や買収といったEXITを目指します。

起業の比較をざっくり表にしました。右はスタートアップ、左は例えば中目黒に自分のカフェをオープンさせたい!みたいなよくある普通の起業です。全然ちゃうやんけ、と一見してすぐわかると思います。

ピースオブケイクは典型的なスタートアップ企業です。ネットのコンテンツはタダで出し、広告収入でマネタイズする、という常識に対し、直接課金でのマネタイズという挑戦をしています。

スタートアップ企業は最近非常に増えて活気があります。先述したクラウド環境が充実してきて、低コストでサービスが作れるようになったことに加え、 昔からあるVCやCAやLINEといったメガベンチャーが活発に投資活動をしています。スタートアップをサポートする環境ができてきて、好循環が生まれつつあります。

余談ですが、ピースオブケイクのある渋谷はスタートアップの大量集積地です。いま入居しているビルは、スタートアップ企業だらけで驚きます。

参考: 第一暁ビルというスタートアップの聖地みたいなビルについて

就職先としてどうか

君たちはあと3年もすれば就職を意識しだすと思うのだけど、千葉大生はあまり深く考えずに大企業を目指す傾向があるのかな〜と思っています。

スタートアップ企業は何か強烈な目的意識があって働きたいのであればすぐに事業そのものに参加できるのでオススメです。日本の教育を変えたいとか、農業を変えたいとか、超楽しいVRゲームを作りたいとか。大企業だと、何年も下積みが必要な上に、そもそも希望通り配属されるか分かりませんからね。

専門職として働きたい人にもオススメです。この業界はフリーランスが多く、腕があれば職に困ることはありません。給与もそれなりに高い水準になります。リモートワークや副業もメジャーで、自由度高く働けるのもいいですね。が、さっき話した通り継続的に勉強し続ける必要があります。

つまりは、かなり人を選ぶんですよね。僕のポジショントークも多分に含まれているので、興味がある人は、学生時代にインターンを経験してカルチャーを体験しておくべきと思います。刺激的で楽しい日々になるとは思いますよ。

次の12年

いまは2017年(講義は2017年11月)ですが、ここ12年で一気に世の中が変化したと思いませんか?そのエンジンになっているのは間違いなくインターネットに関わるソフトウェアの技術なんですよね。

しかも、次の12年もイノベーションが次々と実用化されていき、生活が一変しそうな予感がします。

"Software is still eating the world"という有名なエッセイがあります。あらゆる業種業態の企業が「ソフトウェア企業」になると言っていて、まさに現在進行形です。最近「情報」教育の必修化がよく話題になりますが、次世代の産業はソフトウェアが主役になる事が確実だからなんですよね。

Why Software Is Eating The World
https://www.wsj.com/articles/SB10001424053111903480904576512250915629460

というわけで、最後になりますが一度プログラミングをやってみることをお勧めします。別に仕事にする必要はないのですが、何事もまずは体験してみる事が大事です。

長々とお付き合いいただきありがとうございました。

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