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「裏方・専門性」<「主役・総合力」でないとダメなのか?

以前よりましになったとは言え、日本人は「何でもできるスーパースター」という幻想を追い求めすぎていると感じずにはいられません。役者・スポーツ選手・お笑い芸人… このような職業に就いている方々は、誰もが一度は「スーパースターになりたい」と願ったことでしょう。

しかし、残念ながらこの世には「競争」というものが存在します。これがある以上は全員が全員主役になれるとは限りません。一方で、特定の分野に関する能力が突出している人や人前に立つのが苦手な人もいます。このような人々が裏方に徹したり、ある分野で活躍するような専門性を磨くことは間違っているのでしょうか。

今回は筆者が経験したことから抱いたとある疑問をに関する記事です。多少言い方がきつくなったり、無知ゆえに間違ったことを書くかもしれませんが、どうか優しく見守っていただけると幸いです。



外から見えにくい「縁の下の力持ち」

仕事などを進めるにあたって、ほとんどの場合はチームで業務を進めていく会社がほとんどだと思います。その中で、チームを引っ張るリーダーシップと色んなことができるカリスマ性を持ち合わせた人と、小さなことからコツコツと仕事を進めていくような人とが分かれます。ほとんどの場合、前者のようにチームを引っ張っていくような人が求められるでしょう。私自身も若い時はチームを引っ張っていくような人物像を思い描いたものです。

一方で、後者のような「縁の下の力持ち」タイプはなかなか評価をされないことが多いように感じます。初めて評価されるのは前線でチームの顔となった人がその貢献を称えたときぐらいではないかと思います。なかなか目立つことがないため、人に評価されるような目に見える貢献を果たすことが難しいというのも理由の一つに挙げられるのではないでしょうか。

私の本音中の本音としては「裏方に回っている人ももっと褒めてあげてよ!」と声高に叫びたいのですが、目に見える成果を出したりチームへの高い貢献を果たしていない以上は安直にそんなこともできないのが現実です。光の届かないところで自分の仕事を粛々とこなしながらもなかなか報われない日々が続くと、圧倒的に後方支援タイプの人間である私だったらメンタルがおかしくなるのではないかと思います。

そうなると、「縁の下の力持ち」タイプの人にとってのやりがいとは何なのでしょうか。給料かもしれないし、他の人からの感謝の言葉かもしれません。それで頑張ることができるのなら長続きするのでしょうが、自身がチームや組織に対して目に見える貢献をして、さらに自分自身も評価されないと気が済まないという人もいるかと思います。実を言うと、私もその一人です。

「縁の下の力持ち」というのは外からは見えにくく、褒められることも少ない損な役回りかもしれません。しかし、チームを引っ張る立場の人(上司・リーダーなど)から働きぶりや貢献度を評価してもらえた時は「自分が必要とされている」と実感できます。仕事をする上での私のやりがいはもしかするとこういうことなのかもしれません。

裏方のような仕事をされている方はどんなことにやりがいを感じるでしょうか。「私にとってのやりがいはこれだ!」というのがあれば、是非コメント欄などで教えていただけると幸いです。


「万能型のリーダー」ばかり求めすぎ!?

今や日本の企業では将来的に会社の管理職へと成長させるべく、若いうちから複数の部署へ異動させることで経験を積ませて、「オールラウンダー」を育成するところがほとんどではないでしょうか。私自身も新卒で入社した企業でそれを経験しましたが、働いていく中で違和感を感じるようになりました。

管理職となると総合力が求められ、自分の部署だけでなく会社全体を見渡す力が必要ですし、各部署に対する根回しなども主要な業務となるでしょう。しかし、何も知らない新入社員全員にいきなり管理職を目指せというのも酷ではないかと…最初は思っていました。

しかし、よく考えると志望者は面接の際に企業の求めている人物像を理解したうえで自身が学生時代にやってきたことをアピールし、入社してからのビジョンを明確に示すことで「御社に入り、その中心となる覚悟ができています」と意思表示をするのです。すなわち、総合職を志望する人は普通であれば将来的に管理職としてその会社に貢献するという計画を立てることがある程度できているのです。

その反面、自分のことを客観的に見るのが苦手だった私は「自分は何でもできる」と思い込み、色んな業種の総合職を受験しました。「大卒=総合職」というイメージから、周りもほとんどが総合職を志望していたことで流されてしまった部分もありますが、若気の至りゆえの「万能感」に溢れていたことが災いし、面接で丸暗記した文言を思い出そうと言葉に詰まってしまったことがたくさんありました。自分に嘘をついてまで周りに合わせようとした罰なのでしょうか。

話を戻します。私が違和感を感じたのは、会社の採用活動が「将来は管理職になる」ということが前提のものであるということです。もちろん志望したご本人が「幹部クラスや管理職を目指している」と言っているのであれば咎めようはありませんが、職人気質タイプの人までもひとまとめにして幹部候補に育成しようとしている会社もあります。新卒で入社した会社がそんな感じで、経理の専門学校を出た人でない限りは入社したほぼ全員を幹部候補として育てようとしていたように見えました。

ここまでのことを考えると、学生時代に抱く「万能感」と会社で求められる「総合力」は全くの別物です。私自身の反省になりますが、「仕事」というのは自分の苦手分野であっても対処しなければなりません。私が思う「総合力」というのはある意味、「得意なこと・苦手なこと関係なく仕事を遂行できる能力」だと考えています。説教みたいな書き方になって大変申し訳ないのですが、就職活動をされている学生さんには是非ともその点を留意していただければ…と思います。


一芸に秀でるスペシャリストにもスポットライトを…

会社にしてもスポーツや芸能の世界でも万能型の人にスポットライトが当たりがちだと感じる方は多くいらっしゃるのではないのでしょうか。例を出すと、メジャーリーグで大活躍中の大谷翔平選手が一番わかりやすいと思います。投打の二刀流で常識を覆すような結果を出し、スタイルもよくその紳士的なふるまいも毎日ニュースで取り上げられています。競技面でも結果を出し、多数のスポンサー契約を結んでビジネス(?)の面でも成果を上げているので、同い年ですがただただ尊敬です。

その反面、できることは少ないけれど特定の分野において際立った能力を持つ人は万能型の人に比べると注目度は下がります。悲しいかなこれが人間の性なのでしょう。「なんでもできる人が偉い」という評価を下してしまうのです。以前まで私も「万能型の方がいい」という考え方だったのですが、今ではこの考え方を一度改めないといけないと思っています。

現代では「多様性の時代」という言葉が枕詞というかクッション言葉のように使われているのだから、万能でなくても一つでも尖った部分(長所)があればそこに焦点を当てて褒めてあげた方がいいんじゃねえの?っていうのが今の考えです。USJでマーケティングをされていた森岡毅さんが「弱みが強みに変わったのを見たことがない」とテレビでおっしゃっていたことが強烈に記憶に残っているのですが、この言葉には首がもげそうになるぐらい大いに共感したもので、「無理に弱みを改める必要はないんだな」と胸のつかえが取れた気分でした。

私自身も以前まではできないことばかりに焦点を当てて自己嫌悪に陥る一方だったのですが、できないことが一つ二つあるくらいでクヨクヨしても時間の無駄にしかなりません。昔やってたCM(ACだったかと)で「いいとこメガネをかけよう」というものがありましたが、自分自身や他の人の長所を一つでも見つけることが自分にとっても周りの人にとっても自信につながるのではないかと言いたいです。


まとめ

今回はどうも調子が悪く、書いている途中で何度も着地点を見失いかけたので終始支離滅裂な発言や矛盾している箇所があると思いますが、ご容赦いただきたく存じます。最近、言語化能力が著しく落ちていてスランプを実感しているところなんです…

何が言いたいのかざっくり言うと、「オールラウンダーとか主役ばっかり評価されるのって不公平じゃね?」という疑問から「たまには裏方やスペシャリストの人も褒めてやってくれよ~」と思った次第です。特に企業では幹部候補を求めるため、「リーダーシップがあるオールラウンダー」を欲しがるところが多いです。一方でオールラウンダーよりもできることは少ないながら、裏方の人や特定の分野で際立った能力を持つ人にも目を向けてほしいというのが私のわがままです。

めちゃくちゃ余談ですが、この疑問が湧いたきっかけというのは声のお仕事をしている人、声優さんの「オールラウンダー化」です。裏方のイメージが強い声優さんがいつしか顔を出して歌って踊るようになっていることや、バラエティにも出演されていることに強烈な違和感を感じたのです。声優という職業の中でも、歌も踊りもトークも苦にしない人とそうでない人の間で格差が生じているということが外から見ていて腑に落ちない部分があるのです。

競争馬を擬人化している某スマホゲームを3年ほどやっているのですが、担当されている声優さんを見るとアイドルのようにマルチで活躍している方と、そのゲームで新人としてデビューしてからその後の動向が芳しくない方とがはっきりと分かれている印象があります。このことから、ゲームやアニメを楽しめなくなった自分がいました。

「お前は何を言っているんだ」という声が聞こえた気がします。最後になりますが、昨今では才能に溢れた方やオールラウンダーの方を前置きなしで「天才!」と盲目的に褒める人がたくさんいます。しかし、「天才」という言葉は書いて字のごとく「から授かった能」なのでそんな安易に使っていいのかと常々思います。「天才!」って褒めるならそう思う理由を説明してからにしてくれよと思うのですが、これは私がひねくれているだけなのでしょうか…?




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